2025年9月8日
労務・人事ニュース
令和7年11月21日から青森県最低賃金 時給1,029円、76円アップ
- 「残業ゼロ」/正看護師/介護施設/住宅補助あり
最終更新: 2025年9月7日 22:36
- 「夜勤なし」/准看護師/オンコールなし
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- 「駅チカ」/正看護師/デイケア/介護施設/夜勤なし
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- 「土日祝休み」/正看護師/特別養護老人ホーム/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年9月7日 22:36
青森県最低賃金を時間額1,029円に(青森労働局)
この記事の概要
青森県の最低賃金が令和8年11月21日から時間額1,029円に引き上げられることが決定されました。これは現行の953円から76円(約7.97%)の増額で、過去最大級の上昇率となります。地域の労働環境改善や物価高への対応が背景にあり、使用者・労働者双方にとって重要な変更です。
令和7年11月21日から青森県において新たな最低賃金額が施行されることが決定されました。これにより、現行の時間額953円から76円引き上げられ、1,029円となる見込みです。この改定案は、令和7年7月15日に青森労働局長から諮問を受けた青森地方最低賃金審議会が、複数回にわたり専門部会を通じて慎重な審議と調査を実施し、その結果をもとに令和7年8月28日、正式に答申されたものです。この新しい最低賃金は7.97%の引き上げ幅であり、全国的な物価上昇や雇用環境の変化に対応するための措置として、注目されています。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が労働者に対して保障すべき最低限の賃金を定める制度であり、すべての使用者はこの最低賃金額以上の賃金を支払う義務を負っています。最低賃金を下回る賃金しか支払っていない場合、その使用者は労働者に対して差額を支払わなければならず、また最大50万円以下の罰金が科される可能性もあります。したがって、この制度は労働者の生活の安定を図るとともに、公正な労働条件の確保を目的としており、労働市場全体に大きな影響を与えるものです。
今回の改定は、青森地方最低賃金審議会における多様な専門家の意見を踏まえて行われました。同審議会は、公益委員、労働者側委員、使用者側委員の三者構成によって成り立っており、それぞれの立場から意見が交わされました。公益委員には青森大学や弘前大学の教授・准教授、弁護士などが名を連ね、労働者側からは労働組合の役員が、使用者側からは県内企業や経済団体の代表者が参加しています。このように多角的な視点からの意見交換が行われたことで、地域の実情に即した賃金改定が可能となりました。
青森県の最低賃金は、平成26年度には時間額679円でしたが、令和6年度には953円まで引き上げられており、この10年間で274円、率にして約40%の上昇を遂げています。特に近年は引き上げ幅が大きく、令和4年から令和6年にかけては毎年約50円ずつの上昇が続いています。これは全国的な最低賃金引き上げの流れを反映しており、物価高騰や人手不足など、現在の経済社会情勢を背景に、労働者の生活防衛策としても重要な役割を担っています。
今後の流れとしては、今回の答申に基づいて異議申出の公示が行われ、その後、正式な改定額の決定と公示がなされます。異議申出がなければ、令和7年11月21日より新しい最低賃金が発効されることになります。企業や事業主にとっては、就業規則や労働条件通知書の見直し、給与体系の再検討など、速やかな対応が求められます。一方で、労働者にとっては収入の増加が期待され、特にパートタイム労働者や非正規雇用者など、賃金の低さが問題視されていた層にとっては大きな前進となります。
青森県は他の地域と比較しても平均賃金が低く、また若年層の県外流出や高齢化など、地域特有の課題を抱えています。こうした背景からも、今回の最低賃金の引き上げは地域経済にポジティブな影響を与える可能性があります。消費者の購買力が向上すれば、地元経済の活性化にもつながると見込まれ、さらに若年層の県内定着にも寄与する可能性があります。ただし、すべての中小企業が急激な賃上げに対応できるわけではなく、特に人件費比率の高いサービス業などでは経営への影響が懸念されます。
そのため、政府や自治体による支援策の充実が今後ますます重要になります。たとえば、業務効率化を目的としたDX導入への補助や、経営相談の体制強化、人材育成に関する支援制度などを通じて、企業が無理なく賃上げを実施できるような仕組みづくりが求められています。さらに、最低賃金の引き上げとあわせて、働きがいのある職場づくりやキャリアアップ支援といった総合的な雇用政策が重要視される時代となっています。
このように、最低賃金の改定は単なる賃金額の見直しにとどまらず、地域経済や労働環境全体に波及する重要な政策です。青森県における今回の最低賃金引き上げも、長期的な視点で見れば、持続可能な地域社会の構築や、働く人々が安心して生活できる環境づくりの一環として位置づけられるべきです。企業の採用担当者や経営者は、短期的なコスト増にとらわれるのではなく、労働力確保や職場の魅力向上という中長期的な視野を持って対応することが求められます。
特に人材確保が困難になりつつある現在の労働市場では、適正な賃金水準の提示が求職者にとっての企業選びの重要な判断基準となっており、最低賃金の遵守とその上をいく給与設計が、優秀な人材を惹きつける要素の一つとなります。青森県で事業を展開する企業は、今回の改定を一つの契機ととらえ、より良い職場環境の整備と経営基盤の強化に取り組むことで、地域経済全体の底上げにも貢献することができるでしょう。
この記事の要点
- 青森県の最低賃金が時間額1,029円に改定される
- 現行の953円から76円、7.97%の引き上げ幅
- 新しい最低賃金は2025年11月21日から施行予定
- 最低賃金制度は法律により定められており、違反には罰則もある
- 青森県の最低賃金は過去10年で約40%上昇している
- 公益・労働者・使用者の三者による審議を経て答申
- 中小企業への影響を考慮し支援制度の充実が求められる
- 最低賃金の引き上げは地域経済や労働市場にも影響する
- 適正な賃金水準が人材確保と企業の魅力向上につながる
⇒ 詳しくは青森労働局のWEBサイトへ