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2025年11月1日

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令和7年9月の東北経済、求人は増加も採用慎重姿勢が強まる

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景気ウォッチャー調査(令和7年9月調査)― 東北(先行き)―(内閣府)


この記事の概要

令和7年9月に実施された景気ウォッチャー調査によると、東北地方の景気は全体として横ばいながらも業種によって温度差が見られる。観光業や宿泊業では紅葉シーズンやインバウンド需要の回復が追い風となり、予約や来客数が増加傾向にある。一方で、物価高と最低賃金引上げによるコスト増が小売業や外食産業を直撃し、採算悪化が進んでいる。職業安定所によると、新規求人数は前年同月比で増加しているものの、今後は採用を控える企業も見られ、有効求人倍率の上昇には鈍化傾向が出ている。


令和7年9月の東北経済をみると、消費動向と雇用情勢の両面で複雑な構造が浮き彫りになった。まず、観光業は秋の行楽シーズンを迎え、県外客やインバウンドの動きが活発化している。特に都市型ホテルや観光型旅館では「予約が前年を上回っている」「冬の訪日客向け先行予約が順調」との声が多く、宿泊需要が堅調である。観光名所でも「振り客が前年並みで、12月以降は鉄道会社のキャンペーンにより来場増加が見込まれる」との見方があり、観光関連業種は地域景気を支える柱として期待されている。

小売業では、スーパーやコンビニの動きが対照的である。スーパーでは一部店舗が「前年を上回る売上を維持している」とする一方で、「10月以降も商品の値上げが続き、消費者の買い控えが強まる」との懸念が強い。最低賃金の引上げに伴う人件費負担の増加が経営を圧迫しており、「採用時給と既存社員の給与引上げにより経費が膨らんでいる」との意見も多い。コンビニエンスストアでは「値上げにより客単価が上昇し、買上点数も前年比3%アップ」とする声がある一方、「値上げが消費意欲を削ぐ」との懸念も根強い。人口減少による客数の減少も続いており、都市部を除く地方店舗では厳しい経営環境が続いている。

製造業では、金属製品製造業や一般機械器具製造業で省人化設備やDX関連投資の引き合いが増加している。一方で、食料品製造業や窯業・土石製品業では原材料高や受注減少の影響が大きく、「受注量の減少で厳しい状態が続いている」との報告もある。建設業では、資材価格と労務費の上昇が続きながらも、「受注量は数年先まで確保している」とする企業もあり、業種による明暗がはっきりしている。

また、住宅関連業では建売や中古リフォーム物件の動きが堅調だが、土地取得型の注文住宅は「受注が伸び悩んでいる」との報告がある。不動産価格と建築費の高止まりが背景にあり、個人消費の抑制傾向が続いている。商店街では「物価高が止まらず、外出控えの傾向が強まっている」との声が多く、繁華街では飲食店の閉店も増加している。

一方、雇用環境をみると、人材不足と採用抑制が同時に進む構図が鮮明となっている。職業安定所の報告によれば、新規求人数と有効求人数はいずれも前年同月比で増加しているが、先行きには不透明感が強い。「最低賃金引上げによる人件費増加で大きな影響が出る」「採用を控える企業が出始めている」との指摘もあり、求人提出を様子見する事業所が増加している。

人材派遣会社では「求人数は緩やかに増加しているが、採用数は横ばい」との状況が続く。特に、最低賃金上昇や米国の関税政策の影響で業績悪化に陥った企業が採用を見送るケースが報告されており、派遣社員の需要にも停滞感が漂う。人材紹介業では「中小企業は新規事業よりも現状維持を優先している」との意見が多く、新しい雇用創出の動きが鈍いことが明らかとなった。

求人広告を扱う新聞社の担当者からは「物価高が続き、求人広告の出稿は減少傾向」との報告があり、採用広報活動の縮小が見られる。さらに、専門学校の担当者からは「関税問題の影響で経済活動が停滞する可能性がある」との懸念が示されており、今後の採用市場に冷え込みが及ぶ可能性が指摘されている。

全体的に、東北地方の景気は観光業を中心に一定の回復基調を維持しているものの、物価上昇と人件費負担が重なり、企業の採用活動には慎重さが広がっている。有効求人倍率は改善傾向を見せているが、求人の伸びは鈍化しており、求職者とのマッチングも難航している。地域経済の底上げには、賃上げと物価高対策を両立させた政策の実効性が求められている。

この記事の要点

  • 令和7年9月の東北景気は横ばいで観光業が堅調
  • 宿泊・観光関連でインバウンド需要が回復
  • スーパーでは値上げと人件費増加で採算悪化
  • 新規求人数・有効求人数とも前年同月比で増加
  • 最低賃金引上げが採用意欲の抑制要因に
  • 中小企業では新規事業より現状維持を優先
  • 求人広告出稿が減少し採用広報活動が縮小

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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