2025年9月18日
労務・人事ニュース
令和7年7月 福井県の有効求人倍率1.72倍、全国平均を大きく上回る深刻な人手不足
- 「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年9月17日 23:01
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福井県内の労働市場の動き(令和7年7月)(福井労働局)
この記事の概要
令和7年7月時点での福井県の労働市場の状況は、全国平均を大きく上回る有効求人倍率を維持しており、企業にとっては人材確保が一層難しい局面にあることが浮き彫りとなっています。新規求人の増減や地域別の傾向、業種ごとの変化など、採用戦略を練る上で欠かせない具体的なデータをもとに、企業の人事担当者が取るべき対応策を考察します。
福井県における令和7年7月の労働市場は、引き続き人手不足の傾向が顕著に見られる結果となりました。厚生労働省福井労働局の発表によれば、有効求人倍率(季節調整値)は1.72倍と、前月より0.02ポイント上昇し、全国平均の1.22倍を大きく上回る水準を記録しています。これは、求職者1人あたりに対して1.72件の求人があることを意味し、企業にとっては採用競争がより激化している状況といえます。
特に正社員に限定した有効求人倍率(原数値)でも1.58倍となっており、これは前年同月と比べてわずかに減少しているものの、依然として高水準を維持しています。福井県全体としては、求人数が増加している一方で求職者数がやや減少しており、このミスマッチが求人倍率を押し上げている要因と考えられます。
具体的な数値をみると、令和7年7月における有効求人数は18,508人で、前月比0.7%の増加となりました。一方、有効求職者数は10,735人で前月比0.4%の減少です。この需給のギャップが求人倍率の上昇につながっています。業種別に見ると、建設業や製造業、医療・福祉分野などで高い求人ニーズが継続しており、特に製造業では眼鏡関連などの地域産業での求人が目立ちました。
地域別に分析すると、福井労働局が管轄する各ハローワークの中で、最も高い有効求人倍率を記録したのは三国の2.83倍であり、次いで小浜が2.68倍、敦賀が2.40倍となっています。福井や武生、大野なども2倍前後と高水準にあり、県内全域で人手不足の状況が見て取れます。これらのデータは、特定の地域に限らず、福井県全体として慢性的な人材不足が続いていることを示しています。
新規求人の動きにも注目すべき変化が見られます。令和7年7月の新規求人数は6,653人で、前年同月比では微増にとどまっていますが、業種によって明暗が分かれています。製造業では前年同月比でマイナス7.0%、卸売業・小売業ではマイナス24.4%と大きな減少が見られた一方で、医療・福祉分野では前年比プラス6.7%と求人意欲が高まっている傾向が確認されました。特に医療・福祉分野は高齢化の進行とともにニーズが高まっており、安定した雇用需要が見込まれます。
求職者の動向を見ると、新規求職申込件数は10,897件で前年同月比で1.3%減少しています。また、求職理由別では「自己都合離職者」が2,224人、「事業主都合」が322人、「定年離職者」が832人となっており、自己都合による離職が圧倒的に多いことがわかります。これにより、有効求職者の多くが再就職に前向きであることが推察されますが、希望条件とのマッチングが難しいことも課題です。
また、雇用保険の受給状況に目を向けると、受給資格決定件数は2,480件で、事業主都合によるものは245件と全体の約1割に満たない水準でした。これは、企業側が計画的に雇用を維持している傾向を示しており、急激な解雇やリストラが起きているわけではないことを裏付けています。
一方で、就職件数は11,957件で前年同月比では7.4%の減少となっており、求職者にとって希望する職に就くことが以前より難しくなっている状況も見えてきます。企業側としては、求人を出してもなかなか応募が集まらず、採用に至らないケースも増えていると推測されます。こうした現状から、企業が採用活動を成功させるためには、待遇や勤務条件の見直し、柔軟な働き方への対応、多様な人材の受け入れ体制の整備が求められます。
福井県内では、地域によって若干の差はあるものの、全体として高い求人倍率が継続しており、人材確保が中長期的な課題となることは間違いありません。特に中小企業においては、大手と比べて人材獲得における競争力が弱くなる傾向があり、独自の魅力や働きやすさをどのようにアピールできるかが重要です。たとえば、地域密着型の企業であれば、地元の暮らしやすさや通勤のしやすさなどを前面に出した採用広報が効果的となる可能性があります。
さらに、若年層や女性、高齢者、外国人労働者といった多様な人材層をターゲットにした採用戦略も今後のカギとなります。たとえば、柔軟な勤務形態や育児・介護と両立できる制度の導入、技能習得支援やキャリアアップ制度の整備などが、これらの層の雇用促進につながると考えられます。
また、デジタル技術を活用した採用の効率化も注目すべきポイントです。オンライン面接の導入やAIによるマッチング支援ツールの活用などにより、企業と求職者の双方にとってスムーズな採用プロセスが実現できる可能性があります。特に地方においては、都市部の求職者に対して地元企業を知ってもらうための手段として、オンライン説明会やバーチャル職場見学などの取り組みも効果が期待されます。
今後も福井県における労働市場の動向を継続的に注視し、時流に応じた柔軟な採用戦略を構築することが、企業にとって重要な課題となるでしょう。求人倍率の高さは一見すると企業にとって不利な要因に見えますが、同時に求職者の選択肢が多いことを意味しており、自社の魅力を的確に伝えることで優秀な人材を確保するチャンスにもなります。
この記事の要点
- 福井県の有効求人倍率は1.72倍で全国平均を大きく上回る
- 求人数は18,508人で前月比0.7%増、有効求職者数は10,735人で0.4%減
- 正社員求人倍率は1.58倍で高水準を維持
- 三国・小浜・敦賀の求人倍率は特に高く、2倍を超える
- 新規求人は医療・福祉分野で増加、製造業や卸売業では減少傾向
- 自己都合による離職者が多数で再就職意欲は高い
- 就職件数は前年同月比で7.4%減少しマッチングの難しさが浮き彫り
- 柔軟な勤務制度や福利厚生の見直しが人材確保のカギ
⇒ 詳しくは福井労働局のWEBサイトへ