2025年9月17日
労務・人事ニュース
茨城県の有効求人倍率は1.18倍で横ばい、改善の鈍化が明らかに(令和7年7月)
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最終更新: 2025年9月16日 23:04
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最終更新: 2025年9月16日 23:04
県内の雇用情勢の概況(令和7年7月分)(茨城労働局)
この記事の概要
茨城労働局が公表した令和7年7月の雇用統計によれば、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍となり、前月と同水準を維持しました。求職者一人あたりに対する求人件数は安定しているものの、雇用改善の勢いにはやや鈍化の傾向が見られます。求人・求職の双方に小幅な増加があり、地域の雇用情勢は慎重ながらも安定的に推移しています。
令和7年7月における茨城県の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月と同じ水準を保ちました。これは全国平均の1.27倍を下回る数値であり、全国順位としては26位に位置しています。この倍率は、求職者1人あたりに1.18件の求人が存在するということを意味しており、引き続き売り手市場であることに変わりはありませんが、改善のスピードはやや停滞しているといえます。茨城労働局では「求人が求職を上回って推移しているものの、一段と改善の動きが弱まっている」とし、物価の上昇や景気の先行き不透明感が雇用に与える影響を引き続き注視する必要があるとの認識を示しています。
この月の有効求人数(季節調整値)は44,713人で、前月より1.2%増加しました。これは2か月ぶりの増加となっており、企業の採用活動が再びやや活発になってきたことを示す動きです。一方、有効求職者数も37,741人と前月より0.6%の増加となり、こちらは4か月連続の増加となっています。求人数と求職者数の双方が増えていることは、労働市場の流動性が高まりつつある兆しでもありますが、倍率が横ばいであることから、求人と求職のバランスが微妙に保たれている状況がうかがえます。
新規求人倍率(季節調整値)は1.91倍で、前月より0.09ポイント低下しました。新規求人に対する新規求職者の数のバランスが変化していることを示しており、企業が新たな人材を求める一方で、求職者が必ずしもそれに応じていない実情も読み取れます。実際、新規求人数(原数値)は前年同月に比べて6.2%減少しており、これで7か月連続の減少となりました。新規求人が減少し続けている背景には、景気先行きに対する企業の慎重姿勢があると考えられます。
一方、正社員有効求人倍率(原数値)は0.99倍で、前年同月から0.04ポイントの減少となりました。これは、正社員の求人に対して求職者数が上回っている状況を意味しており、フルタイム・安定雇用を希望する人材のニーズに対して、企業側の募集が追いついていない現状が続いていることを示唆します。安定した雇用を望む求職者が多い中で、企業が正社員雇用に踏み切れない状況が、依然として課題となっています。
産業別に見ると、新規求人において建設業が前年同月比で3.4%増(42人増)、製造業が1.7%増(36人増)といったように増加している業種がある一方で、サービス業(分類外)は20.3%減(564人減)、卸売業・小売業は10.3%減(135人減)、運輸業・郵便業も7.8%減(73人減)と、大きく減少している業種も複数見られました。業種によって求人の動向が二極化しており、特に人手不足が続く医療・福祉分野では新規求人が安定している一方で、消費行動の変化や業界構造の再編成に直面している業種では求人を絞る動きが目立っています。
また、新規求職申込件数は前年同月比で1.0%増となり、2か月連続の増加を記録しました。雇用形態別に見ると、「パートタイムを除く常用」では1.2%増、「常用的パートタイム」では1.1%増となっており、多様な働き方へのニーズが継続していることが分かります。特に近年は、ワークライフバランスを重視する働き手が増えており、短時間勤務や柔軟な労働時間制度を導入する企業にとっては採用の機会が広がっているといえるでしょう。
失業の動きについては、雇用保険失業給付の受給資格決定件数が前年同月比で1.5%増となり、2か月連続の増加となりました。また、雇用保険の受給者実人員も前年同月比で9.4%増加し、3か月連続で増加しています。このことは、職を失った労働者の数が増加傾向にあることを示しており、安定した再就職支援の強化が求められています。一方で、雇用保険被保険者資格喪失者数は8.6%減少しており、うち事業主都合による離職者数は19.6%減少しました。企業側の解雇や契約終了などが減少していることは、一定の雇用安定が図られていることの証左ともいえます。
なお、雇用保険被保険者資格取得者数は前年同月比で4.7%減となっており、新たに雇用された労働者の数がやや減少している点は、今後の雇用環境を見通すうえで留意すべき材料です。求人が増えていても、実際の雇用が進んでいないのであれば、それは労働市場におけるミスマッチが拡大している可能性を示唆しています。
茨城県の雇用情勢は、求人が求職を上回る売り手市場が続いている一方で、改善のペースは鈍化しており、企業側の採用意欲には慎重な傾向も見られます。求職者にとっては求人件数が多いことは好材料であるものの、正社員求人倍率が1倍を切っている現状からは、希望する雇用条件にマッチした職を見つける難しさも浮き彫りになります。企業にとっても、必要な人材を確保するためには、募集内容の見直しや柔軟な働き方の提示、また企業の魅力を適切に伝えるための工夫が求められる時代に入っているといえるでしょう。
この記事の要点
- 茨城県の有効求人倍率は1.18倍で前月と同水準
- 有効求人数は44,713人、求職者数は37,741人でともに増加傾向
- 新規求人倍率は1.91倍で前月より0.09ポイント低下
- 正社員有効求人倍率は0.99倍で1倍を下回る状態
- 新規求人は前年同月比で6.2%減、7か月連続の減少
- 建設業・製造業では求人が増加、サービス業や卸売業では減少
- 雇用保険受給者が9.4%増加する一方、事業主都合による離職は19.6%減少
- 求職と求人のミスマッチが課題、企業には柔軟な対応が求められる
⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ