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2025年9月2日

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令和7年10月2日から新潟県最低賃金 時給1,050円、65円アップ

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新潟県最低賃金は、10月2日から時間額1,050円になります。―現行最低賃金額から65円の引上げ―(新潟労働局)


この記事の概要

新潟労働局は令和7年10月2日より、新潟県内で適用される最低賃金を現行の985円から65円引き上げ、1,050円に改定すると発表しました。この改定は過去最大級の上昇率であり、県内企業や事業者に対しても大きな影響を与えることが予想されます。最低賃金の引き上げに伴い、労働者の生活向上が期待される一方で、企業にはコスト管理や賃金体系の見直しが求められます。


令和7年10月2日から、新潟県の最低賃金が大きく改定されることが決定しました。今回の改定により、最低賃金は現行の時間額985円から65円引き上げられ、1,050円となります。これは上昇率にして6.60%に相当し、近年における引き上げ幅としては最大級です。この改定は、新潟地方最低賃金審議会による審議と答申を経て正式に決定されたもので、8月22日の段階で異議申出があったにもかかわらず、慎重な審議の結果、元の答申内容がそのまま採用されました。

新潟県最低賃金は県内すべての事業場において雇用形態を問わず適用されます。たとえば、正社員はもちろんのこと、パートタイム労働者やアルバイト、臨時雇用者、歩合制で働く従業員などもこの最低賃金の対象となります。つまり、企業や事業者は、労働者に対してこの金額以上の賃金を支払わなければならず、これに違反すると法律に基づく罰則が科される可能性があります。

今回の改定により、企業の採用や人件費に関する戦略にも大きな影響が出ると考えられます。人件費の増加は中小企業や小規模事業者にとっては大きな負担となる一方で、これまでよりも高い賃金を提示することができるため、人材確保の面では有利に働く可能性もあります。特に人手不足に悩む業種では、最低賃金の引き上げを機に働き手の確保が進むことが期待されます。

一方で、最低賃金にはいくつかの算入対象外項目があることにも注意が必要です。たとえば、結婚手当などの臨時的に支払われる手当や、賞与など1カ月を超える期間ごとに支給される賃金、時間外労働や深夜・休日労働に対する割増賃金、そして精皆勤手当や通勤手当、家族手当などは、最低賃金の計算に含めることができません。つまり、最低賃金に達しているかを判断する際には、基本給を中心に考える必要があり、企業は賃金体系の見直しを迫られる場面も出てくるでしょう。

また、月給制を採用している場合は、「月給額×12ヶ月 ÷ 年間総所定労働時間」という計算式で算出した時間当たりの賃金が、最低賃金以上である必要があります。たとえば、年間の所定労働時間が2,000時間の企業で、月給が18万円である場合、時間あたりの賃金は1,080円となり、今回の改定後の最低賃金1,050円を上回るため適法です。一方、月給が17万円であれば、時間当たりの賃金は1,020円となり、新基準を下回るため是正が必要です。こうした計算方法についての正しい理解と運用が求められます。

派遣労働者に関しては、派遣先事業場に適用される最低賃金が基準となるため、派遣元企業は労働者の就業先に応じて適切な賃金設定を行う必要があります。特に、複数の都道府県にまたがって派遣している企業では、地域ごとの最低賃金を正確に把握しておくことが求められます。

最低賃金の推移をみると、平成14年度の時点では641円であった新潟県の最低賃金が、令和7年度には1,050円にまで上昇しています。実に409円の増加であり、年平均で17円程度ずつ上昇している計算になります。近年は特に上昇ペースが加速しており、令和5年度から7年度までの3年間で165円の引き上げが行われています。この間の上昇率は18.63%に達しており、政府の方針として賃上げを強く推進していることがうかがえます。

なお、新潟労働局では、最低賃金改定の周知活動にも積極的に取り組んでおり、市町村の広報誌や各種ポスターなどを通じて、改定内容とその影響を広く伝える方針です。特に、中小企業や小規模事業者向けには支援事業も展開しており、賃金引き上げによる経営への負担を軽減する制度の活用が奨励されています。企業側には、これらの支援策について積極的に情報収集し、必要に応じて活用することが望まれます。

企業の採用担当者にとって、今回の最低賃金引き上げは単なる賃金調整の問題にとどまらず、採用戦略や従業員の処遇改善にも直結する重要なテーマです。例えば、最低賃金の上昇にあわせて初任給を見直すことで、より優秀な人材を惹きつけることが可能になりますし、既存社員とのバランスを取るための昇給や評価制度の整備も必要になるでしょう。こうした包括的な人事施策の見直しが、結果的に企業の競争力向上につながります。

今回の改定に際しては、単に数字上の変更として捉えるのではなく、労働環境全体の改善や労使関係の健全化を促進する契機として活用することが重要です。最低賃金は、労働者の生活の基盤であり、企業の社会的責任にも深く関わるテーマであるからこそ、短期的な影響だけでなく、中長期的な視点からの対応が求められます。

この記事の要点

  • 令和7年10月2日から新潟県の最低賃金が1,050円に改定される
  • 引き上げ額は65円、上昇率は6.60%で過去最大規模
  • 最低賃金はすべての雇用形態に適用される
  • 賞与や手当など一部賃金は最低賃金の算入対象外
  • 月給制の場合には一定の計算式で最低賃金との比較が必要
  • 派遣労働者には派遣先の最低賃金が適用される
  • 平成14年度からの最低賃金上昇幅は409円
  • 中小企業・小規模事業者には支援制度の活用が推奨されている
  • 最低賃金改定は採用戦略や人事制度見直しの契機となる

⇒ 詳しくは新潟労働局のWEBサイトへ

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