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2025年10月8日

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メタバース市場、2030年には2兆円へ拡大 日本企業にとっての成長戦略とは

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「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」報告書2025及び意見募集の結果の公表(総務省)


この記事の概要

総務省は2025年9月17日、「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」において、報告書2025を公表しました。この報告書は、急成長するメタバース市場の現状と将来に向けた課題に対処するための原則や対応策をまとめたもので、約1か月間の意見募集を経て策定されました。市場拡大、ユーザ属性の多様化、技術の進化に対応した新たな政策提言が含まれています。


メタバースの進展が急速に進む中、総務省は2025年9月17日、「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」における報告書2025を公表しました。この報告書は、2023年10月から継続して行われてきた研究会の議論を集約したものであり、2024年10月に公開された報告書2024の内容を基礎としつつ、より広範な視点からメタバースの実態と可能性、そして課題に向き合った内容となっています。2025年8月4日から27日まで行われた意見募集には合計37件の意見が寄せられ、それらの内容を踏まえた最終的な形として本報告書が策定されました。

本研究会では、従来のVRメタバース中心の議論から、ARやMR技術を活用したメタバース、さらには産業利用や教育、地域活性化を含む多目的なメタバース活用に対象を広げています。この背景には、メタバース市場が今後世界的にも大きく拡大していくという見通しがあります。実際、メタバースの世界市場は2024年の744億ドルから、2030年には5078億ドルに達するとされており、日本国内市場においても2024年度は2750億円、さらに2030年には約2兆円にまで成長すると推計されています。

とりわけ注目されるのは、企業向けメタバース市場の拡大です。2025年時点での市場規模は約8300億円、2030年には1兆6000億円に達する見込みです。建設現場や職場教育、オフィス環境などでの業務利用が進む一方、個人向けメタバース市場も800億円から4100億円へと成長が見込まれており、ライブイベントや観光、ゲームなど幅広い分野での活用が進むことが予想されます。

技術的側面においても、ハプティクスやAIの進化がメタバース体験の質を大きく変えつつあります。触覚を再現するデバイスや、AR・MR対応のグラス型デバイス、さらにAIと連携したインターフェースが登場し、ユーザが仮想空間においても現実と近い感覚で活動できるようになっています。また、こうした技術の進展によって、メタバース利用時における「VR酔い」などの課題にも対応が進められており、今後の商業化に向けた下地が着々と整えられています。

加えて、メタバース上でのユーザの行動や情報の流通に関するルール整備も進められています。ユーザ生成コンテンツ(UGC)の流通増加に伴い、トラブルの発生リスクが高まっていることから、消費者保護の観点からも、匿名性と責任のバランスをとる新たな仕組みが模索されています。中間事業者の存在やプラットフォーマーによる販売代行といった新たなエコシステムの形成が、今後の健全な発展を支える鍵となるでしょう。

また、報告書ではメタバースの倫理や社会的責任についても多くのページが割かれています。メタバース内での契約や権利関係の整理、AIアバターと人間アバターの識別問題、そして利用者がどのような行動をとるべきかという倫理的なガイドラインの必要性が明記されています。さらに、国際的な基準策定への貢献も見据えた動きがあり、諸外国との連携や国際機関でのルール整備に向けた取り組みが進められています。

実際にメタバースの活用によって社会課題の解決に取り組んでいる事例も紹介されています。たとえば、JR西日本が展開する「バーチャル・ステーション」事業では、大阪駅や広島駅を仮想空間上に再現し、地域活性化と多様な働き方の支援を両立させる試みが行われています。この事業は、経営陣による理解の得やすいビジネスモデルの構築、既存プラットフォームとの連携によるリスク低減、そして事業継続に向けたPDCAの徹底など、実務的にも高い参考価値を有しています。

さらに、大阪・関西万博では、メタバースと先端技術を組み合わせた多様な体験が提供されており、未来社会における仮想と現実の融合が具現化されています。AIが搭載されたアバターが司会進行を務めるなど、仮想空間の中で人間とアバターが共存し、役割を持つという新しい社会像が現実味を帯びています。

このように、総務省の報告書2025は、技術革新、市場拡大、社会的責任、法制度、国際協調といったあらゆる視点からメタバースの発展と安全性を考察した包括的な内容となっており、企業の採用担当者や企画部門、経営陣にとっても、極めて重要な示唆を含んだ資料と言えるでしょう。仮想空間の利活用がビジネスの可能性を大きく広げる今、倫理と安全、そして技術革新を両立させながら、次なる成長戦略を描く時が訪れています。

この記事の要点

  • 報告書2025は8月に実施された意見募集の結果を反映して公表された
  • メタバース市場は2030年に世界で5078億ドル、日本国内で約2兆円に拡大見込み
  • 企業向け市場は2025年で約8300億円、個人向けは約800億円と推計
  • AR・MR・AI技術の進展により、より臨場感のある体験が可能に
  • クリエイターエコノミーにおける消費者保護と匿名性の両立が課題
  • JR西日本のバーチャル駅事業など、実際の事例を通じた導入効果が確認された
  • 大阪・関西万博ではメタバース技術とAIの融合を象徴する展示が行われている
  • 報告書では国際的な連携の重要性にも言及されており、今後の国際標準化への貢献が期待されている

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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