2025年9月27日
労務・人事ニュース
事業所規模30人以上、労働者数3082万人!令和7年3月統計が示す大企業の労働環境と給与構造
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最終更新: 2025年9月26日 23:02
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毎月勤労統計調査地方調査 令和7年3月分結果概要 事業所規模30人以上 調査産業計(厚労省)
この記事の概要
令和7年3月の毎月勤労統計調査(事業所規模30人以上)では、全国の常用労働者数が約3,082万人となり、前月と比べ安定した雇用が続いていることがわかります。労働時間は全国平均で138.1時間、現金給与総額は347,260円と、事業所規模5人以上と比較して労働負担や報酬に違いが見られます。この記事では地域別の差異や給与構造を詳しく分析し、採用施策に活かせるポイントを掘り下げます。
厚生労働省が実施した令和7年3月分の毎月勤労統計調査によると、事業所規模30人以上の企業における全国の常用労働者数は約3,082万人となっており、前年同月や前月と比較しても大きな変動は見られず、安定した雇用環境が続いています。この調査は、企業の労働実態や給与の支給状況を把握するために非常に重要な指標であり、特に中堅企業以上の雇用管理や人材戦略に役立つデータとして高く評価されています。
今回の調査結果から見えてきたのは、労働時間と給与のバランス、そして地域による大きなばらつきです。全国平均での総実労働時間は138.1時間、所定内労働時間は126.3時間、所定外労働時間は11.8時間でした。この数字は、事業所規模5人以上の全体平均(総実労働時間132.7時間、所定外労働時間10.2時間)と比較してもやや高く、30人以上の事業所では、より長い時間働く傾向にあることが分かります。また、出勤日数は平均で17.3日となっており、フルタイム勤務を前提とした労働環境が整っている様子が見て取れます。
給与面では、現金給与総額が347,260円と、企業規模が大きくなるほど報酬水準も高くなる傾向が明確に現れています。特に、きまって支給される給与は316,657円、所定内給与は291,902円、特別給与は30,603円と、安定した支給構造が確認されました。
地域ごとの詳細に目を向けると、北海道では常用労働者数が約97万人と比較的大規模で、総実労働時間は135.9時間、所定外労働時間は10.2時間と全国平均よりやや短めです。しかし、現金給与総額は298,460円と低く、給与水準には明確な地域差が存在しています。特別給与が30,225円とやや高めであることから、一時金などによる補填がなされていると推察されます。
一方、青森県では労働時間が全国平均を大きく上回っており、総実労働時間は148.3時間、所定内労働時間は136.5時間、所定外労働時間も11.8時間に達しています。にもかかわらず、現金給与総額は272,469円と低く、給与と労働負荷のバランスが取れていないことが課題となっています。このような地域では、人材の定着を図るために、給与面の改善や柔軟な労働環境の整備が求められます。
岩手県でも同様の傾向が見られ、総実労働時間は142.2時間、所定外労働時間は10.9時間と長時間労働が常態化している一方で、現金給与総額は272,523円にとどまり、報酬の面での魅力が不足しているといえます。さらに特別給与が7,697円と極端に低い点も見逃せません。これは、賞与などの臨時支給が少ないことを示しており、モチベーション維持や働きがいの創出が困難となる可能性があります。
以上のような地域差を踏まえると、企業の採用担当者にとって、単に求人広告を出すだけではなく、実際の労働実態を見据えた上での待遇改善や制度設計が不可欠であることがわかります。たとえば、北海道や東北地方の企業が東京や関西圏と同等の人材を確保するためには、給与だけでなく、労働時間の短縮やテレワーク制度の導入など、非金銭的な魅力も打ち出していく必要があります。
また、特別給与の金額は企業の魅力を左右する重要な要素であることが、この調査からも明らかになりました。特別給与が3万円を超える地域では、給与全体の構成にもゆとりがあり、従業員満足度の向上につながりやすいと考えられます。一方、1万円未満にとどまる地域では、臨時収入に期待できない分、日常の給与や福利厚生の充実がより重要になります。
労働者数、労働時間、給与額といった数字の背後には、各地域の経済状況、産業構造、そして企業の経営方針が色濃く反映されています。この統計を活用することで、自社の現状を客観的に把握し、競合との差別化や改善の方向性を明確にすることが可能となります。とくに採用においては、応募者が求める条件と実際の職場環境とのギャップを減らすために、こうした客観データを元にした説明が求められる時代です。
令和7年3月の統計結果は、企業が今後の人材戦略を立てる上での一つの指針となります。全国平均や地域ごとの実態を踏まえたうえで、自社の立ち位置を見直し、必要に応じて労働条件や給与体系の見直しを進めることが、長期的な人材確保と定着のカギを握るでしょう。とくに地方の中堅企業にとっては、数字の裏にある実態を正しく把握し、より働きやすい環境づくりに取り組むことが今後の競争力に直結すると言えます。
この記事の要点
- 事業所規模30人以上の全国の常用労働者数は約3,082万人で安定傾向
- 全国平均の総実労働時間は138.1時間、所定外労働時間は11.8時間
- 全国の現金給与総額は347,260円で、事業所規模5人以上より高水準
- 北海道は労働時間が短いが給与水準も全国平均を下回る
- 青森県では労働時間が全国平均を大きく上回るが給与は低めにとどまる
- 岩手県は特別給与が7,697円と低水準で一時金支給の少なさが顕著
- 地域間での労働条件や給与に大きな差が存在し採用戦略に影響
- 特別給与の多寡が企業魅力に直結しやすく待遇設計の重要要素となる
- 採用活動には地域特性と統計データの両面を加味したアプローチが必須
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ