2025年9月29日
労務・人事ニュース
大雨被災地への支援拡充、査定手続き効率化で復旧スピードが向上
- アイリスト/福岡県/久留米市
最終更新: 2025年10月11日 10:37
- アイリスト/福岡市城南区/福岡県/西新駅
最終更新: 2025年10月11日 10:37
8月6日からの大雨により被災した、道路・河川等の迅速な復旧を支援 ~大規模災害時の災害査定の効率化(簡素化)の内容を決定~(国交省)
この記事の概要
令和7年8月6日からの大雨により被災した地域の復旧支援を目的として、国土交通省は災害査定に関する制度の簡素化を発表しました。査定上限額の引上げや現地決定の拡大、さらに早期確認型査定の適用により、被災自治体の負担軽減と迅速な災害復旧を実現する措置が講じられました。
国土交通省は、令和7年8月6日からの大雨により大きな被害を受けた地域において、道路や河川、橋梁などのインフラを早期に復旧するため、災害査定における手続きを簡素化し、効率化を図るための新たな対応方針を発表しました。これは、平成29年から運用されている「大規模災害時の災害査定の効率化(簡素化)」に基づいた措置であり、被災自治体の迅速な復旧活動を支援するものです。
まず、査定の効率化として重要な変更点は、書面のみで行う机上査定の上限額が通常の1,000万円未満から大幅に引き上げられたことです。具体的には、新潟県では3,000万円、富山県は2,500万円、石川県は5,000万円、山口県は2,300万円、福岡県では4,000万円、熊本県は3,000万円、鹿児島県は2,000万円、福岡市が3,800万円、熊本市では1,200万円まで引き上げられています。さらに、都市局が所管する都市公園などについては、熊本県で8,000万円まで引き上げられており、書類のやり取りだけで査定が完了する範囲が拡大しています。これにより、現場での立会いや詳細な調査の必要性が減り、限られた人員でより多くの案件に対応可能となりました。
次に、現地で災害復旧事業費を決定できる上限額も拡大されました。従来は4億円未満が基準でしたが、水管理・国土保全局が所管する施設においては7億円未満まで引き上げられました。これにより、現場での判断に基づいて迅速に工事に着手することができ、災害復旧の初動対応がよりスピーディーになります。
さらに、早期確認型査定と呼ばれる新たな査定方式の対象地域として、熊本県御船町が指定されました。この方式では、被災直後の段階から災害査定官などの技術者が現地入りし、現場状況を把握しながら設計に対する助言を行います。これにより、後戻りのない設計が可能となり、災害査定の申請から復旧工事の着手までの一連のプロセスが大幅に短縮されます。
これらの制度変更の背景には、被害を受けた地方自治体の現場対応能力や人員不足への配慮があります。災害が発生した直後は、自治体職員が避難誘導や被害調査などに追われ、通常の行政業務すら困難な状況に置かれがちです。今回の効率化措置は、そうした現場の実情を踏まえた制度設計となっており、実務的な負担軽減と早期の生活再建に直結する重要な施策と言えます。
また、この制度は全国一律の措置ではなく、被災件数や災害の規模などを考慮して対象区域を定める仕組みとなっています。今回の対象区域は、令和7年8月21日時点の被害報告件数に基づいて決定されており、今後も状況に応じて対象範囲が拡大される可能性があります。
このように、災害時の復旧活動は単なるインフラ整備にとどまらず、地域社会全体の安心と安全を支える基盤となるため、行政の迅速かつ的確な対応が求められます。企業の採用担当者や経営者にとっても、インフラ整備の動向や公的支援のスピードは、自社の事業継続計画(BCP)や地域貢献活動に直結する重要な指標となります。特に建設業界、土木業界、インフラ関連企業にとっては、受注や支援体制の構築に関わる戦略的な判断材料ともなるため、今回の改定内容を正確に把握することが求められます。
この記事の要点
- 令和7年8月6日からの大雨被災地域への災害査定の効率化が発表された
- 書面による査定上限額が最大5,000万円(石川県)まで引き上げられた
- 現地で決定できる災害復旧事業費の上限額が7億円未満に引き上げられた
- 熊本県御船町が早期確認型査定の対象となり迅速な復旧が可能に
- 被災自治体の負担軽減と復旧スピードの向上が制度の主目的
- 災害査定の手続き簡素化によりインフラ整備の迅速化が期待される
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ