2025年9月18日
労務・人事ニュース
令和8年3月卒予定 神奈川の高卒求人倍率は3.89倍に、求人数15,483人で人材獲得競争が激化(令和7年7月末現在)
- 常勤・介護・福祉業界の看護師/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年9月18日 09:34
- 「高給与」/准看護師・正看護師/デイケア/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年9月17日 23:01
- 「夜勤なし」/正看護師/老人保健施設/介護老人保健施設/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年9月17日 23:01
- 「夜勤なし」/正看護師/有料老人ホーム/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年9月17日 23:01
令和8年3月新規学校卒業予定者職業紹介状況(令和7年7月末現在)(神奈川労働局)
この記事の概要
神奈川労働局が公表した令和8年3月卒業予定の高校生に関する職業紹介状況では、求人数が15,483人と前年同期比で2.1%の増加を示し、求人倍率は3.89倍と高水準を維持しています。求職者数も前年より4.6%増加しており、採用市場は依然として活発な動きを見せています。特に建設業や卸売業など一部の業種では求人数が大きく伸びており、業界ごとの人材需要の傾向がより鮮明になっています。
神奈川労働局が令和7年7月末時点で集計したデータによると、令和8年3月に高等学校を卒業予定の生徒を対象とした求人・求職状況において、全体の求人数は15,483人となり、前年同月と比べて319人の増加、率にして2.1%の伸びを記録しました。これは、新型コロナウイルスの影響が和らぎ、企業側の人材確保に対する意欲が着実に回復してきていることを示しています。また、求職者数も3,978人と前年から4.6%増えており、高校生の就職希望が引き続き安定していることも明らかとなりました。これにより、求人倍率は3.89倍と前年同月の4.0倍からわずかに0.1ポイント低下したものの、依然として高い水準を保っています。
業種別に見ると、建設業の求人数は3,431人で前年から141人、率にして4.3%の増加となり、住宅やインフラ整備の需要に伴う人手不足への対応が求められている状況が浮き彫りとなりました。特に神奈川県内では都市開発や再開発プロジェクトが活発に進行しており、若年層の現場作業員への期待が高まっています。さらに卸売業では求人数が593人から811人へと大幅に増え、前年比で58.1%の増加という顕著な伸びを示しました。小売業においても、前年の1,366人から1,550人へと13.5%の増加が見られ、流通業界全体での人材需要が底堅く推移していることが確認できます。
一方で、製造業全体では求人数が4,244人と依然として高水準を維持しているものの、前年比では189人減少し、4.3%のマイナス成長となりました。特に輸送用機械器具製造業では前年比214人減の974人と、業界全体での調整局面が訪れていることがわかります。同様に、情報通信業では求人数が158人から108人へと31.6%減少し、デジタル分野における新卒採用の動きにはやや慎重さが見られました。これは既卒者や中途採用による即戦力を優先する動きや、技術習得の難易度の高さが要因として考えられます。
職種別の動向をみると、技能工や製造、建設系の従事者に対する求人は8,392人と依然として最多を占めていますが、前年から164人減少し、1.9%の減となりました。特に生産工程従事者では4,564人から4,684人と2.6%の減少となり、自動化や省人化の進展が背景にあると考えられます。その一方で、販売職は1,595人と前年より234人増加しており、17.2%の伸び率を記録しました。これは、小売やサービス業における人手不足が続いていることを反映しています。
企業規模別に見ると、従業員30~99人規模の企業における求人が4,602人と前年比8.8%増と最も大きく伸びており、地域密着型の中小企業が新卒採用に意欲的である傾向が見られました。一方で、従業員1,000人以上の大企業では求人が1,326人と前年から190人の減少(12.5%減)となっており、採用数を調整する動きが顕著になっています。これは企業側が人件費の抑制や定着率の向上を重視し、即戦力型の採用へシフトしている可能性があります。
また、全体の動向として注目すべきは、職業紹介の中で特に就職率が高い点です。過去のデータを見ても、神奈川県における高校新卒者の就職率は98%以上を維持しており、直近では99.9%に達する見込みとなっています。これは、企業側の新卒採用に対する積極的な姿勢と、ハローワークや学校を通じた支援体制が確実に機能していることの証左と言えるでしょう。
今回の報告から見えてくるのは、高卒者に対する求人環境が全体としては安定しており、特定の業種では非常に活発である一方、業界や企業規模によっては採用動向に濃淡があるという実情です。企業の採用担当者にとっては、自社の採用活動が市場の中でどのような位置にあるのかを客観的に把握し、求職者に対して魅力ある情報発信を行うことが求められます。特に競合他社との人材獲得競争が激化する中で、賃金や労働環境、福利厚生などの待遇面の充実はもちろん、企業理念や働き方の柔軟性などソフト面でのアピールも欠かせません。
また、地域ごとの産業特性を理解した上での求人活動も重要です。神奈川県では製造業と建設業が依然として主要な産業でありながらも、流通業や医療・福祉分野での人材需要が急速に拡大しています。これに応じて、企業側も採用戦略を業界動向に適応させ、多様な人材を受け入れる柔軟な体制づくりが必要となるでしょう。
今後、少子高齢化が進む中で、高卒新卒者の確保はさらに難しくなることが予想されます。採用活動においては、単に人を集めるだけでなく、育成や定着を見据えた戦略がますます重要になります。そのためにも、ハローワークや学校との連携強化、インターンシップや職場見学の受け入れ体制の整備といった、実践的な取り組みが一層求められる時代となっています。
この記事の要点
- 求人数は15,483人で前年同期比2.1%増加
- 求職者数は3,978人で4.6%増加し、求人倍率は3.89倍
- 建設業や卸売業で求人数が大きく増加し人材需要が顕著
- 製造業や情報通信業では求人が減少し採用に慎重さも
- 企業規模別では中小企業の採用意欲が高まりを見せる
- 就職率は99.9%と極めて高く、就職支援体制が有効に機能
⇒ 詳しくは神奈川労働局のWEBサイトへ