労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和7年8月茨城県の有効求人倍率1.16倍を踏まえた運輸業・郵便業の人材確保の行方

2025年10月24日

労務・人事ニュース

令和7年8月茨城県の有効求人倍率1.16倍を踏まえた運輸業・郵便業の人材確保の行方

Sponsored by 求人ボックス

県内の雇用情勢の概況(令和7年8月分)(茨城労働局)


この記事の概要

茨城県における令和7年8月の有効求人倍率は1.16倍となり、前月より低下しました。新規求人数も前年同月比で14.1%減少するなど、雇用改善の動きが弱まっています。企業の採用担当者は、この動向を踏まえて採用計画を再考し、効果的な人材確保に取り組む必要があります。


茨城県の令和7年8月における有効求人倍率は季節調整値で1.16倍となり、前月から0.02ポイント下がりました。これは全国平均と比較しても27番目という位置にあり、県内の雇用市場において求人が求職を上回る状況は続いているものの、その改善基調は確実に弱まっていることを示しています。さらに、新規求人数は前年同月比で14.1%減少しており、8か月連続の減少が確認されました。この背景には物価上昇やエネルギーコストの影響に加え、製造業や運輸業など主要産業における求人の抑制があると考えられます。

具体的な産業別の動きを見ると、「宿泊業、飲食サービス業」は前年同月比で23.7%の増加を示し観光需要の回復が人材需要を押し上げました。一方で「医療、福祉」は18.7%減少、「運輸業、郵便業」は30.7%減少と、社会インフラを支える分野における求人縮小が目立っています。これらの数字は、業種によって人材需要の明暗が大きく分かれている現状を示しており、企業の採用担当者は自社の属する業界動向を的確に把握しなければ適切な採用戦略を描けないことを意味しています。

正社員有効求人倍率に注目すると、令和7年8月時点で0.98倍となり、前年同月より0.07ポイント低下しました。これは正社員としての安定雇用を求める人に対して求人が十分に供給されていない現実を映し出しています。多くの企業が非正規雇用やパートタイムを活用して短期的な労働力を確保しようとする一方で、長期的な組織運営に不可欠な正社員採用の動きが鈍化しているのです。採用担当者にとって、この状況は人材確保の難しさを増大させると同時に、自社がいかにして応募者に「安定」と「成長の機会」を提供できるかが問われる重要な局面といえます。

さらに新規求職申込件数は前年同月比で0.7%減少し、求職者の新規流入が鈍化しています。特に「常用」を希望する層が2.0%減少する一方で、「常用的パートタイム」を希望する層は1.6%増加しました。生活スタイルやライフステージに応じて柔軟な働き方を選択する人が増えていることがうかがえます。企業は従来のフルタイム雇用の枠組みに固執せず、多様な働き方を提示することで、求職者の関心を引きつけられるかどうかが採用活動の成否を分けるでしょう。

また、雇用保険関連の動きを見ると、失業給付の受給資格決定件数は前年同月比で0.1%増加し、受給者実人員も9.8%増加しました。これにより失業状態にある人の増加が示唆され、雇用の安定性に不安が広がっていることがわかります。他方、事業主都合による離職者数は24.5%減少しており、企業側が人員整理を抑制する動きも見られます。これは企業が労働力をできる限り保持しようとしている表れであり、採用市場においては求職者と企業の双方が慎重姿勢を強めている状況といえるでしょう。

企業の採用担当者にとって、こうした雇用指標が示す現実は、単なる数字の変化ではなく、今後の採用戦略を方向づける重要な材料です。有効求人倍率が低下傾向にあることは、労働市場全体の需給バランスが変動しているサインです。求人を出せば人が集まるという状況ではなくなりつつある中で、企業は自社の求人がいかに魅力的に映るかを考える必要があります。給与や福利厚生の改善はもちろんのこと、キャリア形成支援やリスキリング機会の提供など、中長期的に「この会社で働きたい」と思わせる取り組みが不可欠となります。

また、地域特性を踏まえた戦略も必要です。茨城県は製造業が盛んな一方で、観光やサービス業でも一定の需要があります。しかし、今回の数値が示す通り製造業の新規求人数は前年同月比で12.5%減少しました。半導体や輸送機械など輸出型産業に依存する部分も多く、世界的な需給変動の影響を受けやすいのが現実です。そのため採用担当者は、景気の変動に左右されにくい分野や成長産業に目を向け、中長期的な人材ポートフォリオを再構築することが求められます。

総じて、茨城県の令和7年8月の雇用情勢は改善の勢いを欠いており、企業にとっては人材獲得競争が一層厳しさを増す局面にあるといえます。だからこそ採用担当者は数字に基づいた冷静な判断を下し、求人条件の見直しや働き方の多様化、社員定着のための施策強化など、実効性の高い戦略を策定していく必要があります。労働市場の波を単なる外部環境として受け流すのではなく、自社の採用活動を変革する契機ととらえることが、持続的な成長につながるのです。

この記事の要点

  • 令和7年8月の茨城県の有効求人倍率は1.16倍で前月より低下
  • 新規求人数は前年同月比で14.1%減少し8か月連続の減少
  • 正社員有効求人倍率は0.98倍と前年同月より低下
  • 製造業や運輸業で求人が減少し宿泊業・飲食業では増加
  • 新規求職申込件数は減少し働き方の多様化が進行
  • 企業は賃金改善や働き方の柔軟性で採用競争力を高める必要あり

⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ
パコラ通販ライフ
PR記事作成サービス受付フォーム