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2025年11月1日

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令和7年9月の九州経済、求人増えずも登録者1割増で人手不足続く

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景気ウォッチャー調査(令和7年9月調査)― 九州(現状)―(内閣府)


この記事の概要

令和7年9月の景気ウォッチャー調査によると、九州地域の景気は全体として横ばいを維持しているものの、物価上昇や賃金の伸び悩みが企業活動と消費行動の双方に影響を及ぼしている。小売業では食品価格の高騰により客単価が上昇しているが、来客数は減少傾向で、消費者の節約志向が強まっている。求人動向では人手不足感が依然強く、有効求人倍率は高水準を保っているものの、企業の採用活動は慎重姿勢が続く。特に中小企業では最低賃金引き上げに対応しきれず、採用コストの上昇が経営を圧迫している。


令和7年9月の九州経済を概観すると、消費や雇用を中心に明暗が分かれる展開となった。百貨店ではインバウンド需要の回復により販売量・売上ともに安定を維持しており、特にラグジュアリー商品が堅調に推移した。しかし、一般衣料品は猛暑の影響で秋物の出足が鈍く、来客数は前年を下回った。商店街では物価高騰と長引く猛暑により通行量が減少し、飲食店や小売業の経営環境は厳しい。スーパーでは来客数が前年割れを起こし、売上は前年比98.5%にとどまった。客単価こそ上昇しているものの、消費者は特売品中心の買い物傾向を強めており、生活防衛意識の高さが鮮明となっている。

一方、旅行・観光関連業では明るい動きがみられた。旅行代理店によると、大阪・関西万博の影響もあり、関西方面への企画旅行商品の販売量が3か月前の約1.5倍に増加した。また、当地空港では8月の海外旅行者数が2018年同期比で112%、訪日外国人旅行者数は117%に達し、インバウンドの回復が顕著である。観光型ホテルやゴルフ場では県外・国外からの予約が増加しており、秋以降の繁忙期に向けた期待感が高まっている。ただし、都市型ホテルでは国内客の動きが鈍く、売上の回復には至っていない。

製造業では、輸送用機械器具製造業が上期において予算計画数量を上回る生産を維持するなど、一部業種で堅調な動きを見せた。経営コンサルタントの報告によれば、人材育成に投資する企業が増加しており、企業が持続的成長を視野に入れた取り組みを進めていることがうかがえる。しかし、半導体分野では依然として低迷が続き、前々年比40%程度の売上にとどまっている。米国関税問題の影響も一部で残り、受注計画を先送りする企業も見られるなど、地域製造業全体では慎重な姿勢が強い。

不動産・建設関連では、建材価格と人件費の上昇が企業収益を圧迫している。建設業は受注こそ好調だが、資材費と労務費の高止まりが続き、利益率の低下が目立つ。住宅販売会社では金利上昇と物価高の影響で来客数が激減し、顧客の返済負担が増加したことから購買意欲が冷え込んでいる。

雇用関連では、地域経済を支える人手不足が依然として深刻である。職業安定所の報告によると、管内の新規求職者数は前年に比べ増加しており、特に高齢者層の就労希望が目立つ。物価高による生活費の上昇を背景に、より好条件を求める現役世代の転職活動も活発化している。一方、新規求人数は前年比で減少が続いており、求人側と求職側の意識のずれが課題となっている。就職件数は前年を上回ったものの、採用活動の慎重化が見られる。

人材派遣会社では、求人への応募者・登録者が3か月前に比べ約1割増加した。求職活動の活発化がみられる一方で、企業からの新規求人件数は横ばいが続いている。特に派遣求人は2023年度を下回っており、人手不足を感じつつも新たな雇用を控える企業が多い。また、学校関係者の話では、9月以降も採用活動を続ける企業が多く、人手不足を背景に求人数が増加しているという。新卒学生には有利な環境であるが、採用活動の長期化が進み、企業側は人材確保に苦戦している。

全体的に見ると、九州の経済は観光や一部製造業で回復の兆しを見せながらも、物価高と賃金上昇の鈍さが消費と採用活動の重荷となっている。有効求人倍率は依然として全国平均を上回る水準にあるが、企業の採用余力にはばらつきがあり、特に中小企業では最低賃金引き上げによる人件費増加が経営を直撃している。今後は、賃金の持続的な上昇と物価安定が両立できるかが、九州経済の回復の鍵を握るだろう。

この記事の要点

  • 令和7年9月の九州経済は横ばい推移で物価高が消費を抑制
  • 大阪・関西万博効果で旅行商品の販売量が3か月前比1.5倍
  • 海外旅行者数は2018年同期比112%、訪日客は117%と回復
  • 職業安定所では新規求職者数が前年より増加、高齢者層も活発
  • 新規求人数は減少続くが就職件数は増加し採用意欲は維持
  • 派遣求人は2023年度を下回るも登録者数は1割増加
  • 最低賃金引上げが中小企業の採用抑制要因に

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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