2025年11月2日
労務・人事ニュース
令和6年度食料自給率38%、国内生産の現状と課題を農林水産省が公表
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最終更新: 2025年11月2日 09:34
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令和6年度食料自給率を公表します(農水省)
この記事の概要
農林水産省は令和7年10月10日、令和6年度の「食料自給率」を公表した。カロリーベースでの自給率は38%と前年度と同水準で、生産額ベースは64%(前年度比+3ポイント)、新たに公表された摂取熱量ベースは46%となった。主食用米の消費増や砂糖の国産生産量増がプラスに寄与した一方で、小麦や大豆、野菜、魚介類の生産減少がマイナス要因となった。
農林水産省は10月10日、令和6年度の食料自給率の結果を発表した。食料自給率は、国内で供給される食料のうち、どの程度が国内生産でまかなわれているかを示す重要な指標であり、国の食料安全保障や農業政策を考える上で欠かせないデータである。今回の発表では、カロリーベース、生産額ベースに加え、今年度から新たに「摂取熱量ベース」の食料自給率もあわせて公表された。
令和6年度のカロリーベース食料自給率は38%で、前年度と同水準を維持した。これは、主食用米の消費増加や、国産てん菜・さとうきびの生産量増加による砂糖生産の増加がプラスに作用したものの、小麦の単収減少に伴う生産量減や、大豆、野菜、魚介類の国内生産の減少が影響した結果である。特に、小麦については気象条件や収穫期の天候不順が影響し、生産量が前年を下回った。一方、米の消費は回復傾向にあり、食生活の変化による需要増がカロリーベース維持の支えとなった。
生産額ベースの食料自給率は64%で、前年度から3ポイント上昇した。これは、国内農産物の価格上昇によって生産額が増加したことが大きな要因である。特に米、野菜、畜産物の国内価格が上昇し、それに伴い生産額が増えた。輸入原材料価格の高止まりや円安の影響を受け、国内生産の価値が相対的に上がったことも背景にある。これにより、国内生産の経済的比重はやや強まった。
今年度から新たに導入された「摂取熱量ベース食料自給率」は46%と算出された。この指標は、国民が平時に必要とする摂取熱量のうち、どの程度が国内生産でまかなわれているかを示すものである。算出式は「1人1日当たり国内供給熱量(860kcal)」を「平時に必要な摂取熱量(1,850kcal)」で割ったものであり、日本人の食生活における国内供給の割合をより現実的に示す新たな尺度として注目される。
この10年間の推移を見ると、カロリーベースの食料自給率は平成27年度の39%をピークに、以降は37〜38%の間で横ばいが続いている。一方で、生産額ベースは令和3年度に63%まで下がったものの、近年は回復傾向を示し、令和6年度には64%まで上昇した。これは、国内農業の生産性向上や価格上昇に支えられている一方で、数量ベースでは依然として停滞が続いていることを意味している。
農林水産省では、地域レベルでの食料自給率向上の取り組みを促進するため、都道府県別の食料自給率や食料国産率も公表している。これにより、各自治体が自らの食料供給構造を把握し、地域資源を活用した自給率向上策を検討できるようにしている。前年度の都道府県別データでは、北海道がカロリーベースで200%を超える高い自給率を維持している一方、都市部では10%台にとどまる県もあり、地域間格差が大きいことが課題となっている。
農林水産省は、今回の公表にあたり、国内農業の生産力維持とともに、国民の食行動の変化にも注目している。食の多様化や輸入食材への依存度の高まりが続く中で、国産農産物の需要拡大と安定供給の両立が求められている。また、異常気象や国際的な物流不安定化の影響を受けた際に備え、国内生産基盤の強化を図ることが重要とされている。
食料自給率は単なる数値ではなく、国の「食の安全保障」の象徴的な指標である。カロリーベースで38%という現状は、国際的にも低い水準にあり、持続可能な食料供給体制の構築が急務となっている。今後の政策として、農林水産省は国産農産物の付加価値化、地産地消の推進、農業生産者への支援拡充を通じて、食料自給率の安定的な向上を目指していく方針を示している。
この記事の要点
- 令和6年度のカロリーベース食料自給率は38%で前年度並み
- 生産額ベース自給率は64%で前年度より3ポイント上昇
- 新たに摂取熱量ベース食料自給率(46%)を導入
- 主食用米と砂糖の生産増がプラス要因、小麦・大豆・魚介類の減少がマイナス要因
- 直近10年間でカロリーベースは横ばい傾向、生産額ベースは回復傾向
- 国内価格上昇と円安が生産額増に寄与
- 地域別では北海道が高い自給率を維持、都市部では低水準が続く
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ


