2025年9月26日
労務・人事ニュース
令和7年8月の東北景気調査に見る人手不足と採用難の実態、建設業や飲食業で顕著に
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最終更新: 2025年9月26日 09:35
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最終更新: 2025年9月25日 23:02
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景気ウォッチャー調査(令和7年8月調査)― 東北(先行き)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年8月に実施された景気ウォッチャー調査において、東北地方の経済動向とその見通しが明らかになりました。調査では、観光業や製造業など一部で回復傾向が見られるものの、物価高騰、最低賃金の引上げ、米国の関税政策の影響により、多くの業種で慎重または悲観的な見方が広がっています。求人や採用活動への影響も顕著で、採用担当者にとって注目すべき変化が報告されています。
令和7年8月に実施された景気ウォッチャー調査によると、東北地域の景気に対する見通しは、一部の業種で改善傾向が見られる一方、全体としては慎重な姿勢が根強い状況にあります。とくに地域経済において重要な観光産業では、秋の行楽シーズンや紅葉シーズンを見据えた先行予約が順調であり、都市型ホテルや観光名所、旅行代理店からは回復への期待が寄せられています。
インバウンド需要も徐々に戻りつつあり、特に訪日外国人客の予約状況が前年を上回っているとの報告もありました。これにより、宿泊業や小売業の一部では、客単価の上昇や来客数の増加を見込む動きが強まっています。
百貨店やスーパーなどの小売業では、秋の新作商品やイベント開催などを通じて来客数が増加傾向にあるものの、依然として物価上昇による生活防衛意識が強く、消費者の支出は限定的です。とくに食品や日用品を扱う業態では、物価高が続くなかで消費者の節約志向が強まり、売上の維持に苦慮している様子がうかがえます。コンビニ業界でも、商品価格の値上げが続いており、買上点数の伸び悩みや来客数の減少が懸念されています。最低賃金の引上げに伴う人件費の増加も、収益を圧迫する要因として多くの経営者が懸念を示しています。
製造業では、金属製品製造業や食品加工業の一部で回復の兆しが見られています。特に米農家に対しては、令和7年度の概算金が前年度比160%に達する見込みとの情報があり、農業従事者からは安心感の声が上がっています。
米価の上昇は農家の収入増加をもたらす一方で、消費者側には負担増となり、米離れや代替商品の購入といった新たな消費行動の変化が起きる可能性も指摘されています。さらに、建設業においては受注量の確保が続いているものの、人手不足や建材価格の高騰などによるコスト上昇が経営に重くのしかかっており、今後の利益確保に対する不安が拭えません。
求人や雇用に関する動向も大きな注目を集めています。職業安定所の報告では、令和7年7月時点での新規求人数、有効求人数はいずれも前年より増加しているとされている一方で、最低賃金の大幅な引上げによる求人申し込みの減少が想定されており、採用活動に慎重な企業が増えていることが明らかになっています。
また、業種ごとに求人状況に差があり、建設業や飲食業などでは人手不足が依然として深刻であるとの報告もあります。人材派遣会社の現場では、求人数の減少傾向が続いており、求人情報誌製作会社からも求人広告件数が低調であることが指摘されています。このような状況は、東北地域に限らず全国的な傾向として表れているという見方もあり、雇用の先行きに対して危機感を持つ声が強まっています。
特に中小企業においては、物価上昇分のコストを十分に転嫁できておらず、賃上げの余地が限られていることから、従業員の給与水準は依然として低いままとなっています。このため、消費者の手取り額が増えず、家計の引き締めが続いていることが、消費活動を抑制し、結果として企業の売上にも影響を及ぼすという悪循環に陥っています。アウトソーシング企業や派遣会社の担当者からも、給与水準が伸びない中での物価上昇が景気全体の重しとなっているとの指摘が相次いでいます。
一方で、通信業界では11月からサービスエリアの拡大が予定されており、それに伴うインターネットおよび放送サービスの加入者増加が見込まれています。新規オープンする大型商業施設でのキャンペーン実施も計画されており、消費喚起の一手として期待されています。さらに、米の収穫見込みが好調であることから、農家を中心に地域経済が潤うという楽観的な見通しも一部で語られています。
ただし、こうした好材料が広く地域経済全体に波及するには時間がかかる見通しであり、個別の業種や地域によって明暗が分かれているのが現状です。とくに公共事業や民間事業において受注量の減少が見られる窯業・土石製品製造業などでは、すでに厳しい経営環境に直面しており、回復の見通しは立っていません。また、半導体関連分野では受注量の減少が9月以降も続く見込みであり、その影響が製造業全体に波及することが懸念されています。
こうした中で、企業の採用担当者が注目すべき点は、労働市場の構造的な変化と、物価上昇・最低賃金引上げが企業経営と人材確保に与える影響です。今後の採用活動を成功させるためには、賃金水準の見直しに加えて、働き方や福利厚生、柔軟な労働環境の整備といった多角的なアプローチが求められます。また、求人の訴求内容や採用チャネルの選定も再検討する必要がある時期に来ているといえるでしょう。
この記事の要点
- 観光業ではインバウンドの回復や先行予約の好調で明るい兆しが見られる
- 物価高と最低賃金引上げにより小売業や飲食業で消費意欲の低下が続いている
- 建設業では受注は安定しているが人手不足とコスト高が深刻化している
- 米農家には概算金の上昇で収入増の期待があるが消費者側には負担増となっている
- 令和7年7月時点で新規求人数と有効求人数は前年より増加したものの求人申し込みは今後減少が予想されている
- 中小企業では賃上げの余力が乏しく消費喚起につながりにくい状況が続いている
- 通信業など一部業界では新規加入者増など前向きな展開もみられる
- 製造業や派遣業では求人と業績の見通しに不透明感が強まっている
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ