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2025年9月23日

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令和7年度水産資源評価でマアジ・マイワシなど7種9資源の現状が明らかに

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令和7年度我が国周辺水域の水産資源に関する評価結果が公表されました(マアジ、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ、キンメダイ、トラフグ、マダイ)(水産庁)


この記事の概要

国立研究開発法人水産研究・教育機構は、令和7年度における水産資源評価の結果を公表し、マアジやマイワシをはじめとする7種9資源について、我が国周辺水域における資源の現状が明らかになりました。


水産資源の持続的な利用と生態系の健全な維持は、現在の水産業にとって避けて通れない課題です。乱獲や環境変動などの影響を受け、水産資源の量が大きく変動する中、科学的なデータに基づいた資源管理の必要性は年々高まっています。このような背景のもと、国立研究開発法人水産研究・教育機構は、毎年日本周辺海域で漁獲される主要魚種の資源評価を行っています。今回発表された令和7年度の評価では、マアジ、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ、キンメダイ、トラフグ、マダイの計7種9資源について、その資源の現況が明らかにされました。

今回の調査の特徴は、全国の関係機関との連携により科学的な調査と評価が共同で実施されている点にあります。水産研究・教育機構を中心に、関係都道府県の試験研究機関や専門家が参加し、資源の変動や漁獲圧、繁殖状況など多角的なデータをもとに総合的な分析が行われました。この評価は、漁業管理政策の立案や漁獲枠の設定にとって極めて重要な基礎情報となるものであり、日本の水産業の未来を左右すると言っても過言ではありません。

評価対象の一つであるマアジについては、太平洋系群と対馬暖流系群の二つの系群に分けて評価が行われています。マアジは国内での消費量も多く、スーパーなどの小売市場でも広く取り扱われている重要魚種です。その資源状態を把握することは、安定供給の観点からも極めて重要です。同様に、マイワシについても太平洋系群と対馬暖流系群に分けて評価が行われており、過去には資源の激減と回復を繰り返してきた魚種だけに、長期的なモニタリングが欠かせません。

また、ウルメイワシとカタクチイワシの評価も今回の発表に含まれており、これらの魚種は食用としてだけでなく、養殖用の餌や加工食品の原材料としても需要が高いため、その動向が水産業全体に波及する影響は非常に大きいものとなります。近年では、気候変動の影響によって産卵海域や回遊経路が変化するケースも報告されており、こうした変動に対する対応策を検討する上でも、資源評価の精度向上が求められています。

さらに、深海魚であるキンメダイも太平洋海域において評価対象となっており、こちらは高級魚としての価値が高く、主に料亭や高級飲食店向けに流通しています。漁獲圧が大きくなると回復に時間を要する魚種でもあるため、資源の現状と適正な管理の在り方について慎重な判断が求められています。

トラフグについては、伊勢湾や三河湾を中心とした系群が評価対象となっており、こちらも食文化において欠かせない高級魚のひとつです。近年では天然資源の減少を背景に養殖も進んでいますが、天然個体群の維持は依然として重要な課題です。同様に、マダイに関しては日本海西部および東シナ海系群の動向が評価されており、地域によっては重要な漁獲対象として地場産業を支える存在であることから、資源の変動が地域経済に与える影響も大きいものとなります。

今回の資源評価の公表は、漁業関係者だけでなく、消費者や流通関係者、さらには行政にとっても極めて重要な情報源となります。魚種ごとの評価内容は、漁獲量の推移、産卵成功率、加入量(新たに漁獲可能となる個体数)など多岐にわたる指標をもとに、専門的な解析が加えられています。こうした科学的根拠に基づいた情報は、資源を「獲る」ことから「守る」ことへと意識を転換させる重要なきっかけとなるでしょう。

持続可能な水産業の実現には、まず資源の状態を正しく把握することが欠かせません。そしてその上で、適切な漁獲管理と資源回復のための取り組みを、地域社会や関係業界が一体となって進めていく必要があります。特に気候変動が進む現代においては、海水温や海流の変化など自然環境の影響を的確に把握し、それを資源管理にどう反映させるかが今後の重要なテーマとなっていくことでしょう。

今回公表された資源評価結果は、下記の水産研究・教育機構の公式ページにおいて詳細に確認することができ、評価方法や具体的な資源量の変動など、より専門的なデータも参照することが可能です。今後、これらのデータが政策立案や現場の判断にどう活かされていくのか、注目が集まるところです。

この記事の要点

  • 令和7年度に7種9資源の水産資源評価結果が公表された
  • 対象魚種はマアジ、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ、キンメダイ、トラフグ、マダイ
  • マアジとマイワシはそれぞれ太平洋系群と対馬暖流系群に分けて評価
  • 水産研究・教育機構と地方研究機関の連携により科学的手法で実施
  • 評価結果は漁獲枠や漁業政策の根拠となる重要なデータ
  • カタクチイワシやウルメイワシは加工・養殖業界への影響が大きい
  • キンメダイやトラフグ、マダイは地域経済に与える影響も重要視されている
  • 気候変動に対応するためにも長期的な資源モニタリングが不可欠

マアジ太平洋系群の2024年漁獲量は2.3万トン、資源回復に向けた管理基準値案の詳細解説

マアジ(太平洋系群)は日本の太平洋側沿岸に生息し、特に宮崎県から高知県にかけて0歳魚の漁獲尾数が多いことが特徴です。1980年代後半以降、漁獲量は増加し1993~1997年には7万~8万トンで推移しましたが、その後は減少し2024年には2.3万トンと大幅に落ち込みました。年齢別の漁獲尾数を見ると、0歳魚と1歳魚が主体であり、2015年に最低の6,600万尾を記録したものの、2023年には2億9,600万尾に回復し、2024年も1億7,700万尾と比較的高い水準を維持しています。資源量指標では0歳魚のCPUE(漁獲努力当たりの漁獲量)が前年より増加している一方、親魚量の指標である平均卵密度は全体的に減少傾向にあります。

資源の年齢組成は0歳と1歳魚が中心で、2歳以上の割合は少なく、親魚量は1982年以降増加し1992年に最高の6.4万トンを記録しましたが2001年以降は減少し、2024年は2.2万トンと推定されています。加入量(0歳魚資源尾数)は1993年に24億尾で最大となった後減少傾向でしたが、2023年に再び増加し2024年も約7.1億尾と見積もられています。資源量は1996年に16.2万トンをピークに減少し2021年には3.6万トンまで落ち込みましたが、2023年から回復し2024年は5.7万トンでした。漁獲割合は近年横ばいで40%前後で推移しています。

管理基準値案としては、最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量(SBmsy)が5.2万トンと算定され、目標管理基準値案はこのSBmsy、限界管理基準値案はMSYの60%の漁獲量が得られる親魚量、禁漁水準案はMSYの10%の漁獲量が得られる親魚量と設定されています。再生産関係モデルによる分析では、過去の親魚量と加入量の関係が評価され、神戸プロットでは1991~2001年にかけて親魚量がSBmsyを上回っていたものの、2024年の親魚量はSBmsyの42%に留まり、漁獲圧はFmsyの1.45倍と高い状態が続いています。

漁獲管理規則案では調整係数βを0.8とした場合、将来的に親魚量は増加しSBmsyを超える水準で安定し、漁獲量もMSY水準付近で推移すると予測されています。2036年に親魚量が目標管理基準値案を上回る確率はβ=0.8の場合65%、β=0.9以下なら50%以上の確率で達成可能と見込まれています。一方、現状の漁獲圧(β=1.40相当)では親魚量の回復は期待できず、持続可能な資源管理のためには漁獲圧の適正化が不可欠です。このように本系群の資源管理は科学的データに基づき慎重に進められており、今後の資源評価に応じて管理基準値等は更新される予定です。

参考:マアジ太平洋系群

対馬暖流系群マアジの資源量37.2万トンと親魚量18.7万トン

マアジ(対馬暖流系群)は東シナ海南部から日本海北部沿岸域にかけて広範囲に分布しており、漁獲物の年齢組成は主に0歳と1歳魚が中心で2歳以上の割合は少ないことが特徴です。1980年代から1990年代にかけて日本と韓国の合計漁獲量は20万トンを超える時期もありましたが、その後は減少傾向となり、2024年の漁獲量は10.8万トンで、日本が6.8万トン、韓国が4.0万トンを占めています。

資源量は2013年から2023年の間に32.2万トンから40.0万トンの範囲で推移し、2024年は37.2万トンと安定した水準を維持しています。加入量は2020年以降30億尾を下回る低水準でしたが、2024年には増加傾向が見られました。親魚量は直近5年間で横ばい傾向にあり、2024年は18.7万トンでした。

再生産関係の解析では1973年から2023年のデータを用いてホッケー・スティック型モデルが適用され、親魚量と加入量の関係性が示されています。最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量は27.3万トンと算出され、目標管理基準値としてこの数値が設定されています。限界管理基準値はMSYの60%の漁獲量が得られる親魚量、禁漁水準はMSYの10%の漁獲量が得られる親魚量と提案されています。2024年の親魚量は18.7万トンであり、MSYの目標値には届いていませんが、漁獲圧はFmsyの77%に抑えられている状況です。

漁獲管理規則案では調整係数βを0.8とした場合の将来予測が示されており、これに基づくと親魚量はMSYを上回った後に安定し、漁獲量もMSY水準に達して横ばいになると予測されています。2036年に親魚量が目標管理基準値を上回る確率は65%と見込まれており、βを0.9以下に設定すれば50%以上の確率で目標を達成できるとされています。このように科学的根拠に基づく資源評価と管理基準の設定により、持続可能な漁業運営が期待されています。

参考:マアジ対馬暖流系群

マイワシ太平洋系群の資源量399.8万トン、親魚量269.9万トンの最新推定

マイワシ太平洋系群は日本沿岸から沖合に広く分布し、産卵場は四国沖から関東近海の黒潮内側域に形成されています。漁獲量は1970年代後半から1980年代にかけて非常に高い水準でしたが、1990年代に急激に減少し、その後2000年代は極めて低い状態が続きました。2010年代に入ってからは再び増加傾向を示し、2019年以降は50万~60万トン前後で安定しています。2024年の日本の漁獲量は52.2万トンであり、外国船による漁獲も増加しており、ロシアが59.3万トン、中国が26.1万トンを漁獲し、3ヵ国合計で137.6万トンに達しています。

資源量指標を見ると、親魚量は2000年代前半に非常に低い水準でしたが、2010年代以降特に潮岬以東で顕著に増加しました。しかし2024年および2025年は2010年代前半の水準にまで減少しています。加入量や1歳魚資源量の指標も2010年級群以降比較的高い値を示しましたが、直近数年は低下傾向が見られます。年齢別資源尾数では0歳・1歳魚が主体でしたが、近年は2歳以上の割合が増加しています。資源量は2009年以降増加傾向にあり、2021年には500万トンを超えましたが、加入量の減少により2024年は399.8万トンと推定されました。親魚量は2024年に269.9万トンと推定され、加入量は564億尾と良好ながら減少傾向にあります。

再生産関係は通常加入期(1988~2024年)と高加入期(1976~1987年)に分けて分析され、最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量は143.2万トンと算定されました。目標管理基準値としてSBmsy、限界管理基準値としてMSYの60%相当の漁獲量が得られる親魚量、禁漁水準としてMSYの10%相当の漁獲量が得られる親魚量が提案されています。2024年の親魚量は269.9万トンでSBmsyの約1.89倍、漁獲圧はFmsyの約2.14倍でした。

漁獲管理規則案では調整係数βを0.9とした場合、2026年の平均漁獲量は60.3万トン、2036年には親魚量が目標管理基準値案を100%の確率で上回ると予測されています。βが1.0以下の場合は親魚量が十分に維持される見込みですが、体重低下などの影響も考慮するとβは0.9以下が望ましいとされています。現状の漁獲圧はβ=1.65相当であり、これを改善することが資源の持続的利用につながります。将来的には漁獲管理規則案に基づく管理が推奨され、資源の安定的な維持と漁獲量の確保が期待されています。

参考:マイワシ太平洋系群

2024年のマイワシ資源量175.1万トンと親魚量72.9万トンの増加傾向に基づく資源管理の最新動向

マイワシ(対馬暖流系群)は日本周辺の東シナ海から日本海にかけて広範囲に生息しており、主な産卵場は日本の沿岸域です。漁獲物の年齢構成は主に0歳から2歳の若魚が中心ですが、2024年には1歳から3歳魚の割合が増加しました。

1970年代から1980年代にかけて漁獲量は増加し、1983年から1991年には100万トンを超える水準でしたが、その後急激に減少し2001年にはわずか1千トンとなりました。2011年以降は増減を繰り返しながらも概ね横ばいで推移し、2023年に10万トンを超え、2024年には14.4万トンに達しています。資源量指標は2010年以降増加傾向を示し、2024年の資源量は175.1万トン、親魚量は72.9万トン、加入尾数は308億尾と報告されています。

資源管理に関しては最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量(SBmsy)が108.9万トンと算定されており、目標管理基準値としてこのSBmsyが設定されています。限界管理基準値はMSYの60%相当の親魚量、禁漁水準はMSYの10%相当の親魚量と提案されています。2024年の親魚量は72.9万トンでSBmsyの約67%にあたり、漁獲圧(F)はFmsyの44%と低い水準にあります。

将来予測では、漁獲管理規則案に基づき調整係数βを0.8とした場合、2026年の平均漁獲量は45.3万トンとなり、2036年には親魚量が目標管理基準値を上回る確率が56%と見込まれています。βを0.8以下に抑えれば50%以上の確率で目標管理基準値を超えることが期待されます。これらの予測は今後の資源評価によって更新される可能性があります。

参考:マイワシ対馬暖流系群

ウルメイワシ太平洋系群の資源量指標値0.95、漁獲管理規則による漁獲量調整

ウルメイワシは日本沿岸域に広く分布し、特に日向灘から熊野灘の沿岸域が主要な漁場となっています。漁獲量は1990年代以降変動しつつも増加傾向を示し、2015年に4.9万トンの最高値を記録しましたが、その後は減少に転じ、2024年は2.5万トンでした。

資源量指標値は卵密度や各県の標準化CPUE、残存資源量など複数のデータを用いて余剰生産モデルで推定されており、全期間の平均を1とした場合、2024年は0.95と低下しています。この数値は資源水準として43.8%に相当し、提案された目標管理基準値80%や限界管理基準値56%を下回っているため、資源の保全が求められています。

漁獲管理規則案では、資源水準に応じて漁獲量を調整する係数が設けられており、2024年の資源水準に基づく係数は基本規則案で0.801、変動緩和規則案で0.844です。これにより、2026年の算定漁獲量は直近5年間の平均漁獲量2.8万トンに係数を乗じて計算され、基本規則案では2.2万トン、変動緩和規則案では2.3万トンとなります。

変動緩和規則案では漁獲量の急激な変動を抑制する措置があり、算定漁獲量が最新年の漁獲量の60%未満になる場合はその水準に置き換えることになっていますが、今回の算定漁獲量はこの下限を上回っているため置き換えは行われません。

本資料は研究機関会議で暫定的に示されたものであり、管理基準値や漁獲管理規則についてはステークホルダー会合での議論を経て最終決定される見込みです。現状の資源水準は限界管理基準値を下回っているため、持続可能な漁業運営のためには適切な漁獲管理が不可欠であることが示されています。

参考:ウルメイワシ太平洋系群

2024年のカタクチイワシ漁獲量4.9万トンと資源量29.9万トンの最新動向と将来予測

カタクチイワシ(太平洋系群)は日本周辺の太平洋側に生息し、1990年代から2000年代初頭にかけて漁獲量が急増したものの、その後は減少し2024年には4.9万トンとなりました。年齢別漁獲尾数を見ると、2014年以降は主に0歳と1歳の若い個体が漁獲物の大部分を占めています。資源量指標として調査船による0歳魚CPUEは2015年以降低水準ながら2021年と2024年に比較的高い値を示し、親魚量も2020年以降は比較的高い水準で推移しています。資源の年齢組成は主に0歳と1歳で構成され、2024年の資源量は29.9万トン、親魚量は6.1万トンでした。

管理基準値については、最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量(SBmsy)が11.2万トンと設定されており、目標管理基準値はこのSBmsy、限界管理基準値はMSYの60%相当の親魚量、禁漁水準はMSYの10%相当の親魚量と定められています。2024年の親魚量は6.1万トンで目標管理基準値には届いていませんが、禁漁水準は大きく上回っています。再生産関係の分析では通常加入期と高加入期に分けたモデルが用いられており、将来予測は通常加入期の再生産関係に基づいています。

神戸プロットによると、2010年以降の親魚量は2010~2014年にSBmsyを上回ったものの、その後は下回っており、2024年はSBmsyの約55%でした。一方、漁獲圧は2010~2013年にFmsyを下回った後、2014~2022年に上回りましたが、2023年以降はFmsyを下回り、2024年の漁獲圧はFmsyの47%でした。漁獲管理規則では調整係数βを0.9とした場合の管理ラインが示されており、この規則に基づく将来予測では親魚量はSBmsyを上回る水準で推移し、漁獲量はMSY付近で安定するとされています。

具体的には、β=0.9の漁獲管理規則を継続した場合、2026年の平均漁獲量は10.7万トン、2035年に親魚量が目標管理基準値を超える確率は59%と予測されています。βを0.7から1.0の範囲で変動させた場合や現状の漁獲圧(β=1.08相当)でも将来予測が示されており、これらのデータは今後の資源評価により更新される可能性があります。これらの情報は持続可能な漁業管理のための科学的根拠として重要であり、企業の採用担当者にとっても資源管理の現状と将来展望を理解するうえで有益です。

参考:カタクチイワシ太平洋系群

キンメダイ太平洋資源の2024年漁獲量4.0千トンと親魚量29.0千トンの最新評価結果について

キンメダイは日本の太平洋岸、特に関東沿岸から伊豆諸島周辺、四国沖南方の海山域に分布しており、主な漁場は房総半島から伊豆半島沿岸、御前崎沖、伊豆諸島周辺、四国沖南方、高知沖、南西諸島周辺海域です。1980年代以降の漁獲量は減少傾向で、2024年は4.0千トンでしたが、関東沿岸から伊豆諸島周辺および四国沖南方の海山域の漁獲量は3.4千トンとなっています。

漁獲物の年齢構成は4歳から10歳が中心で、経年的な変動は小さいことが特徴です。海洋環境の影響を除去した標準化CPUEは多くの地区でノミナルCPUEより高く算出されており、黒潮大蛇行期の影響も示されています。

資源量は2000年代前半までは40千トン台で横ばいでしたが、2015年に30.0千トンまで減少しました。その後は増加傾向に転じ、2024年には38.7千トンに回復しています。親魚量も同様に2017年に21.1千トンまで減少したものの、その後増加し2024年は29.0千トンとなりました。

加入量(2歳魚の資源尾数)は2005年以降減少傾向でしたが、2015年以降は増加し横ばいで推移し、2024年は約1,017万尾です。再生産関係の分析では、最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量は24.3千トンと算定され、目標管理基準値としてこの値が提案されています。限界管理基準値や禁漁水準も設定されており、それぞれMSYの60%、10%に相当する親魚量に対応しています。

神戸プロットによると、親魚量は2016年以降増加傾向で2019年以降はSBmsyを上回っており、2024年はSBmsyの1.19倍です。漁獲圧は過去にFmsyを超えた時期もありましたが、2019年以降はFmsyを下回り、2024年はその0.59倍となっています。

漁獲管理規則案では調整係数βを0.8とした場合の将来予測が示されており、親魚量は目標管理基準値を高確率で維持しつつ、漁獲量はMSY水準に徐々に近づくと予測されています。2036年には親魚量が目標管理基準値を上回る確率は100%と見込まれており、漁獲管理の効果が期待されています。

参考:キンメダイ太平洋

伊勢・三河湾系群のトラフグ漁獲量は1993年の302トンから2024年に144トンに回復傾向

伊勢・三河湾系群のトラフグは主に紀伊半島東岸から駿河湾沿岸に分布し、春に伊勢湾口で産まれた仔魚は湾内外へ成長に伴い分布を広げます。漁獲量は1993年の302トンから2002年には560トンに増加しましたが、その後減少傾向となり2021年には50トンまで落ち込みました。

しかし2022年以降は再び増加し、2024年漁期には144トンに達しています。年齢別では0歳魚と1歳魚が全体の7~9割を占め、2002年以降は資源回復計画の影響で0歳魚の漁獲が減少し、1歳魚中心の漁獲構成に変わりました。2024年漁期は1歳魚の漁獲が大幅に増加しています。

資源量は1993年以降6~7年周期で増減を繰り返しながらも減少傾向でしたが、2021年以降は増加に転じ、2024年には630トンと回復しています。一方、漁獲割合は1993年の68%から減少し、2024年は23%です。加入量(0歳魚の資源尾数)は5~6年周期で変動し、2024年は8.4万尾、うち放流由来は2.7万尾で安定的に推移しています。親魚量は2004年の107トンをピークに増減を繰り返しつつ増加傾向で、2024年は95トンでした。

漁獲圧に関しては2021年以降、最大持続生産量(MSY)を実現する漁獲圧(Fmsy)を下回っており、2024年はFmsyの約0.67倍です。親魚量は2005年以降MSY目標値を下回る時期もありましたが、2024年には目標値の1.14倍に回復しています。

漁獲管理規則案ではFmsyに調整係数β=0.7を乗じた場合の将来予測が示され、これにより親魚量は目標管理基準値を上回る水準で推移し、漁獲量はMSY水準付近で安定すると予測されています。βの範囲を0.7~1.0で変動させたシナリオでも、2036年に目標管理基準値を超える確率は高く、特にβ=0.7の場合は98%以上の確率で達成される見込みです。

また、種苗放流を考慮した場合の将来予測では、放流由来の加入尾数を平均添加効率0.05で換算し加算したシナリオが示され、こちらも親魚量は目標管理基準値を上回り、漁獲量はMSY水準を上回る安定した推移が期待されています。放流効果を含む場合、2036年に目標管理基準値を上回る確率は100%に達し、βの上限を1.15以下に抑えれば50%以上の確率で目標を達成できると予測されています。

このように、本系群のトラフグ資源は過去の減少傾向から回復基調に転じており、科学的根拠に基づいた漁獲管理規則案の適用により持続可能な利用が期待されます。今後も資源評価の更新を通じて管理基準値や漁獲管理規則の最終化が進められる予定です。

参考:トラフグ伊勢・三河湾系群

2024年のマダイ漁獲量4,818トンと親魚量13.8千トン

日本海西部・東シナ海系群のマダイは主に沿岸域に分布し、1~3歳魚が漁獲物の大部分を占めています。2024年の漁獲尾数は約890万尾で、そのうち1歳魚が34%、2歳魚が38%、3歳魚が17%を占めています。漁獲量は1969年から1985年にかけて減少しましたが、1986年以降は4.8千トンから7.1千トンの範囲で安定して推移し、2024年は4,818トンでした。資源量は19.4千トンから23.8千トンの間で変動し、2024年には21.3千トンとなっています。親魚量は資源量の63~70%の範囲で推移し、2024年は13.8千トンでした。

再生産関係の分析によると、親魚量と天然由来の加入量の相関が確認されており、最大持続生産量(MSY)を実現するための親魚量(SBmsy)は39.3千トンと算出されています。暫定目標管理基準値(SB84%msy)は13.1千トン、限界管理基準値は9.0千トン、禁漁水準は1.4千トンと設定されています。2024年の親魚量は暫定目標管理基準値を上回っており、漁獲圧もF84%msyの0.81倍と適切な水準にあります。

将来予測では、漁獲管理規則に基づき調整係数βを1.0とした場合、2026年の平均漁獲量は約6,730トン、2035年に親魚量が暫定目標管理基準値を超える確率は86%と高い見通しです。放流由来の加入も加味したモデルでは、親魚量は暫定目標管理基準値付近で安定し、持続可能な漁業が期待されています。一方、βを0.7~0.9に下げた場合や現状の漁獲圧の場合でも、親魚量の維持が見込まれています。これらの結果は今後の資源評価により更新される可能性がありますが、現時点での科学的根拠として信頼できる情報を提供しています。

参考:マダイ日本海西部・東シナ海系群

⇒ 詳しくは水産庁のWEBサイトへ

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