2025年11月1日
労務・人事ニュース
令和7年9月の北海道景気、求人減少7.1%で採用難が長期化
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最終更新: 2025年11月1日 01:01
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景気ウォッチャー調査(令和7年9月調査)― 北海道(先行き)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年9月に実施された景気ウォッチャー調査によると、北海道の景気は全体として横ばいながらも、業種によって明暗が分かれている。観光業や自動車関連では回復傾向が見られ、冬季シーズンに向けてインバウンド需要の増加が期待されている。一方で、物価上昇と最低賃金の引き上げが経営を圧迫し、小売業や飲食業では採算が悪化。雇用関連では求人の減少が続く中で、人手不足と採用難が依然深刻である。有効求人倍率は横ばいだが、新規求人数は前年を7.1%下回り、企業の採用意欲には慎重さが見られる。
令和7年9月の北海道経済をみると、観光業や宿泊業が景気を下支えしているものの、物価上昇や人件費の高騰が消費者と企業の双方に影響を与えている。一般小売業では、冬を前にインバウンド需要の回復が期待されており、土産物店では「外国人観光客の増加で来客数と客単価が上向く」との見方がある。一方で、国内消費者は物価高を背景に買い控えの傾向が強まり、日用品の売上は横ばいからやや減少している。衣料品店ではスーツ需要の回復が見られるが、天候不順や節約志向の影響で売上の伸びは限定的だ。
観光関連では、紅葉シーズンの到来とともに国内旅行客が回復傾向を見せており、ホテルでは冬季に向けてインバウンド予約が増加している。観光地ではすでに利用者数がコロナ禍前の水準に近づいており、「宿泊施設のキャパシティはほぼ上限」との声も上がっている。これに伴いタクシー業界でも夜間の利用客が増えており、年末にかけて繁忙期を迎える期待が高まっている。しかし、タクシー運転手不足が続き、採用活動が追いつかない状況にある。
一方、スーパーやコンビニエンスストアなどの小売業では、価格転嫁が進んでいるにもかかわらず売上は伸び悩んでいる。スーパーでは10月から食料品を中心に3000品目以上の値上げが予定されており、さらに電気・ガス料金の支援策終了により光熱費も上昇する見通しだ。店長からは「賃上げが物価上昇に追いつくまであと何年かかるかわからない」との不安の声が上がっている。最低賃金の上昇により人件費負担が増え、小売店では採算が悪化、経営継続が難しい店舗も出始めている。
製造業では、食料品や通信業を中心に一部で回復の兆しが見られる。食料品製造業では冬季需要の増加に伴い受注が上向いており、通信業では価格転嫁が進んだことから、来期の景況感が改善する見込みとされている。司法書士や建設機械リース業なども業務量の増加を報告しており、建設業では年度内の工事量がほぼ確定している。ただし、建設コストの高止まりと人件費の増加が利益を圧迫しており、「計画どおりの利益確保は難しい」との声も聞かれる。
雇用情勢をみると、職業安定所の報告によれば、7月の新規求人数は前年を7.1%下回り、2か月連続の減少となった。有効求人倍率は横ばいを維持しているが、求人数の減少傾向は続いている。職業安定所の担当者は「求人数の減少が直ちに景気悪化を意味するわけではないが、採用を控える企業が増えている」と指摘する。求人情報誌の制作会社によると、観光関連や除雪業務では一定の求人需要があるものの、人口減少や労働力不足による市場縮小傾向が避けられないとみられている。
また、人材派遣業界では、企業のニーズと求職者のモチベーションのギャップが埋まらず、採用につながらないケースが増加している。派遣会社の担当者は「求職者が“すぐに採用される”という誤った認識を持っていることもマッチング不全の原因」と述べており、採用難の長期化が懸念される。求人情報誌編集者によると、最低賃金の引上げや商品の値上げが雇用面に影響を与えており、企業が省人化や正社員化を進める中で新規採用の動きは鈍化している。さらに、倒産や廃業に至る中小企業が増える可能性も指摘されており、雇用環境には不透明感が漂う。
大学の就職担当者は「10月以降、企業の採用姿勢が一段と慎重になる」と予測している。特に中小企業では人手不足を背景に求人を維持する一方で、人件費負担や業績不安から採用数を抑える動きが広がっている。新卒採用市場は依然として活発だが、学生の就職活動は長期化し、企業側の選考スケジュールにも遅れが生じている。
総じて、北海道経済の先行きは、観光需要や冬季消費が景気を下支えする一方で、物価高と人手不足が企業経営と雇用に重くのしかかっている。特に地方都市や中小企業では、最低賃金上昇に伴うコスト増に対応しきれず、採用抑制や店舗縮小の動きが広がっている。今後は、賃上げと価格転嫁のバランスを取りつつ、地域経済を持続的に支える労働環境の整備が課題となる。
この記事の要点
- 令和7年9月の北海道景気は横ばいも業種間で明暗
- インバウンド需要回復で観光関連業は堅調に推移
- スーパーでは10月から3000品目以上の値上げを予定
- 最低賃金上昇で小売店の採算悪化と廃業懸念
- 7月の新規求人数は前年を7.1%下回り2か月連続減少
- 求人と求職のミスマッチが深刻化し採用難が長期化
- 人件費増で中小企業の採用抑制が広がる
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


