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2025年10月29日

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令和7年8月の千葉県有効求人倍率0.98倍、雇用持ち直しも弱さが残る

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最近の雇用失業情勢(令和7年8月分)(千葉労働局)


この記事の概要

令和7年8月、千葉労働局が発表した最新の雇用情勢によると、千葉県の有効求人倍率(季節調整値)は受理地別で0.98倍、就業地別で1.23倍となり、いずれも前月から0.02ポイント低下しました。求人数の減少が続く一方で、求職者数もわずかに減少し、雇用環境には持ち直しの動きが見られるものの、依然として弱さが残っています。産業別では情報通信業で21.4%増加するなど成長分野の動きが目立つ一方、宿泊業や飲食サービス業では36.3%減と大幅に低下しています。本記事では、千葉県の労働市場データに基づき、採用担当者がどのように求人倍率を読み解き、今後の採用戦略を立てるべきかを詳しく分析します。


令和7年8月、千葉県の有効求人倍率(季節調整値)は0.98倍と発表されました。これは前月比で0.02ポイント低下し、全国平均の1.20倍を大きく下回る結果です。就業地別では1.23倍と前月より0.02ポイント低下し、県内の求人状況は地域や業種によってばらつきが見られます。千葉労働局は、「県内の雇用情勢は緩やかに持ち直しているものの、動きに弱さがみられる」とし、物価上昇などの経済的要因が雇用に与える影響に引き続き注意が必要だと分析しています。

有効求人数(季節調整値)は前月比で2.1%減、有効求職者数も0.1%減と微減にとどまりましたが、全体としては求人の勢いがやや弱まっている傾向が明らかです。新規求人倍率(季節調整値)は1.80倍で前月と同水準を維持しており、新規求人数は前月比2.8%増とわずかに上昇しましたが、前年同月比では6.6%減と2か月ぶりの減少となりました。

正社員の有効求人倍率は0.77倍で、前年同月から0.01ポイント上昇していますが、依然として1倍を下回る状況が続いています。つまり、正社員としての安定雇用を希望する求職者が多い一方で、企業の正社員求人は依然として限定的であり、企業側が非正規雇用や短期契約で人材を確保しようとする傾向が強いことを示しています。

産業別に見ると、千葉県では情報通信業で前年比21.4%増と大きく伸びました。IT関連サービスやデジタル技術を活用した企業活動が広がる中で、システム開発やデータ分析、インフラ整備などの求人が堅調に推移しています。これに対して、宿泊業・飲食サービス業は前年比36.3%減と大幅に落ち込み、観光需要の回復が鈍いことや人件費の高騰が影響しています。医療・福祉分野も前年比1.5%減となり、慢性的な人手不足と厳しい労働環境が続いています。

また、製造業は前年比8.6%増と堅調に推移しており、特に自動車部品や機械関連の求人が増加しています。一方、卸売・小売業は横ばいで推移し、消費者行動の変化に合わせた雇用形態の見直しが進んでいます。建設業も微増となっており、住宅需要やインフラ投資に支えられていますが、熟練労働者の不足が深刻化しています。

求職動向に目を向けると、有効求職者数は前年同月比で3.4%減と13か月連続の減少でした。新規求職者数は前年同月比で3.0%増加しており、新たに求職活動を始める層が増えています。この背景には、物価高や実質賃金の伸び悩みなどがあり、より良い条件を求めて転職を検討する動きが広がっていると考えられます。

一方、雇用保険の受給者数は21,315人で前年同月比9.8%増となり、3か月連続の増加でした。これは雇用の安定性が揺らいでいる兆候とも捉えられ、非正規雇用や短期契約の増加が影響していると見られます。企業にとっては採用よりも定着支援が課題となる局面に入りつつあります。

こうした状況の中で、企業の採用担当者が注目すべきは、求人倍率0.98倍という数値が示す「採用の転換点」です。求人が求職を上回る状態ではあるものの、労働市場全体の動きが鈍化しており、従来のように求人を出せば応募が集まるという時代ではありません。特に若年層や専門職人材を中心に、働く場所や条件を慎重に見極める傾向が強まっており、採用競争が質の面で激化しています。

採用担当者は、まず自社の求人内容を客観的に見直す必要があります。求職者が重視しているのは、単なる賃金や待遇ではなく、「働きやすさ」「成長機会」「職場の安定性」です。特に中小企業の場合、大企業に比べて給与条件で競争することが難しいため、教育制度やキャリア支援、柔軟な働き方の導入など、魅力を伝える戦略が不可欠です。

また、求人票の書き方ひとつでも応募率は大きく変わります。具体的な業務内容や一日の流れ、職場の雰囲気、チーム構成などを明確にすることで、求職者に安心感を与えることができます。数字だけでなく「どんな人が働いているか」「どんな成長ができるか」を伝える言葉を意識することが、今後の採用活動ではより重要になります。

さらに、地域別に見た採用戦略の調整も欠かせません。千葉県内では都市部と地方部で求人倍率の差が顕著であり、千葉市や船橋市など都市圏では応募競争が激しい一方、内陸部や南房総地域では求人を出しても応募が集まりにくい傾向があります。企業はリモートワークや通勤支援制度など、地理的ハンデを解消する工夫を取り入れることで、より広範な人材層からの応募を得ることができます。

そしてもう一つ重要なのが「人材の定着」です。求人倍率が1倍を下回る状況では、新たに人を採ることよりも、既存社員をいかに長く働かせるかが企業の競争力を決定づけます。社内コミュニケーションの強化、キャリア面談制度、メンター制度などを通じて、従業員の満足度を高める施策が求められます。特に千葉県のようにサービス業・製造業の比重が高い地域では、現場の働きやすさを改善する取り組みが企業の存続に直結します。

総じて、令和7年8月の千葉県の有効求人倍率0.98倍という数値は、企業にとって採用戦略を見直す契機となるものです。採用活動を「短期の人材確保」から「長期的な人材育成」へと転換し、地域・業種・世代を越えて人を惹きつける企業になるための基盤づくりが求められています。

この記事の要点

  • 令和7年8月の千葉県有効求人倍率は0.98倍、前月比0.02ポイント低下
  • 有効求人数は前年同月比3.2%減で7か月連続減少
  • 新規求人倍率は1.80倍で前月と同水準
  • 情報通信業が前年比21.4%増、宿泊業・飲食業は36.3%減
  • 正社員有効求人倍率は0.77倍で安定雇用ニーズが継続
  • 採用戦略は待遇よりも育成・柔軟性・定着支援が重要

⇒ 詳しくは千葉労働局のWEBサイトへ

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