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2025年11月6日

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賃上げ実施企業91.5%、平均13,601円にアップ―厚労省が2025年調査結果を公表

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賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省は2025年10月14日、「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表した。この調査は、全国の常用労働者100人以上を雇用する民間企業を対象に、賃金改定の状況や昇給制度の実施などを把握するために実施された。調査結果では、賃金を引き上げた、または引き上げると回答した企業が全体の91.5%に達し、平均引上げ額は13,601円、引上げ率は4.4%と前年を上回ったことが明らかになった。


厚生労働省は令和7年10月14日、全国の民間企業を対象に行った「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を発表した。この調査は、企業における賃金改定の現状を明らかにし、国内の賃金動向を把握することを目的として実施されたものである。調査対象は、常用労働者を100人以上雇用している会社組織の民間企業であり、令和7年は3,643社を抽出。そのうち1,847社から有効な回答を得て、実態の分析が行われた。

調査結果によると、「1人平均賃金を引き上げた、または引き上げる」と回答した企業の割合は91.5%に達し、前年の91.2%からわずかに上昇した。賃金改定額の全国平均は13,601円で、前年の11,961円から約1,600円の増加となった。改定率は4.4%であり、こちらも前年の4.1%を上回る結果となった。特に労働組合のある企業では、平均改定額が15,229円、改定率が4.8%と、非組合企業の11,980円・4.0%を上回っている。このことから、労働組合の存在が一定の賃上げ効果をもたらしていることがうかがえる。

調査はまた、定期昇給制度の運用状況にも焦点を当てている。賃金改定を実施、または予定している企業のうち、定期昇給を「行った・行う」と回答した割合は76.8%に上った。さらに、定期昇給制度を有する企業のうち、ベースアップを実施、または予定している企業の割合は57.8%に達しており、前年に比べても上昇傾向がみられた。

これらの数値は、企業が人材確保やモチベーション向上を目的に賃金水準を引き上げる動きが広がっていることを示している。特に、労働市場の逼迫や物価上昇への対応として、賃上げを通じて従業員の生活の安定を図ろうとする傾向が強まっている。近年は政府による「賃上げ促進税制」などの支援策も整備されており、経済全体で賃上げの流れが定着しつつある。

一方で、調査結果は企業規模による差も示唆している。大企業では比較的高い賃上げ率を維持している一方、中小企業では人件費負担の増加が課題となっており、持続的な賃上げを行うためには生産性の向上や経営基盤の強化が求められている。

今回の結果は、春季労使交渉を経て実施された2025年度の賃金改定動向を反映したものであり、実質的な賃金上昇の定着が進んでいることを示す重要な指標である。賃金の引き上げが消費拡大を促し、企業収益の改善や経済成長に好循環をもたらすことが期待される。

厚生労働省では、今後もこの調査を継続的に実施し、企業の賃金動向や雇用環境の変化を分析していく方針を示している。労働者一人ひとりが安心して働き続けられる環境を整備し、経済の持続的成長を支える政策立案に活かしていく考えだ。

この記事の要点

  • 賃金引上げ実施・予定企業の割合は91.5%で前年より上昇
  • 1人平均賃金改定額は13,601円、改定率は4.4%
  • 労働組合がある企業では改定額15,229円、改定率4.8%
  • 定期昇給を行う企業は76.8%、ベースアップ実施は57.8%
  • 企業の賃上げが物価上昇や人材確保への対応として進行中
  • 中小企業では人件費負担が課題

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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