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2025年9月27日

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労働者数5085万人!令和7年3月の毎月勤労統計から読み解く地域別の給与と労働時間

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毎月勤労統計調査地方調査 令和7年3月分結果概要 事業所規模5人以上 調査産業計(厚労省)


この記事の概要

令和7年3月分の毎月勤労統計調査によると、全国の常用労働者数は約5,085万人で、平均労働時間や給与水準には地域ごとに大きな差が見られます。本記事では、労働時間や給与、出勤日数の実態を詳しく分析し、採用戦略に活かせるポイントを読み解きます。


令和7年3月に実施された毎月勤労統計調査(事業所規模5人以上、調査産業計)によると、日本全体の労働環境には地域差が顕著に現れており、企業が人材確保を図るうえで注目すべき情報が多く含まれていました。全国の常用労働者数はおよそ5,085万人にのぼり、これは前年同月と比較しても安定した雇用環境が続いていることを示しています。一方で、労働時間や給与額の面では、地域ごとに特徴的な傾向が見られました。

まず、全国平均での総実労働時間は132.7時間となっており、所定内労働時間は122.5時間、所定外労働時間は10.2時間でした。これは、残業時間が比較的抑えられている状況を示唆していますが、一部の地域では依然として高い水準の所定外労働が続いています。たとえば青森県では、総実労働時間が144.6時間に達し、これは全国平均を約12時間上回っています。青森県の所定外労働時間は9.5時間と、全国平均と大きな差は見られないものの、所定内労働時間が135.1時間と突出して高いため、全体的な労働負担が大きいことが分かります。

一方、北海道の総実労働時間は133.5時間で全国平均に近いものの、所定外労働時間は8.8時間とやや低めです。これは、労働者にとって比較的働きやすい環境が整っている可能性を示しています。岩手県については、総実労働時間が139.5時間、所定外労働時間が9.2時間と全国平均をやや上回る水準にあり、勤務日数が18.3日と他県に比べて多い点も注目されます。これは、月間の稼働日が多いために労働時間が増加していると考えられます。

次に給与に関する項目を見てみると、全国の現金給与総額は309,059円となっており、きまって支給する給与は282,931円、うち所定内給与は263,102円、特別給与は26,128円という構成でした。この数字は、季節的な賞与などが比較的少なかったことを示しており、給与の大部分が月例の固定給によって構成されている実態が明らかです。

地域別に見ると、北海道の現金給与総額は283,991円と全国平均を約25,000円下回っています。特別給与は30,355円とやや高めであることから、季節的な一時金が他県よりも多く支給されていた可能性があります。一方、青森県では現金給与総額が253,593円、きまって支給される給与が238,622円、所定内給与が223,656円と、いずれも全国平均を大きく下回る結果となりました。これは、労働時間が長いにもかかわらず、報酬面での待遇が相対的に低い状況を表しており、企業側としては人材の流出を防ぐ対策が求められます。

岩手県においては、現金給与総額が269,543円、きまって支給する給与が254,450円、所定内給与が236,879円、特別給与が15,093円となっており、全国平均よりもやや低い水準にあります。ただし、出勤日数が18.3日と多いことを踏まえると、日当ベースで見た場合の労働価値は一定水準に保たれているとも解釈できます。

こうした地域差は、企業が採用戦略を策定する際に無視できない要素です。例えば、首都圏以外の地域では人材確保がますます難しくなっており、報酬水準や労働時間の改善が重要な差別化要因になります。特に東北地方のように労働時間が長く、給与が相対的に低い地域では、働き方改革や福利厚生の充実によって、他企業との差別化を図ることが求められるでしょう。

企業の採用担当者にとって注目すべき点は、出勤日数と給与水準の関係です。たとえば、北海道の出勤日数は17.6日で、全国平均よりもやや長いですが、給与は全国よりも低く設定されています。これは、フルタイム労働者であっても地域特性によって給与体系が変動している可能性を示しています。企業が地方拠点での人材採用を検討する際には、地域ごとの労働実態を把握したうえで、全国的な給与水準とのギャップを埋める施策が必要です。

また、特別給与の支給額にも注目が必要です。特別給与は賞与や一時金などに該当しますが、北海道では30,355円、岩手県では15,093円と、地域ごとに大きな差が生じています。これは、業種や企業規模、地域経済の実情によって変動するため、柔軟な対応が求められます。とくに賞与が少ない地域では、固定給や手当を厚くすることで、実質的な年収を確保する工夫が有効です。

全国的に見ると、所定外労働時間が10時間前後にとどまっていることは、長時間労働の是正が一定程度進んでいることを示していますが、労働時間と給与のバランスが必ずしも取れていない地域もあります。この点は、企業としても見過ごせない重要なポイントです。人材の定着を図るためには、単なる賃金引き上げだけでなく、働きやすい職場環境の整備や、ライフスタイルに応じた柔軟な勤務体系の導入が鍵を握るでしょう。

令和7年3月の毎月勤労統計調査結果は、企業にとって採用・人事施策を検討する際の重要な参考資料となります。単なる数字の羅列ではなく、地域性、業種特性、労働環境の背景にある要因を深く理解し、自社に最適な戦略を描くことが、人材競争を勝ち抜くために不可欠です。

この記事の要点

  • 全国の常用労働者数は約5,085万人で前年同月比で安定した推移
  • 全国平均の総実労働時間は132.7時間、所定外労働時間は10.2時間
  • 青森県や岩手県では労働時間が全国平均を上回る
  • 全国平均の現金給与総額は309,059円、きまって支給する給与は282,931円
  • 北海道や青森県では給与水準が全国平均を下回る
  • 特別給与の金額には地域差があり、北海道では約30,000円、岩手県では約15,000円
  • 出勤日数は全国平均で17日程度だが、岩手などでは18日以上の地域もある
  • 給与と労働時間のバランスが取れていない地域では離職リスクが高まる
  • 地域性を踏まえた柔軟な採用施策が必要
  • 給与改善だけでなく職場環境の整備も人材確保の鍵となる

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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