2025年9月22日
労務・人事ニュース
133職種を対象に81万人が受検申請し35.6万人が合格した技能検定制度の最新統計と若年技能者育成の取り組み
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最終更新: 2025年9月21日 22:37
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令和7年版厚生労働白書 第2部 第1章 働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など(厚労省)
この記事の概要
本記事では、令和7年版厚生労働白書に基づき、日本の労働環境整備と働き方改革の現状と施策について詳述します。賃金引上げ支援や非正規雇用者の処遇改善、中小企業支援、技能継承、人材育成、過重労働対策、地方創生など多岐にわたる政策を網羅し、企業の採用担当者が理解すべき最新の労働市場動向と制度改正を丁寧に解説します。
令和7年版厚生労働白書は、働き方改革の推進を通じて労働環境の整備を図るための多角的な取り組みを詳細に示しています。まず、賃金引上げに関しては、全国47都道府県で地方版政労使会議を開催し、賃金引上げの機運醸成を図っています。特に中小企業や地方の事業者にも賃上げの波及を促すため、価格転嫁の徹底や生産性向上の取組みを強化しています。2024年には最低賃金の中期的引上げ方針が議論され、非正規雇用労働者の処遇改善も重要課題として位置付けられています。
中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境整備としては、「働き方改革推進支援センター」や「よろず支援拠点」を活用した無料相談やセミナーの実施が全国で展開されています。若年層の非正規雇用率は25~34歳で12.7%と高く、多様な正社員制度の普及促進やキャリアアップ助成金による支援も行われています。また、ハローワーク等を通じて試行雇用を促進し、安定就職への橋渡しを図るトライアル雇用助成金も設けられています。
有期労働契約に関するルールも整備されており、無期転換申込権の発生時期や労働条件明示の義務化、省令改正による適切な相談対応の徹底が進められています。パートタイム・有期雇用労働法違反に対する監督指導も強化され、ICTを活用した労務管理の支援や多様な働き方の実現応援サイトの運営により、雇用形態にかかわらず公正な処遇が目指されています。
仕事と育児・介護の両立支援策では、次世代育成支援対策推進法に基づき、一定規模以上の企業に一般事業主行動計画の策定・届出が義務付けられています。2024年9月末時点で、301人以上の大企業の届出率は98.5%、101人以上300人以下の中規模企業でも98.1%に達しており、くるみん認定企業は4,749社、そのうちプラチナくるみん認定企業は676社となっています。男性の育児休業取得率向上や介護離職防止支援コースの導入など、柔軟な働き方支援が充実しています。
構造的人手不足に対応した労働市場改革としては、ジョブ型人事の導入が進められており、2024年8月には導入企業の事例集が公開されました。職務分析マニュアルや職務給導入手引きの活用により、個々の企業事情に合わせた制度設計が促進されています。さらに、雇用保険法改正により、教育訓練に積極的に取り組む労働者への支援が強化され、公共職業訓練や求職者支援訓練の受講者数も増加傾向にあります。2023年度には公共職業訓練で約9.5万人、求職者支援訓練で約4.5万人が離職者訓練を受講しました。
ものづくり分野では、熟練技能者を「ものづくりマイスター」として認定し、若年技能者への実技指導を実施しています。文化学園大学のジュエリー・メタルデザインコースでは、専門学生に対し地金加工の実技指導が行われるなど、具体的な技能継承活動が展開されています。技能競技大会も盛んで、技能五輪国際大会や全国大会、若年者ものづくり競技大会などが開催され、若年者の技能習得意欲の向上と社会的評価の醸成に寄与しています。技能検定制度は133職種を対象に国家検定として運営され、2023年度には約81万人が受検申請し、約35.6万人が合格しています。
職業能力評価制度の一環として、新たに団体等検定制度が創設され、業界標準が確立されていない分野でもスキル評価が可能となりました。これにより、スキル向上が処遇改善につながる仕組み作りが進んでいます。ジョブ・カード制度も普及が進み、オンラインでの作成・更新が可能であり、キャリア形成やリスキリング支援に活用されています。
良質な労働環境の確保に向けては、時間外労働の上限規制が法律で厳格化され、特別条項付きの場合でも年間720時間、複数月平均80時間以内(月100時間未満)が原則となりました。医療従事者や自動車運転業務など特定分野には別途の規制が設けられ、勤務間インターバル制度の導入支援や長時間労働是正のための監督指導も強化されています。過重労働による健康障害防止のため、面接指導やストレスチェック制度の義務化が進み、産業保健総合支援センターによる研修や相談窓口も充実しています。
また、女性活躍推進法の延長や男女間賃金差異の情報公表義務化、セクシュアルハラスメント防止措置の強化など、多様な労働者が活躍できる環境整備も進展しています。副業・兼業の促進に関するガイドライン改定により、労働時間管理の明確化や届出様式の整備が行われ、安心して複数の働き方を選択できるようになっています。
地方創生の観点からは、地域に魅力ある仕事を創出し、大都市圏からの人材還流を促進する施策が実施されています。東京圏・大阪圏での地方就職準備セミナーやハローワーク誘導、法人税控除制度の延長・緩和などにより、地方の労働力確保と経済活性化を目指しています。
このように、令和7年版厚生労働白書は、賃金引上げ支援から人材育成、労働時間規制、女性活躍推進、地方創生まで幅広い政策を包括的にまとめており、企業の採用担当者にとっては、今後の人材戦略や労務管理に不可欠な知見を提供しています。特に中小企業における賃金引上げの重要性や、技能検定・ジョブ・カード制度の活用、過重労働対策の強化などは、労働環境の魅力向上と人材確保に直結するポイントです。これらの施策を踏まえた戦略的な人材育成と職場環境整備が、持続可能な企業成長の鍵となるでしょう。
この記事の要点
- 令和7年版厚生労働白書は賃金引上げ支援や非正規雇用者の処遇改善を重点的に推進している
- 中小企業支援や多様な正社員制度の普及、トライアル雇用助成金などで安定就職を促進
- 有期労働契約の無期転換ルールやパートタイム・有期雇用労働法の周知啓発が強化された
- 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定がほぼ全規模企業で実施され、くるみん認定も拡大
- ジョブ型人事導入やリスキリング支援、公共職業訓練の受講者数増加で労働市場改革を推進
- ものづくり分野の技能継承や技能検定制度の活用により若年者の技能向上と社会的評価を促進
- 時間外労働の上限規制強化や過重労働防止策、ストレスチェック義務化で労働環境の安全衛生を確保
- 女性活躍推進法の延長やハラスメント防止、副業・兼業促進のためのルール整備が進展
- 地方創生のための人材還流促進や税制優遇措置により地域経済の活性化を支援
- 企業の採用担当者はこれらの施策を踏まえた労務管理と人材育成戦略が必要
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ