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2025年11月14日

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人工妊娠中絶12万7,992件で1.0%増、若年層中心に増加傾向―令和6年度母体保護統計

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令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況 母体保護関係(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が発表した「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況(母体保護関係)」によると、令和6年度の人工妊娠中絶件数は127,992件で、前年度より1,258件(1.0%)増加した。女子人口千人あたりの実施率は5.5で、5年ぶりに上昇に転じた。年齢別では「20~24歳」が最も高く11.1、「25~29歳」が9.1、「19歳」が9.1となり、若年層での増加が顕著だった。


令和6年度の「衛生行政報告例」によると、日本国内の人工妊娠中絶件数は127,992件で、前年(126,734件)に比べ1,258件の増加となった。増加率は1.0%で、令和2年度以来4年ぶりに増加傾向へ転じた。長期的には減少傾向が続いているが、近年は若年層の増加と社会的環境の変化が影響しているとみられる。

全体の女子人口(15~49歳)に対する実施率は5.5(千人あたり)で、前年の5.3から上昇した。年齢階級別に見ると、「20~24歳」が最も高く11.1、「25~29歳」が9.1で続き、20代前半が依然として高い水準にあることがわかる。「30~34歳」は7.2、「35~39歳」は6.1と前年よりわずかに減少し、30代以降では減少傾向が続いている。

「20歳未満」における人工妊娠中絶件数は10,844件で、前年より791件(7.9%)増加した。これは全体の約8.5%を占め、5年ぶりの上昇である。特に「19歳」が4,976件で最も多く、「18歳」が2,899件、「17歳」が1,519件と続いた。これらの年齢層では、実施率も上昇しており、19歳で9.1、18歳で5.5と前年より増加している。10代後半での中絶件数の増加は、性教育の地域格差や避妊に関する知識不足、望まない妊娠の相談体制の不十分さなどが背景にあると指摘されている。

一方、35歳以上の年齢層では減少傾向が続いている。35~39歳では20,386件(-993件、-4.6%)、40~44歳では10,878件(-292件、-2.6%)と、いずれも前年を下回った。晩婚化が進む中でも、高齢出産に対する医療支援や妊娠管理の充実により、リスクを伴う中絶の減少が進んでいると考えられる。

都道府県別の詳細データは本報告に含まれていないが、厚生労働省は全国的に若年層の妊娠に関する支援体制を強化する必要性を強調している。特に、10代後半から20代前半の女性が抱える妊娠・出産・避妊に関する課題については、学校教育や自治体による啓発活動、そして無料の相談窓口の拡充が重要とされている。

この報告では、若年層の人工妊娠中絶の背景として、経済的理由、学業や就業との両立困難、家庭や社会からの支援不足などが挙げられている。また、SNSやインターネット上の誤情報による避妊方法の誤解が、意図しない妊娠の一因となっているとみられている。これに対し、政府は「思春期保健」や「包括的性教育」の推進を掲げ、正確な知識提供と支援体制の整備を急ぐ方針を打ち出している。

また、産婦人科医療の現場では、人工妊娠中絶における安全確保と女性の心身ケアの両立が求められている。令和5年度から経口中絶薬が国内承認されたことにより、初期中絶における身体的負担が軽減される一方、医療機関での管理体制の整備が課題となっている。こうした医療の変化が、今後の統計にも影響を与える可能性がある。

少子化が深刻化する中で、望まない妊娠の防止とともに、妊娠・出産に関する支援の両立が社会全体の課題となっている。母体保護法のもとで行われる人工妊娠中絶の統計は、女性の健康と社会的支援のあり方を映し出す重要な指標であり、今後も国・自治体・教育機関・企業が一体となって支援体制の整備を進める必要がある。

この記事の要点

  • 令和6年度の人工妊娠中絶件数は127,992件で前年より1,258件(1.0%)増加
  • 女子人口千人あたりの実施率は5.5で前年より上昇
  • 20~24歳が11.1で最も高く、若年層での増加が顕著
  • 20歳未満は10,844件で7.9%増、19歳が最多の4,976件
  • 35歳以上では減少傾向が続く
  • 経口中絶薬の導入で医療現場の対応が変化
  • 性教育と妊娠支援体制の充実が今後の課題

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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