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2025年11月14日

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全国の薬局数63,203施設に増加、地域医療を支える拠点が拡充―令和6年度衛生行政報告例

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令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況 薬事関係(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が公表した「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況(薬事関係)」によると、全国の薬局数は63,203施設で、前年から375施設(0.6%)増加した。人口10万人あたりの薬局数は51.1で、最も多いのは佐賀県の65.1、最も少ないのは沖縄県の39.4であった。薬局数は増加傾向を維持しており、地域による医薬分業や薬剤師配置のばらつきが浮き彫りとなっている。


厚生労働省の令和6年度衛生行政報告例によると、全国における薬局の数は前年の62,828施設から63,203施設へと増加し、375施設(0.6%)の増加率を示した。薬局数は2010年代後半以降、ほぼ横ばいで推移していたが、ここ数年は再び緩やかな増加基調にある。背景には、超高齢社会の進行による医薬品需要の増加、地域包括ケアシステムの整備、そしてかかりつけ薬剤師・薬局制度の普及があると考えられる。

人口10万人あたりの薬局数を見ると、全国平均は51.1で、地域によって大きな差がみられた。最も薬局密度が高いのは佐賀県で65.1、続いて高知県の61.0、山口県の60.8となっており、中国・四国地方を中心に薬局が比較的多い傾向が見られる。一方で、最も少ないのは沖縄県で39.4、次いで千葉県が42.9、埼玉県が44.2と、首都圏や南西諸島で低い水準にある。これは、都市部では大規模薬局やドラッグストア併設型店舗が増えている一方で、人口密度に対して施設の分散が進みにくいことが影響しているとみられる。

都道府県別にみると、東京都が7,215施設で全国最多、次いで神奈川県が4,267施設、大阪府が4,664施設、愛知県が3,703施設、埼玉県が3,238施設と続いている。人口の多い大都市圏で薬局数が多いのは当然だが、増加率で見ると滋賀県(2.2%増)、神奈川県(1.6%増)、東京都(1.4%増)などが上位に入っており、都市部でも地域密着型の小規模薬局の新設が進んでいる。

一方で、北海道(-0.3%)、秋田県(-1.3%)、鹿児島県(-2.6%)などでは減少がみられた。特に地方では薬剤師の確保が難しく、店舗継続が困難なケースが増えている。厚生労働省は地方薬局の継続支援策として、オンライン服薬指導や遠隔医療との連携強化を進めており、医療過疎地域での薬局機能維持を重要課題と位置づけている。

全国の薬局数が増加する中で、医薬分業率(処方箋を薬局で受け取る割合)も高水準を維持している。かかりつけ薬剤師制度の普及により、薬局は単なる調剤拠点から地域医療の一翼を担う存在へと進化しており、患者の服薬指導や副作用防止、生活習慣改善などの支援機能が強化されつつある。特に高齢者の多い地域では、服薬情報の一元管理や在宅訪問サービスが拡充しており、薬局の役割が医療・介護の橋渡しとして重要性を増している。

企業の観点から見ると、薬局業界の人材需要は引き続き高い。全国的に薬剤師不足が続く中で、地方勤務の薬剤師確保は特に課題となっている。また、ドラッグストア業態の拡大により、調剤併設型店舗の増加が顕著であり、薬剤師が求められる業務範囲も広がっている。今後はAIやデジタル調剤支援システムの導入が進むとみられ、薬局業務の効率化と地域医療連携の両立が焦点となる。

薬局数の地域格差は依然として大きいものの、全国的には薬局が増加し続けており、医療提供体制の多様化に対応した構造変化が進んでいる。高齢化が進行する中、薬局は単に薬を渡す場から、地域住民の健康を支える「医療アクセスの拠点」へと変化しつつある。厚生労働省は今後も薬局の質的向上と公平な配置を目指し、地域医療計画の中での薬局機能の明確化を進めていく方針を示している。

この記事の要点

  • 全国の薬局数は63,203施設で前年より375施設(0.6%)増加
  • 人口10万人あたり薬局数は全国平均51.1で、佐賀県が最多の65.1
  • 最少は沖縄県で39.4、次いで千葉県42.9、埼玉県44.2
  • 東京都は7,215施設で全国最多、神奈川県は4,267施設
  • 増加率が最も高いのは滋賀県で2.2%増
  • 地方では薬剤師不足による減少傾向が続く
  • 薬局が地域医療・介護連携の中心的役割を担う動きが強化
  • オンライン服薬指導や遠隔支援の活用が拡大

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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