労務・人事ニュース

令和7年度渇水応急対策事業補助金

2025年7月の異常な高温と降水量の不足により、秋田県鹿角市では農業用水の供給に深刻な影響が出ました。特に7月15日から31日までの期間は、農地への十分な水の供給が困難となり、農作物への影響が懸念される事態となりました。これを受けて鹿角市では、農業を継続する上で不可欠な農業用水を確保するために応急対策を実施した農家や水利組合などに対し、かかった費用の一部を補助する「令和7年度渇水応急対策事業補助金」の交付を開始しています。

この補助制度は、鹿角市内に住民登録があり、農地を耕作または経営している農業者や農業法人、そして水路の管理を担う水利組合や土地改良区が対象です。対象となるのは、2025年7月15日から7月31日までの間に行われた用水確保のための応急的な対策であり、費用の合計が消費税を含めて10万円以上となっている事業に限られます。したがって、突発的な対応として行われた小規模な取り組みであっても、費用が基準に達していれば補助の対象になり得ます。

補助の内容としては、事業にかかった費用の3分の2以内が支援されます。そのうち、3分の1までは秋田県が負担し、残りの3分の1を鹿角市が支援するという仕組みです。補助額の上限は40万円とされており、このうち秋田県の負担分が最大20万円となっています。対象となる費用には、井戸や揚水機といった揚水施設の設置・撤去、送水管の整備といった用水確保に必要な工事費、水路への補水を行うための揚水機やその専用動力機、部品の購入や借り上げ費用、さらには燃料費や電力料金といった運転に関するコストが含まれます。また、人手によって用水の管理を行った場合の人件費も対象となりますが、土地改良区の職員に対して支払われた人件費は除外されています。

経費の支払いが対象期間を過ぎていた場合でも、実際に物品やサービスの納入、または使用が7月15日から31日の間に行われたことを証明できる書類があれば、その費用も補助の対象とされる可能性があります。この点は、応急的に行動した農業者が後日精算するような場合にも配慮された制度設計と言えるでしょう。

申請の手続きについては、鹿角市役所農業振興課の窓口での受付が必要です。申請の際には、専用の申請書兼実績報告書に加えて、対象農地の位置を示す地図、経費に関する見積書や領収書、経費の内訳を示す証拠書類、さらには対策を実施した農地の写真などを提出する必要があります。これらの資料に基づいて、市が補助対象として適切かどうかを審査し、交付決定と補助額の確定が行われます。その後、確定通知を受け取った申請者は、補助金の請求書を提出することで補助金の交付を受けられます。

申請期限は令和7年10月31日、すなわち2025年10月31日までと定められています。この期限を過ぎると、県の事業認定を受ける手続きができなくなるため、どれだけ内容が適切であっても受け付けができなくなります。したがって、応急対策を実施した農家や組合の方々は、できるだけ早く必要な資料を準備し、速やかに申請手続きを進めることが重要です。

この制度は、災害レベルの気象状況下でも安定的な農業経営を支援するための重要な施策です。異常気象による影響が年々増す中で、自治体がこうした迅速な対応を行うことは、地域農業の持続可能性を高める上で非常に意義があります。現場で迅速に行動した農家や水利組合の取り組みをしっかりと支援する体制が整っている今、この制度を最大限に活用することが求められています。

⇒ 詳しくは鹿角市のWEBサイトへ