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2025年10月29日

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令和7年8月の大分県有効求人倍率1.24倍、採用競争が企業戦略の分岐点に

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大分県の雇用情勢(令和7年8月分)(大分労働局)


この記事の概要

令和7年8月に大分労働局が発表した最新の雇用情勢によると、大分県の有効求人倍率は1.24倍となり、前月を0.01ポイント下回りました。求人数・求職者数ともに増加したものの、求人倍率が低下したことから、労働需給のバランスに変化が生じています。本記事では、このデータをもとに、企業の採用担当者が今後どのような採用戦略を立てるべきかを具体的に解説します。


令和7年8月の大分県の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で、前月の1.25倍からわずかに低下しました。これは、有効求人数が23,600人(前月比0.7%増)と増加した一方で、有効求職者数も19,027人(前月比1.4%増)と増えたためです。求人は増えているにもかかわらず倍率が下がったということは、求職者の動きが活発化している一方で、企業が求める人材とのミスマッチが依然として解消されていないことを意味します。正社員有効求人倍率は1.16倍で、前年同月を0.08ポイント下回りました。これは50か月連続で1倍台を維持しており、正社員需要が安定していることを示す一方、採用難の傾向が続いている現状も浮き彫りにしています。

また、地域別では大分所が1.45倍と最も高く、中津所が0.92倍と最も低くなりました。地域間で求人需要に差が生じており、都市部と地方部では採用の難易度が異なることがわかります。就業地別の有効求人倍率は1.37倍で、県内全体としては全国平均(1.20倍)や九州平均(1.12倍)を上回る水準を維持しています。

産業別の動きを見ると、情報通信業が前年比76.5%の大幅増となり、デジタル技術への投資拡大が顕著に表れています。建設業(11.1%増)、運輸・郵便業(11.7%増)、製造業(4.0%増)なども堅調に推移しています。一方で、宿泊・飲食サービス業(12.4%減)、医療・福祉(6.7%減)、卸売・小売業(10.0%減)といった業種は減少しました。特に観光関連産業では人手不足が依然深刻で、需要の回復に労働力が追いついていません。医療・福祉分野では離職者が多く、現場の負担感が採用難をさらに悪化させています。

求職動向を見ると、新規求職申込件数は3,518人で前年同月比11.2%増加しました。常用フルタイム求職者は2,194人で、そのうち在職者が757人(7.2%増)、離職者が1,295人(11.0%増)、無業者が142人(22.4%増)でした。離職理由をみると、事業主都合によるものが22.8%増加し、自己都合も8.9%増となりました。経済環境の変化により、企業の経営判断や雇用形態の見直しが進んでいることがうかがえます。

雇用保険の受給者数は5,874人と前年同月比で16.8%増加しており、雇用の不安定化が一部で進んでいることがわかります。大分労働局は「有効求人倍率は高水準を維持しているものの、持ち直しの動きに足踏みが見られる」としており、今後の物価上昇や経済変動の影響を注視する必要があると指摘しています。

企業の採用担当者にとって、この1.24倍という数字は単なる統計ではなく、採用活動の方向性を考えるうえでの重要な示唆を含んでいます。倍率が高いということは、求職者1人に対して複数の企業が競合している状態であり、優秀な人材を確保するためには採用手法の工夫が求められます。特に専門職やスキル人材を求める業界では、求人を出すだけでは応募が集まりにくく、企業の「働く価値」を明確に伝える努力が必要です。

情報通信業のように需要が急拡大している分野では、給与や待遇面の競争だけでなく、スキルアップの機会や柔軟な働き方を提供することが応募意欲を高める鍵となります。リモートワーク制度の整備や研修支援など、働く環境そのものの魅力を訴求する戦略が効果的です。また、建設業や運輸業では、即戦力を求めるだけでなく、未経験者を育てる体制の強化が求められています。若年層を対象とした資格取得支援や職業訓練制度の活用により、人材の定着と成長を両立させる取り組みが重要です。

一方で、宿泊業や小売業などでは、労働力の確保が長期的な課題です。こうした業種では、短期的な採用活動よりも、地域密着型の雇用戦略を重視すべきです。地元の高校生やシニア層、子育て中の人材など、多様な働き手を受け入れる柔軟な制度を整えることで、地域に根差した雇用が実現します。また、SNSや動画を活用して現場の雰囲気や社員の声を発信するなど、企業文化を可視化する広報活動も効果的です。求職者は「給与」だけでなく「共感できる職場環境」を重視する傾向が強まっており、リアルな情報発信が採用の成否を分けます。

地域別の求人倍率を見ると、都市部と地方で求職者層が異なることも採用担当者にとって重要な視点です。大分市では採用競争が激しいため、企業はスピーディーな選考対応や面談体験の改善が欠かせません。一方、中津市など求人倍率が低い地域では、採用よりも「定着支援」や「職場環境の魅力向上」が鍵になります。求職者が一度職に就いた後も安心して働き続けられる体制を整えることが、長期的な人材確保につながります。

さらに、近年の傾向として、採用活動のオンライン化が進んでいます。大分県内でも、ハローワークや自治体のオンラインマッチング支援を活用する企業が増えています。オンライン説明会や動画面接を導入することで、求職者の居住地に関係なく幅広い人材と接点を持つことができるため、地域の採用格差を補う効果が期待されます。

このように、有効求人倍率1.24倍という結果は、表面的には堅調な雇用環境を示しているものの、採用現場では依然として人材確保の難しさが残っています。企業の採用担当者は、データの背後にある求職者の動きや業界構造の変化を読み解き、より柔軟で戦略的な採用施策を打ち出す必要があります。採用は単なる「人集め」ではなく、企業の成長を支える「未来への投資」として位置づけることが求められます。

この記事の要点

  • 令和7年8月の大分県有効求人倍率は1.24倍で前月を下回る
  • 情報通信業・建設業・運輸業で求人が増加、宿泊業・小売業・医療福祉で減少
  • 正社員有効求人倍率は1.16倍で前年より低下、採用難が続く
  • 新規求職申込件数は3,518人で前年同月比11.2%増
  • 地域別では大分所1.45倍、中津所0.92倍と差が大きい
  • 採用担当者は待遇だけでなく働き方や環境の魅力を発信すべき
  • 長期的な育成型採用と地域密着戦略が持続的な採用力を生む

⇒ 詳しくは大分労働局のWEBサイトへ

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