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2025年9月17日

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正社員求人倍率1.02倍に低下、令和7年7月 栃木県で正規雇用の採用競争が激化

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労働市場のようす(令和7年7月の求人・求職の取扱状況)(栃木労働局)


この記事の概要

令和7年7月における栃木県の労働市場では、有効求人倍率が1.16倍と前月と同水準を維持しつつも、産業別では求人数の減少傾向が続いています。求人・求職動向、新規求人数、雇用保険の状況などをもとに、地域の雇用情勢の現状と今後の課題について詳しく解説します。


令和7年7月、栃木労働局は最新の雇用情勢に関する統計を発表しました。報告によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.16倍で、前月と同じ水準を維持しています。ただし、この安定した数値の裏には、雇用環境の複雑な変動が隠れています。まず、有効求人数は36,818人であり、前年同月と比較すると2.7%の減少となっています。一方、有効求職者数も32,624人と、同じく前年同月比で4.1%の減少を記録しました。求人数と求職者数の双方が減少しているため、倍率としては変化がないものの、実際の雇用機会や就業希望者の動きには慎重な注視が求められます。

新規求人倍率は2.03倍と、前月の2.00倍からわずかに上昇しました。これは新規求職者数の減少(前月比1.7%減)に対し、新規求人数の減少幅が小さかったことが要因です。新規求人数自体は12,993人で、前年同月比では3.9%の減少です。このように、新たな求人も減少傾向にあり、採用担当者にとっては人材確保が一層厳しい局面に入っていることがうかがえます。

また、正社員求人倍率(季節調整値)は1.02倍で、前月より0.01ポイント低下しました。企業が正規雇用を控える傾向がある中で、安定した人材確保がますます困難となっていることを示唆しています。求職者にとっては選択肢が狭まり、企業にとっては優秀な人材を得る競争が激化している状況です。

産業別にみると、全体的には新規求人の減少が続いています。製造業では前年同月比で7.9%減、建設業でも4.6%の減少が見られました。特に製造業は2カ月連続で前年割れが続いており、構造的な人手不足や事業規模の縮小が影響していると考えられます。卸売業・小売業でも7.6%の減少、宿泊業・飲食サービス業は4.2%の減少、生活関連サービス業・娯楽業は11.6%の減少と、広範な業種で新規求人の落ち込みが見られました。

一方で、運輸業・郵便業においては前年同月比で6.0%の増加を記録し、3カ月連続の増加傾向にあります。物流の需要拡大やEC市場の成長により、運輸関連業種では依然として人手不足が続いており、求人も活発に行われていることがわかります。さらに、「サービス業(他に分類されないもの)」のカテゴリでは22.8%の大幅な増加が確認され、専門サービスや新興業種での採用ニーズが高まっていると考えられます。

就職件数に関しては、1,764件で前月から微増していますが、求職者数とのバランスを考慮すると、依然として全体の就職率は28.7%と高水準とは言えません。雇用保険受給者の動向については、受給資格決定件数が1,667件で前年比2.5%の減少でしたが、実際の受給者数は7,858人と9.3%の増加となっています。これは雇用の安定性が一時的に損なわれている可能性を示唆しており、企業側も早期の人材補充を図る必要性が高まっています。

企業規模別に見ると、従業員数500人以上の大企業では求人が前年度より増加しており、積極的な採用姿勢がうかがえます。対照的に、従業員数29人以下の小規模企業では新規求人が前年比で10.5%減少しており、人材確保がますます難しくなっている現状が浮き彫りになっています。中小企業が人材の流出を防ぐためには、賃金水準の見直しや働きやすい職場環境の整備など、積極的な改善策が求められるでしょう。

さらに、新規求職者の離職理由についてのデータでは、「自己都合」による離職が依然として高い割合を占めています。令和7年7月時点では、6,142人の新規求職者のうち、自己都合による離職者は2,648人で、全体の約43%を占めました。事業主都合による離職は998人で全体の約16%となっており、企業側の構造調整や業績悪化による人員整理の影響も依然として見逃せません。

このように、求人倍率自体は一見すると安定しているように見えますが、実態としては求人数の減少や就職率の停滞、産業ごとのばらつき、そして正社員採用の停滞など、多くの課題が顕在化しています。採用活動に取り組む企業にとっては、単なる数値だけでなく、背景にある雇用の質や求職者の動向を正確に把握することが、優秀な人材を確保するための鍵となります。

今後、物価上昇などの外部要因が企業の雇用意欲に与える影響や、地域経済の回復状況を注視する必要があります。特に人材の定着を図るためには、福利厚生の充実や職場環境の改善、多様な働き方への対応が不可欠です。地方においても都市部と同等の魅力ある職場を提供することが、長期的な人材確保に繋がる重要な戦略となるでしょう。

この記事の要点

  • 有効求人倍率は1.16倍で前月と同水準
  • 新規求人倍率は2.03倍に上昇、求人減少幅が小さかったことが要因
  • 有効求人数は前年同月比で2.7%減少
  • 正社員求人倍率は1.02倍で前月比0.01ポイント減少
  • 運輸業やサービス業で求人増加傾向、一方製造業や卸売業では減少が続く
  • 雇用保険受給者数は前年比で9.3%増加し、雇用の安定性に懸念
  • 従業員500人以上の企業では求人が増加、小規模企業では減少傾向
  • 自己都合による離職が全体の43%を占めるなど、離職理由も多様化

⇒ 詳しくは栃木労働局のWEBサイトへ

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