2025年9月17日
労務・人事ニュース
令和6年度 埼玉労働局に寄せられた労働相談5万件超、いじめ・嫌がらせが最多の2,453件
- 常勤・介護・福祉業界の看護師/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年12月17日 10:02
- 訪問看護ステーションでの訪問看護師のお仕事/車通勤可/即日勤務可
最終更新: 2025年12月17日 10:02
- アシスタント「美容師」/2026年新卒生 産休育休実績あり 40代も活躍中
最終更新: 2025年12月17日 15:12
- 福岡県糟屋郡エリア/訪看のお仕事/未経験OK/車通勤可/即日勤務可
最終更新: 2025年12月17日 10:02
令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況(埼玉労働局)
この記事の概要
埼玉労働局が公表した令和6年度の個別労働紛争解決制度の施行状況によると、総合労働相談件数が5万件を超え、特に「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が最多となったことが明らかになりました。この記事では、相談内容の傾向、就労形態ごとの傾向、助言・指導・あっせんの申出件数や処理状況など、企業の労務リスク管理に直結する最新の実績データを詳しく解説します。
埼玉労働局が令和7年9月1日に発表した資料によると、令和6年度における個別労働紛争解決制度に基づく総合労働相談の件数は51,089件にのぼり、前年から6.2%の増加となりました。この制度は、労働者と事業主の間に生じるさまざまな労働トラブルを未然に防ぎ、迅速な解決を図ることを目的としています。制度の柱となるのは、「総合労働相談」「労働局長による助言・指導」「紛争調整委員会によるあっせん」の三つであり、それぞれが異なる役割を担っています。
まず、総合労働相談については、労働基準監督署など県内9か所に設置された相談コーナーで受け付けられており、幅広い労働問題に対応しています。令和6年度の相談件数は前年よりも増加しており、中でも「法制度に関する問い合わせ」が30,759件、「労働基準法違反の疑いがあるもの」が9,409件と、依然として高水準を維持しています。また、民事上の個別労働紛争に分類される相談は9,707件で、こちらも前年比で増加しました。
相談内容の中で最も多かったのは「いじめ・嫌がらせ」に関するもので、2,453件と全体の23.2%を占めました。これは企業にとって重大なリスク要因となり得るテーマであり、職場環境の整備が一層求められることを示唆しています。次いで「解雇」が1,209件(11.5%)、「自己都合退職」が1,157件(11.0%)、「労働条件の引下げ」が1,142件(10.8%)と続いています。これらのデータは、雇用関係の基本的なトラブルが根強く存在している現状を物語っています。
就労形態別に見ると、相談対象者のうち最も多かったのは正社員で4,122件(42.5%)でしたが、短時間労働者(1,585件)、有期雇用労働者(1,456件)、派遣労働者(478件)からの相談も一定数あり、非正規雇用層への対応も無視できない状況です。相談者の属性では、労働者からの相談が87.7%を占め、事業主からの相談は9.0%にとどまっています。
一方で、労働局長による「助言・指導」の申出件数は218件で、前年からは微減しています。ここでも「いじめ・嫌がらせ」に関する申出が33件と最多であり、「労働条件の引下げ」32件、「解雇」21件と続きました。正社員からの申出が113件と半数以上を占めており、職場内の問題について労働者が公的な支援を求めている実態が浮き彫りとなっています。なお、助言・指導のうち99.5%が1か月以内に処理されており、迅速な対応が図られていることも特徴です。
紛争調整委員会による「あっせん」の申請件数は110件で、こちらも前年と比べてやや減少しています。最多の申請内容は「いじめ・嫌がらせ」の30件で、これは全体の27.3%を占める結果となりました。次いで「雇止め」18件、「解雇」16件が続き、労働関係の中でも特に深刻なトラブルが、法的な解決手段を必要とする状況に発展していることが分かります。申請者の就労形態では、正社員が46件(41.8%)と最多で、有期雇用労働者(27件)、短時間労働者(23件)、派遣労働者(9件)など多様な層からの申請がありました。
あっせん手続きにおいては、処理件数108件のうち、当事者間で合意に至ったのは35件(32.4%)で、そのうち14件はあっせんを開催せずに合意が成立しています。一方で、不参加などにより打切りとなった件数は70件であり、あっせんの有効活用に課題があることも浮かび上がっています。
このように、埼玉県内では労働環境に関するトラブルが多岐にわたり、しかも増加傾向にあることから、企業の人事労務担当者には、従業員との信頼関係を築くための取り組みや、トラブル発生時の迅速かつ適切な対応が強く求められています。とりわけ、「いじめ・嫌がらせ」に対する予防と対応の強化は、職場環境の改善と定着率の向上に直結する重要な要素です。加えて、有期契約や派遣、パートといった多様な働き方においても、公正な労務管理が不可欠であることは言うまでもありません。
埼玉労働局では今後も、各地の総合労働相談コーナーにおける相談体制の充実を図るとともに、助言・指導やあっせん制度の活用を促し、トラブルの未然防止と早期解決に向けた取り組みを継続していく方針を示しています。企業にとっても、これらの公的な支援制度を理解し、有効に活用することで、社内の労働環境の安定と企業リスクの低減につなげることが可能となります。
この記事の要点
- 総合労働相談件数は5万1,089件と前年比6.2%増加
- いじめ・嫌がらせに関する相談が2,453件で最多
- 助言・指導の申出件数は218件、1か月以内の処理率は99.5%
- あっせん申請件数は110件、合意成立は35件で合意率32.4%
- 相談者の87.7%は労働者、就労形態では正社員が最多
- 非正規雇用層からの相談や申出も増加傾向
- 企業には迅速な労務対応と職場環境の改善が求められている
⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ


