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2025年9月23日

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令和7年に設立された国立健康危機管理研究機構が担う感染症インテリジェンスのハブ機能

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令和7年版厚生労働白書 第2部 第7章 健康で安全な生活の確保(厚労省)


この記事の概要

本記事では、令和7年版厚生労働白書に基づき、日本の健康危機管理や感染症対策、がん医療、薬剤師の資質向上、食品安全、薬物乱用防止など多岐にわたる公衆衛生政策と施策について詳述します。国立健康危機管理研究機構の設立や新型コロナウイルスワクチン接種体制の強化、肝炎・糖尿病・循環器病対策、食環境改善への取り組み、輸入食品の監視体制まで幅広く解説し、最新の政策動向を丁寧にわかりやすく紹介します。企業の採用担当者にも役立つ具体的な数字や制度の背景も盛り込みました。


令和7年版厚生労働白書は、日本の健康で安全な生活の確保に向けた包括的な政策課題と対応策を詳細に示しています。まず、健康危機管理の分野では、厚生労働省が「健康危機管理基本指針」に基づき、原因不明の事態も含めて医薬品や感染症、飲料水などによる災害対応の意思決定支援システムを整備しています。特に、新型インフルエンザ等対策特別措置法により、政府全体で感染拡大防止と社会経済活動のバランスを図りながら専門家と連携して対策を講じています。新型コロナウイルス感染症に関しては、予防接種法に基づき因果関係が認められた健康被害救済制度を迅速に運用し、国内でのワクチン開発・生産体制の確立を重要視しています。

さらに、2025年4月には国立健康危機管理研究機構(JIHS)が設立され、感染症インテリジェンスのハブとして診療から調査分析、リスク評価まで一体的に行い、初期数百例の知見を迅速に収集する役割を担います。この機構は科学的知見の提供や情報発信、研究開発ネットワークの中心、人材育成、国際連携を推進し、内閣総理大臣および厚生労働大臣に報告を行うことで、次の感染症危機に備えた司令塔機能を強化しています。

感染症対策の中でも、エボラ出血熱や麻しん・風しん、エイズ、性感染症などの対策も継続的に実施されています。特にエイズ対策は人権尊重を前提に普及啓発や検査・相談体制の充実、医療提供を進めており、新規HIV感染者の約3割がエイズ発症状態であることから早期発見の重要性が指摘されています。性感染症対策も性的接触を介した感染リスクに対応し、引き続き強化が求められています。

栄養・食生活の面では、「健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブ」が令和4年に立ち上げられ、産学官が連携して食塩過剰摂取や若年女性のやせ、経済格差に伴う栄養格差などの課題解決を目指しています。これにより、食品製造業者は栄養面や環境面に配慮した商品の開発・販売促進を推進し、メディア等は健康的な食生活の情報提供を行っています。また、身体活動・運動領域では「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が公表され、筋力トレーニングの推奨や座位時間の短縮など具体的な健康増進策が示されています。休養・睡眠の重要性も認識され、十分な睡眠時間の確保や長時間労働の削減を目標に掲げています。

がん対策においては、第4期がん対策推進基本計画が令和5年に閣議決定され、受診率の目標を50%から60%へ引き上げるなど検診受診率向上に注力しています。がん医療提供体制の均てん化や希少がん、小児・AYA世代、高齢者への対応も強化され、がん研究10か年戦略(第5次)も2024年度から開始されます。治療と仕事の両立支援ガイドラインの策定や患者の事情把握ツールの開発も進められており、患者支援の充実が図られています。

糖尿病対策では2016年時点で有病者数が約1,000万人、予備群を含めると約2,000万人に達しており、心血管疾患のリスク因子として一次から三次予防まで総合的な対策が必要です。肝炎対策も重要課題であり、B型・C型肝炎の感染拡大防止や偏見・差別の解消に向けた教育活動が全国で展開されています。肝炎の進行段階に応じた対策も体系的に進められています。

医薬品の安全対策では、市販後の副作用情報収集や緊急安全性情報の提供が徹底されており、小児や高齢者に対する適正使用の推進も図られています。薬剤師の資質向上に向けては、臨床研修ガイドラインの制定や医薬分業の推進が進み、2023年度の院外処方箋発行枚数は8.5億枚、処方箋受取率は80.3%に達しています。薬局医療安全対策推進事業も実施され、地域に根ざした質の高い医薬分業の実現を目指しています。

食品安全の分野では、輸入食品の届出件数が増加傾向にあり、年間約235万件の届出に対して5万件以上のモニタリング検査や検査命令が実施されています。違反確認件数は763件で0.03%に留まっているものの、冷凍食品の成分規格違反や添加物の問題が指摘されています。輸出食品の衛生要件についても輸出先国との協議や施設認定、衛生証明書発行などの体制が整備され、2030年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円に引き上げる目標に向けて政府一体となった取り組みが進められています。

薬物乱用防止対策では、2023年の薬物事犯検挙人員が13,815人にのぼり、指定薬物関連の違反も前年から倍増しています。都道府県と連携した依存症の正しい知識普及や相談窓口の充実、デジタル広報の活用など再乱用防止に向けた多角的な施策が展開されています。献血推進においては、中学生や大学生向けのポスターや教材を通じて理解促進を図り、将来の需要予測に基づいた中期目標設定も行われています。

建築物の衛生管理に関しては、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に基づき、一定規模以上の興行場や学校などの特定建築物に対して維持管理義務が課され、空気環境や給排水、清掃、防除など多面的な衛生対策が推進されています。旅館業法の改正により宿泊施設向けの接遇研修ツールも策定され、サービス品質の向上が図られています。

このように、厚生労働省は多様な健康課題に対して科学的根拠に基づく政策を展開し、国民の健康寿命延伸と安全な生活環境の確保を目指しています。各施策は国と地方自治体、産学官の連携のもとで推進され、最新技術や国際連携も積極的に取り入れられています。企業の採用担当者にとっても、これらの政策動向や具体的な数値は、健康経営や職場環境整備、社員の健康支援プログラムの企画に役立つ重要な情報と言えるでしょう。

この記事の要点

  • 健康危機管理基本指針に基づく感染症対応システムの整備と国立健康危機管理研究機構の設立
  • 新型コロナワクチンの国内開発・生産体制強化と健康被害救済制度の迅速運用
  • エイズや性感染症対策の充実、早期発見と人権尊重の普及啓発活動
  • 健康的で持続可能な食環境づくりの戦略的イニシアチブと身体活動・睡眠の健康増進策
  • がん検診受診率の目標引き上げとがん医療提供体制の均てん化、がん研究10か年戦略の開始
  • 糖尿病・肝炎対策の強化と偏見差別解消に向けた教育・支援活動の推進
  • 医薬品の市販後安全対策と薬剤師の資質向上、医薬分業の推進状況
  • 輸入食品の厳格な監視体制と輸出食品の衛生管理、農林水産物・食品輸出額5兆円目標
  • 薬物乱用防止のための検挙強化と依存症対策、献血推進のための若年層向け啓発活動
  • 建築物衛生管理の法的義務付けと旅館業法改正による接遇研修ツールの策定

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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