2025年9月24日
労務・人事ニュース
総実労働時間141.6時間、前年比0.1%増で横ばい傾向が続く(令和7年7月速報分)
- 「駅チカ」/准看護師・正看護師/健診センター/夜勤なし
最終更新: 2025年9月23日 22:36
- 「夜勤なし」/准看護師/訪問看護ステーション/訪問看護/オンコールなし
最終更新: 2025年9月23日 22:36
- 「高給与」/准看護師・正看護師/内科/消化器内科/呼吸器内科/クリニック
最終更新: 2025年9月23日 22:36
- 「土日祝休み」/正看護師/内科/歯科/消化器内科/クリニック
最終更新: 2025年9月23日 22:36
毎月勤労統計調査 令和7年7月分結果速報 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)
この記事の概要
令和7年7月に実施された毎月勤労統計調査によると、全産業における月間総実労働時間は141.6時間で、前年同月比ではわずかに0.1%増加しました。特に電気・ガス業は167.2時間で前年比1.8%の増加、所定外労働時間は16.3時間と大きな伸びを示しています。出勤日数はほぼ前年並みで推移しています。
厚生労働省が公表した令和7年7月分の毎月勤労統計調査によれば、労働者1人あたりの月間実労働時間と出勤日数には、産業別に顕著な差があることが明らかになりました。調査産業全体の平均として、月間総実労働時間は141.6時間となり、前年同月比で0.1%のわずかな増加が見られました。この数値は大きな変化ではないものの、労働時間の増減がほぼ横ばいであることから、業務量や働き方に大きな変動はなかったと考えられます。
この総実労働時間には、所定内労働時間と所定外労働時間(いわゆる残業時間)の両方が含まれます。全産業平均では、所定内労働時間が131.8時間で前年比0.3%増、所定外労働時間が9.8時間で前年比3.0%の減少という結果になりました。このことは、企業が所定内の勤務時間で業務を完結させる取り組みを強化している可能性を示唆しており、ワークライフバランスの観点からも望ましい傾向と言えるでしょう。
一方で、産業ごとに見ていくと、大きな違いが浮かび上がります。例えば、建設業における月間総実労働時間は170.1時間と全体平均よりも28.5時間長く、所定外労働時間も12.8時間と高めの水準です。これは、季節や天候に左右される作業が多く、納期や進捗管理の必要性から長時間労働が続くことが一因と考えられます。出勤日数は20.9日で、前年同月比では0.2日増加しており、休日出勤や作業日増加の傾向も読み取れます。
製造業においても同様に、総実労働時間は164.1時間、所定外労働時間は13.4時間と比較的高い数値が報告されました。所定内労働時間は150.7時間で、前年比1.3%の増加、所定外労働時間は前年比1.5%の減少となっており、残業を減らしつつ本来の勤務時間で作業を効率的に進める取り組みが進んでいる様子が伺えます。出勤日数は19.9日で、前月より0.3日増加しています。
一方で、電気・ガス業の実労働時間は特に注目される内容となっています。総実労働時間は167.2時間で前年比1.8%増、所定外労働時間は16.3時間と高く、前年比で8.0%もの増加を記録しました。このような増加傾向は、災害対応や設備点検、保守業務など突発的な業務が影響している可能性があります。出勤日数は20.0日で、前年同月比0.2日増加しており、年間スケジュールに基づいた業務対応の影響が反映されていると考えられます。
鉱業・採石業等においては、総実労働時間が169.3時間と全体平均を大きく上回っており、所定内労働時間も157.9時間と高水準です。これは前年と比較して2.8%の増加であり、労働集約的な産業構造が労働時間に強く反映されていることが分かります。所定外労働時間は11.4時間で前年比16.2%の大幅減となりました。出勤日数は20.6日と多く、勤務日数も長期化している傾向がありますが、業務効率化により残業時間は抑制されていることが読み取れます。
このように、業種ごとに実労働時間や残業時間、出勤日数には顕著な差が存在しており、企業の業務形態や生産工程、顧客対応の性質が反映されていることがわかります。特に所定外労働時間の増減は、企業の働き方改革の成果や、人員配置の最適化、さらには繁忙期・閑散期のバランス調整がどれだけ進んでいるかを示す指標として注目すべきです。
また、出勤日数については、全体平均で18.3日と前年と同じ水準を維持しており、大きな変化は見られませんでした。ただし、建設業や鉱業では20日以上と高い数値を示しており、企業によっては依然として長時間労働が常態化している業種も存在しています。今後の労働政策においては、労働時間の短縮だけでなく、業種特性に即した柔軟な労働時間制度の導入や、労働者の健康確保への取り組みも求められるでしょう。
企業の採用担当者にとっては、こうしたデータは重要な指標です。応募者が業種別の労働環境を比較する際に、総労働時間や残業時間、出勤日数といった要素は非常に重視されます。自社の勤務実態が業界平均と比べて過剰でないか、また他社と比べて魅力的な労働条件を提示できているかの検証は、優秀な人材の獲得に直結します。
さらに、現在の就職市場では「ワークライフバランス」や「柔軟な働き方」に対する関心が非常に高まっており、労働時間や出勤日数の実態は、企業ブランディングやイメージ形成にも大きな影響を与えます。各企業は、こうした統計データを基に、従業員の働きやすさを客観的に評価し、改善に向けた取り組みを強化していく必要があります。
この記事は2025年09月05日に作成されました。
この記事の要点
- 全産業の月間総実労働時間は141.6時間で前年比0.1%の微増
- 所定内労働時間は131.8時間で前年比0.3%増加
- 所定外労働時間は9.8時間で前年比3.0%減少
- 電気・ガス業は総実労働時間167.2時間で残業時間は16.3時間と高水準
- 建設業では実労働時間が170.1時間、出勤日数は20.9日で増加傾向
- 製造業の残業時間は13.4時間、前年同月比で1.5%減少
- 鉱業・採石業の残業時間は11.4時間で前年比16.2%減と大幅抑制
- 出勤日数は全体平均で18.3日と前年同月と変わらず
- 業種ごとに労働時間・出勤日の差が大きく、働き方改革の影響が分かれる
- 採用活動では業種別の労働時間データが競争力ある雇用条件の整備に重要
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ