2025年10月25日
労務・人事ニュース
令和7年8月静岡県全体の有効求人倍率1.05倍と全国比較での採用視点 中部1.12倍、東部1.05倍、西部0.93倍と地域差顕著
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静岡県内の最近の雇用情勢(令和7年8月分)(静岡労働局)
この記事の概要
静岡県内の令和7年8月の有効求人倍率は1.05倍と全国平均を下回り、改善の動きに弱さが見られる状況でした。地域別では中部1.12倍、東部1.05倍、西部0.93倍と地域差も顕著です。採用担当者はこうした数値を的確に読み取り、地域や業種ごとの人材獲得戦略を見直す必要があります。
静岡労働局が公表した令和7年8月の雇用情勢によると、静岡県全体の有効求人倍率(季節調整値)は1.05倍で、前月と同水準でした。この倍率は全国平均の1.20倍を0.15ポイント下回っており、依然として全国に比べて求人と求職のバランスが弱いことを示しています。求人数は59,528人で前月比0.1%増加した一方、求職者数は56,941人で0.4%増加し、双方が増加する中で倍率は横ばいに留まりました。これは求人側の積極性が一定程度保たれているものの、求職者数の増加が上回りつつあるために、採用競争が以前より難しくなっていることを物語っています。
地域ごとに見ると、中部地域は1.12倍と県内で最も高い数値を示し、次いで東部地域が1.05倍、西部地域は0.93倍と1倍を下回りました。特に西部地域では求職者が求人数を上回る状況が定着しつつあり、採用に苦戦する企業が増えることが予想されます。採用担当者にとっては、この地域差を踏まえた戦略が不可欠です。例えば、中部地域では依然として比較的高い求人倍率を維持しているため、積極的な求人活動によって優秀な人材確保が可能ですが、西部地域では待遇改善や柔軟な勤務形態の導入、地域外からの人材呼び込みといった工夫がなければ人材獲得は難しくなります。
職業別の有効求人倍率を見ても差は大きく、保安職業や建設・採掘、介護関連職は高い水準にあるのに対し、事務職や運搬・清掃・包装等の職業は低く抑えられています。これは、体力を要する仕事や専門性が必要とされる職種においては人材不足が続き、反対に事務や一般的な作業系の職種には応募者が集まりやすい構造があるためです。採用担当者は自社の求人がどの職種に属するかを見極め、倍率の高さが示す採用難易度を理解することが重要です。倍率が高い職種を募集する際には、給与条件の見直しや福利厚生の拡充、キャリア形成の明確化など、求職者にとって魅力的な要素を打ち出す必要があります。
新規求人倍率は2.03倍と、前月を0.09ポイント上回りましたが、全国値の2.15倍を下回りました。新規求人数は20,392人で前年同月比6.9%減少しており、特に一般求人は10.1%減少しました。これは企業が新規の採用活動を抑制している兆候とも解釈でき、物価高騰や景気の先行き不透明感が背景にあると考えられます。その一方で、新規求職者数は9,369人と前年同月比で1.2%減少しており、労働供給側も縮小しています。採用担当者はこの「求人減・求職減」の両側面を冷静に分析し、自社が必要とする人材の確保にどのような工夫が求められるかを考えるべきです。
産業別に見ると、建設業や製造業、宿泊業・飲食サービス業、サービス業などで新規求人が増加しましたが、運輸業・郵便業や卸売・小売業、医療・福祉分野では減少しました。特に卸売・小売業の新規求人は前年同月比で36.5%減少と大幅に落ち込んでおり、人材確保の意欲が弱まっていることが見て取れます。医療・福祉分野も依然として求人数は多いものの、前年に比べて減少しており、介護事業などでの人材不足は構造的な課題として残っています。採用担当者は、これら産業ごとの動向を把握したうえで、業界全体の傾向と自社の立ち位置を照らし合わせる必要があります。特に成長分野や人材流動が活発な業界では、即戦力人材をいかに早期に採用できるかがカギとなるでしょう。
正社員の有効求人倍率は0.99倍で全国平均と同水準でしたが、正社員の有効求人数は31,697人で、前年同月を2か月連続で下回りました。正社員の求人割合も54.4%と依然として高いものの、雇用の安定性を求める求職者との需給のバランスに揺らぎが見られます。企業が優秀な正社員を確保するには、雇用条件の改善だけでなく、働きがいを感じられる職場文化の構築やキャリア支援の仕組みを整えることが重要です。
また、雇用保険関連のデータでは、資格喪失者数が前年同月比で4.5%減少する一方、事業主都合の離職者は15.4%増加しました。このことは、企業が人員整理を余儀なくされるケースが増えていることを意味し、景気の変動や経営環境の厳しさが雇用に影響を及ぼしていることを示唆しています。採用担当者は、こうしたマクロの動きを踏まえ、自社の採用活動を単に数値に頼るのではなく、中長期的な人材戦略の一環として位置づけることが求められます。
結論として、静岡県の雇用情勢は全体として弱含みであり、特に西部地域や特定の産業においては厳しい環境が続いています。採用担当者は有効求人倍率という指標を単なる数字として捉えるのではなく、そこに含まれる地域差や産業構造の変化、求職者の行動特性を総合的に読み取り、自社に適した採用戦略を組み立てる必要があります。具体的には、条件改善による応募者増加の促進、地域や業界を越えた人材獲得の工夫、さらにはオンライン採用や柔軟な雇用形態の導入による間口の拡大が効果的です。これらの取り組みは、単なる短期的な採用成功にとどまらず、企業の持続的成長に直結するものとなるでしょう。
この記事の要点
- 静岡県の有効求人倍率は令和7年8月時点で1.05倍と全国平均を下回った
- 地域別では中部1.12倍、東部1.05倍、西部0.93倍と差が顕著
- 職種によって求人倍率に大きな差があり、採用難易度が異なる
- 新規求人は減少傾向にあり、採用競争は一層厳しさを増している
- 正社員求人は高水準を維持するが前年を下回りつつあり工夫が必要
- 採用担当者は倍率を数字として捉えるのではなく背景を分析することが重要
⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ


