2025年10月3日
労務・人事ニュース
臓器移植に関心がある国民は62.3%、実際に意思表示する人は1割に満たず(令和7年7月調査)
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最終更新: 2025年10月2日 23:06
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移植医療に関する世論調査(令和7年7月調査)(内閣府)
この記事の概要
内閣府が実施した「移植医療に関する世論調査」(令和7年7月)では、臓器移植や提供に対する国民の意識が明らかになりました。回答者の62.3%が臓器移植に関心があると答えた一方、実際に意思表示をしている人は少数にとどまっています。特に骨髄バンクやさい帯血移植に関しては認知度が高いものの、実際の登録率や提供意思は限定的であり、制度の周知と理解促進が重要であることが浮き彫りになりました。
ここまでが概要
令和7年7月から8月にかけて内閣府が実施した世論調査によって、臓器移植や提供に関する国民の認識と行動実態が明らかになりました。この調査は全国の18歳以上の日本国籍を有する3,000人を対象に行われ、最終的に1,391人から有効回答が得られました。回収率は46.4%で、移植医療に対する関心の広がりと実態を把握することを目的としています。
まず、臓器移植に対する関心については、62.3%が「関心がある」と回答しました。前回調査(令和3年)よりやや減少しているものの、高い水準を維持しており、特に運転免許証やマイナンバーカードの意思表示欄を通じて関心を持った人が6割を超えていることが分かりました。テレビやラジオでの話題も約4割と多く、家庭内や学校、SNSなど様々な場面で臓器移植に関する情報が共有されていることが示唆されます。
一方で、臓器提供に関する具体的な意思表示については、依然として課題が残っています。調査では、自らの意思を表示しており、かつ家族や親しい人と話し合った経験がある人は全体のわずか10.0%にとどまりました。意思表示をしていない人の主な理由としては、「抵抗感」や「不安感」がそれぞれ28.2%と最も多く、「自分の意志が決まっていない」あるいは「記入の方法が分からない」といった回答も目立ちました。拒否の意思も明確に記入できる制度があるにもかかわらず、その認識が十分に広まっていないことが推察されます。
臓器を提供する意思があるかどうかについては、「提供したい」「どちらかといえば提供したい」と回答した人が合わせて42.9%であるのに対し、「どちらともいえない」が32.4%と相当数存在し、依然として判断に迷いがある人が多いことが伺えます。また、家族の臓器提供に関して意思表示がなかった場合に判断を迫られることへの心理的負担を「大いに負担に感じる」「負担に感じる」「少し負担に感じる」と答えた人は合計で84.9%に上りました。家族間の意思共有が進んでいないことが、大きな心理的ストレスにつながる現実も浮き彫りとなりました。
さらに、もし自分自身が臓器移植を受けなければ命に関わる状態になった場合に、他人からの臓器提供を受けたいとする意向は53.7%と過半数を超えており、自身が提供を望むよりも受けることに前向きな姿勢が見られます。この結果は、臓器移植に対する需要と供給のギャップの一因を示しているとも言えます。また、臓器移植を受ける立場になることを想定した問いに対して、「今後の臓器提供の意思表示に影響する」と答えた人は61.6%にのぼり、現実的な状況を想定することで考え方に変化が生じることが分かりました。
骨髄バンクに関する認知度は比較的高く、73.5%が「知っている」と回答しました。しかし実際にドナー登録をしている人は1.9%に過ぎず、登録率の低さが目立ちます。登録していない理由としては、「身体的な不安」や「登録方法が分からない」、「年齢や健康上の制限」といった現実的な障壁が多く挙げられました。一方、骨髄バンクについて「知らない」と答えた人のうち、資料を読んだ上で「登録したい」「どちらかといえば登録したい」と考える人は17.0%にとどまっており、情報提供の方法や内容にも工夫が求められます。
さい帯血移植に関しては、52.6%の人がその存在を知っていたと答えましたが、内容まで理解していた人は11.6%にとどまっています。また、「自分や家族に提供の機会があれば提供したい」とする回答は44.8%で、提供に前向きな意向がある一方、「分からない」とする人が50.0%と半数を占め、意思形成が進んでいない状況が確認されました。
この調査結果を通じて、臓器移植や骨髄バンク、さい帯血移植といった移植医療に対する関心は一定程度存在するものの、具体的な行動や意思表示にまでは至っていない現状が明確になりました。医療政策を担う関係機関においては、制度の理解促進や意思決定を支援する取り組み、さらに家族間の対話を促す環境整備が今後ますます重要になると考えられます。加えて、医療従事者や教育現場における情報提供の在り方も再検討されるべき課題と言えるでしょう。
この記事の要点
- 臓器移植に関心がある人は62.3%に達している
- 臓器提供の意思表示をしている人は全体の10.0%にとどまる
- 臓器提供に関して「抵抗感」や「不安感」を感じている人は28.2%ずつ
- 臓器移植を受けたいとする人は53.7%で過半数
- 家族の臓器提供の決断を負担に感じる人は84.9%に上る
- 骨髄バンクの認知度は73.5%だが登録率は1.9%と低い
- さい帯血移植の認知度は52.6%、内容の理解は11.6%にとどまる
- 提供意思があっても「分からない」と答える人が多く、情報提供の改善が必要
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ