2025年11月16日
労務・人事ニュース
経産省と環境省、2025年10月23日発表にAZEC炭素市場構築レポートを公表
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最終更新: 2025年11月16日 09:38
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最終更新: 2025年11月16日 06:34
「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)での炭素市場構築に関する国際会合」に係る成果レポートが公表されました(経産省)
この記事の概要
経済産業省と環境省は2025年10月23日、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が公表した「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)での炭素市場構築に関する国際会合」の成果レポートを発表しました。本レポートは、2025年5月と8月に開催された会合の議論をまとめたもので、温室効果ガス排出の可視化や質の高い炭素市場の構築、脱炭素投資の促進など、アジア地域での実効的なカーボン市場形成に向けた協力体制が整理されています。
経済産業省は2025年10月23日、環境省および東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)と共同で、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)での炭素市場構築に関する国際会合」の成果レポートを公表した。AZECは、アジア諸国と日本が協力して、地域全体の脱炭素化を進めることを目的とする枠組みであり、2024年10月の第2回AZEC首脳会合で採択された「今後10年のためのアクションプラン」に基づいて具体的な議論が進められている。今回の会合は、その中核をなす「AZEC・DCM国際会合」として位置づけられ、温室効果ガス排出の可視化や高品質な炭素市場の形成をテーマに、政策担当者間の実務的な対話が行われた。
会合は2025年5月にオンラインで第1回が開催され、8月には兵庫県神戸市で第2回会合が開かれた。これまでに実施されていた「AZECでのJCM利活用促進に関する国際会合(AZEC・JCM)」が本会合に統合され、議論の枠組みがより広範に拡充された形となった。今回発表されたレポートは、これらの会合で得られた成果と今後の方向性を整理したもので、アジア地域全体での脱炭素化を実現するための具体的な政策基盤の形成を目的としている。
レポートの第1の柱は「温室効果ガス排出量の可視化」である。製造業を中心に輸出型産業の比重が高いアジアにおいて、サプライチェーン全体のGHG排出量を可視化することは、国際競争力の強化に直結する重要な要素と位置づけられている。日本をはじめ各国では、PaSTI(コ・イノベーションのための透明性パートナーシップ)などの国際的枠組みを活用し、排出量算定・報告制度の整備を支援してきた。特にASEAN域内では、施設単位での排出量算定ガイドラインが作成され、企業レベルでのデータ可視化が進みつつある。これにより、民間企業が提供する排出量算定サービスの利用が拡大し、国境を越えたサプライチェーン全体の排出量を把握する取り組みが加速している。
また、アジア諸国ではカーボンプライシング導入の検討が進展しており、既に制度化を進めている国もある。日本においては「GX-ETS(グリーントランスフォーメーション排出量取引制度)」が進められており、脱炭素投資と一体化した仕組みとして注目されている。会合では、カーボンプライシングを単なる排出削減手段ではなく、投資促進のための市場機能として捉えるべきだという共通認識が確認された。
第2の柱は「質の高い炭素市場の構築」である。アジア地域では、パリ協定第6条に基づく国際的なカーボン・クレジット取引が広がりつつあり、その信頼性を担保するための制度整備が急務となっている。会合では、二国間クレジット制度(JCM)を通じた協力の拡大が重要であるとされ、JCMパートナー国の拡大に向けて日本とマレーシアの間で署名交渉が進展していることが報告された。
議論では、炭素クレジットの品質と透明性を確保するため、国際基準に沿った登録簿の整備や、カーボン・クレジット創出における新たな方法論の検討が行われた。特に、CCS(二酸化炭素回収・貯留)や農業・泥炭地管理といった新分野が今後の削減ポテンシャルを持つ分野として注目されている。また、各国が独自の炭素市場制度を持つ中で、それらを調和させるための国際的ガバナンスの在り方についても議論が交わされた。
AZECパートナー国間の協力は、地域全体の排出削減を加速させるうえで極めて大きな影響力を持つ。会合では、制度の整合性や実効性を高めるために「現実的で実務的、かつ実行可能な」形での協力を継続することの重要性が強調された。さらに、従来の省エネや再生可能エネルギー分野だけでなく、CCS、農業、森林管理、廃棄物対策といった多様な分野にも焦点を広げ、包括的な地域協力を進める方針が確認された。
このレポートは、アジアの脱炭素化を牽引するための新たな政策的指針として注目されており、今後の国際交渉や民間連携にも影響を与える見通しである。特に企業にとっては、サプライチェーン全体の排出量管理やクレジット取引への参加が国際ビジネス競争の鍵を握る時代が到来している。人材採用の観点からも、カーボンマネジメントやESG関連知識を持つ専門人材への需要が高まることが予想される。
この記事の要点
- 経済産業省と環境省がAZEC炭素市場構築会合の成果レポートを公表
- 2025年5月にオンライン、8月に神戸で会合を開催
- 温室効果ガス排出の可視化と高品質な炭素市場の構築が議論の中心
- PaSTIを活用したASEAN地域での算定・報告制度整備が進展
- GX-ETSなど脱炭素投資と連動したカーボンプライシングの重要性を確認
- JCM拡大に向け日本とマレーシアが協議を進行中
- CCSや農業分野を含む新たな削減分野の協力拡大を提唱
- アジア全体の実効的な脱炭素化に向けた協力体制を再構築
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ


