2025年10月10日
労務・人事ニュース
外国人医療対応の実態調査、全国5,864病院中わずか2.6%がコーディネーターを配置
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令和6年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の結果(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省は、令和6年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の結果を発表しました。この調査は、外国人患者の受診状況や医療機関の受け入れ体制を把握するため、全国の病院と一部の診療所を対象に行われました。調査では、受入体制の整備状況、多言語対応、診療価格、未収金の実態などが明らかになっています。外国人医療への対応強化が今後の課題となっています。
訪日外国人や在留外国人の増加により、今後も日本の医療機関を訪れる外国人患者の数は増加が予想されています。こうした状況を踏まえ、厚生労働省は令和6年度において、全国の病院と京都府および沖縄県の診療所を対象に、外国人患者の受け入れに関する実態調査を実施しました。調査は9月1日から30日までの期間で行われ、病院はG-MISシステムを通じて、診療所は厚生労働省のウェブサイト経由で回答が求められました。
回答のあった病院は5,864件で、回収率は71.3%に達しました。調査は大きく分けて二つあり、A調査では受け入れ体制や通訳、コーディネーターの配置状況、B調査では実際の患者数や未収金の発生などが中心に取り上げられました。結果によると、外国人患者の受け入れ実績がある病院は全体の約半数に上り、特に「拠点的な医療機関」では約9割の病院が受け入れを行っていました。1カ月あたりの外国人患者数は10人以下が最多で、小規模な受け入れが中心であることがわかります。
一方で、受け入れ体制の整備が進んでいない現実も明らかとなりました。回答病院のうち、自院における外国人患者数を把握していない病院は約7割に上り、現状把握や課題の抽出、受け入れ方針の整備などについても8〜9割が「実施していない」と回答しています。こうした状況は、JMIPやJIHといった外国人医療対応の認証を受けた医療機関では大きく異なり、9割以上が体制整備に取り組んでいました。
医療コーディネーターの配置状況においては、全体の病院のうち配置しているのはわずか2.6%で、拠点的な医療機関であっても14.9%にとどまっています。JMIPやJIH認証機関では配置率が72.6%と非常に高く、外国人医療に特化した組織的な取り組みが見られました。また、コーディネーターは多くが他の職務と兼任で対応しており、専任での配置は全体の1割強に過ぎません。主な役割は院内の部署間調整や患者とのコミュニケーションが中心でした。
多言語対応の状況については、330の2次医療圏のうち、通訳者を配置している圏域は50%、電話通訳が使えるのは71.5%、ビデオ通訳は35.5%にとどまっています。翻訳機能付きのタブレットなどを導入している病院がある圏域は93.9%と高水準で、こうしたデジタル機器の活用が進んでいることがうかがえます。
自由診療における価格設定についても調査が行われ、診療報酬点数を元にした倍数計算による価格設定を採用している病院は全体の9割を超えました。中でも、1点あたり10円超とする価格設定を行っている病院は全体で約4割、JMIPやJIH認証病院に限ると7割以上がより高額な価格を設定していることがわかりました。通訳料については、全体の病院では2.0%しか請求していませんが、拠点的な医療機関では5.2%、認証病院では22.6%が請求を行っています。
また、外国人患者における診療費の未収金問題も調査されており、調査期間中に外国人患者を受け入れた2,890病院のうち16.3%で未収金が発生していました。1病院あたりの未収金件数は平均3.9件、金額は平均で約49.8万円にのぼっています。未収金の多くは5万円以下であり、診療費の回収に課題があることが浮き彫りとなっています。前年と比較して未収金の総額および発生率はともにやや減少していますが、依然として無視できない問題です。
今回の調査を通じて、外国人患者の受け入れ体制については、まだ十分な整備がなされていない医療機関が多数存在していることが明らかになりました。特に、体制整備に向けたマニュアルの認知や、コーディネーターの配置、多言語対応の拡充などが今後の大きな課題となっています。訪日外国人の増加を見据え、医療現場では一層の対応力強化が求められています。
この記事の要点
- 外国人患者の受け入れ実績がある病院は全体の約5割
- 体制整備を実施していない病院が約9割にのぼる
- 医療コーディネーターを配置している病院は2.6%にとどまる
- 多言語対応ではタブレット等の導入が進む一方で、医療通訳者の配置は半数程度
- 1点あたり10円を超える診療価格を設定している病院は全体の約4割
- 通訳料を請求している病院は全体で2%、認証機関では22.6%
- 未収金が発生している病院は16.3%、平均額は49.8万円
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ