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県内の雇用失業情勢について（愛知労働局）

この記事の概要

令和7年8月、愛知県の有効求人倍率は1.26倍となり、全国平均の1.20倍を上回る水準を維持しました。新規求人倍率は2.32倍で前月から低下し、産業ごとの求人動向にもばらつきが見られます。採用競争は続く一方で、正社員の求人動向や産業別需給の差から、企業は採用戦略を再構築する必要が高まっています。

愛知労働局が公表した令和7年8月の雇用情勢によると、県内の有効求人倍率は季節調整値で1.26倍と、前月から横ばいで推移しました。この数値は全国平均の1.20倍を0.06ポイント上回り、東海地域の中でも比較的高水準を示しています。求人が求職を上回る状況は依然として続いており、愛知県が持つ製造業を中心とした産業構造が強固であることを裏付けています。

新規求人倍率については2.32倍で、前月から0.05ポイント低下しました。新規求人数は42,447件で前年同月比3.9％減と減少傾向にあり、特に製造業や卸売・小売業で減少が目立ちました。これに対して新規求職者数は43,959人と前年より1.4％減っており、供給側もわずかに縮小しているため、市場全体はやや落ち着きを見せています。

職業別の状況をみると、管理的職業や専門的・技術的職業は依然として倍率が高く、採用の難しさが続いています。特に生産工程や建設・採掘の分野では、技能を持つ人材の不足が深刻であり、求人倍率も高水準で推移しています。一方、事務職や販売職では倍率が低く、求職者が多い状況が続いています。このように、職種ごとの需給バランスの差が拡大しており、採用担当者は自社の求人がどの領域に位置するのかを的確に把握することが重要です。

正社員の有効求人倍率は1.24倍で、全体の倍率と大きな差はありませんが、長期的にはやや低下傾向が見られます。正社員を求める企業の割合は依然として高い一方、非正規雇用を希望する求職者も一定数存在するため、需給のミスマッチが解消されにくい状況です。採用担当者は正社員採用にあたって、単なる条件提示にとどまらず、職場環境やキャリア形成のビジョンを提示することが求められます。

地域別にみると、愛知県全体での有効求人倍率は1.25～1.26倍で推移しており、県内における大きな地域差は見られません。しかし、ハローワーク単位で見ると都市部と地方部では求人の質に差があり、都市部ではサービス業や事務系の求人が多い一方、地方部では製造や建設関連の求人が目立ちます。採用活動を行う企業は、この地域性を踏まえて人材確保の方法を変えていく必要があるでしょう。

産業別の動向では、製造業の新規求人は前年同月比で減少しましたが、自動車関連や機械製造といった基幹産業では依然として高い需要が存在します。卸売・小売業では求人が落ち込む一方、情報通信業や医療・福祉分野では一定の求人需要が維持されています。こうした状況は、愛知県の産業構造が製造業を中心にしながらも、サービス産業や情報産業へのシフトが徐々に進んでいることを示しています。採用担当者は産業動向を注視しつつ、業界の変化に応じた人材戦略を立案することが不可欠です。

このような状況を踏まえると、採用担当者が取るべき戦略は二つに大別されます。一つは、採用難度の高い職種における待遇改善と採用チャネルの多様化です。具体的には、給与水準や福利厚生の強化、リモートワークの導入など、求職者にとって魅力的な条件を提示することが有効です。もう一つは、採用しやすい職種においては選考の質を高め、将来の成長に資する人材を見極める力を強化することです。特に、倍率の低い事務職などでは応募者数が多いため、適性検査や人物評価を重視することで、長期的に企業の成長に貢献する人材を確保できます。

さらに、愛知県では製造業を中心に外国人労働者への依存度が高まりつつあります。今後は外国人材の受け入れ体制を整備し、言語や文化の違いを踏まえたマネジメントを実施することが、企業にとって持続可能な採用戦略となるでしょう。

結論として、愛知県の令和7年8月の雇用情勢は、有効求人倍率1.26倍という高水準を維持しながらも、新規求人の減少や職種ごとの格差が顕著になっています。採用担当者は単に倍率の高さや低さを見るのではなく、その背景にある産業構造の変化や地域特性を理解し、戦略的に採用活動を進めることが必要です。短期的な採用競争にとどまらず、中長期的に企業の競争力を支える人材をどう確保するかが問われる局面に差し掛かっているといえるでしょう。

この記事の要点

• 愛知県の令和7年8月有効求人倍率は1.26倍で全国平均を上回った
• 新規求人倍率は2.32倍で前月より低下し求人は減少傾向
• 正社員有効求人倍率は1.24倍で横ばいだがやや低下傾向
• 製造業を中心に求人需要は高いが卸売・小売業では減少
• 職種別の需給格差が広がり採用難度に大きな差がある
• 採用担当者は待遇改善と採用チャネルの多様化が必要

⇒ 詳しくは愛知労働局のWEBサイトへ