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2025年11月13日

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建設業の給与41万2,925円、特別給与減少で上昇鈍化(毎月勤労統計調査 令和7年8月分結果確報)

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毎月勤労統計調査 令和7年8月分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が公表した「毎月勤労統計調査 令和7年8月分結果確報」によると、全産業の月間現金給与総額(事業所規模5人以上)は平均29万9,955円で、前年同月比1.3%増加した。きまって支給する給与は28万6,943円で1.8%増、所定内給与は26万7,451円で1.9%の上昇となった。物価上昇が続く中でも名目賃金の増加が見られたが、実質賃金は依然として減少傾向にある。


令和7年8月分の毎月勤労統計調査(確報)によると、全産業における就業形態計の現金給与総額は29万9,955円で、前年に比べて1.3%の上昇を示した。このうち、定期的に支払われる「きまって支給する給与」は28万6,943円で1.8%増加し、所定内給与は26万7,451円と前年より1.9%上昇している。企業による定期昇給や人手不足による給与引き上げが背景にあるとみられる。一方で、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスや臨時手当は1万3,012円で、前年より7.8%減少しており、企業の一時金支給には慎重な姿勢がうかがえる。

産業別に見ると、賃金の上昇傾向にはばらつきがある。鉱業・採石業などでは平均給与が39万64円で2.3%増となり、製造業は35万1,354円で3.3%増と比較的高い伸びを示した。特に製造業では所定内給与が30万4,761円(3.6%増)と上昇し、残業などの所定外給与も3万752円(3.6%増)と堅調な動きを見せている。製造業全体の賃上げが進んだことは、春闘による成果や輸出産業の回復が寄与している可能性がある。

建設業では月間現金給与総額が41万2,925円で前年より0.3%の微増にとどまったものの、所定外給与(残業代など)は2万5,583円で0.3%増、特別給与は4万8,934円で6.1%減少した。物価高や資材費上昇の影響で、企業がコストを抑える中で賞与が削減された構図が見える。

鉱業・採石業などでは特別給与が4万2,027円と前年より25.8%減少しており、ボーナス支給が大幅に抑えられた。一方、所定内給与は32万2,506円で7.4%増と大きく伸びており、恒常的な賃上げが進んでいることがうかがえる。これは、人材確保が困難な業種において基本給の引き上げを通じて定着を促す動きが進んでいるためと考えられる。

今回の結果から見えるのは、企業全体としては賃上げが進んでいる一方で、業種によってその影響に差があることだ。特に製造業や鉱業では賃上げが顕著であるのに対し、建設業では賃金上昇が鈍化している。また、特別給与の減少傾向が複数の産業で見られることから、賞与や一時金に頼らない形での給与体系の見直しが進んでいる可能性がある。

企業の採用担当者にとって、このデータは労働市場の動向を読み解くうえで重要な指標である。特に、製造業や鉱業などで所定内給与が大きく上昇していることは、求人競争の激化を示しており、人材確保のための賃金見直しが必要な局面にあることを意味している。逆に、特別給与の減少は固定給中心の安定した賃金構造へのシフトを表しており、採用後の人材定着策を考えるうえで参考となる。

さらに、全体の賃金水準が上昇しているにもかかわらず、実質賃金が依然としてマイナスである点は、企業経営にとっても課題である。物価上昇による実質的な生活コストの増加は、労働者の購買意欲や消費行動に影響を与えるため、企業は賃上げと同時に生活支援や福利厚生の充実など総合的な施策を検討する必要がある。

この記事の要点

  • 全産業の月間現金給与総額は29万9,955円で前年同月比1.3%増
  • きまって支給する給与は28万6,943円で1.8%増
  • 製造業の給与は35万1,354円で3.3%増と堅調
  • 鉱業・採石業は39万64円で2.3%増、特別給与は25.8%減
  • 建設業は41万2,925円で0.3%増にとどまる
  • 特別給与全体は1万3,012円で7.8%減
  • 全体的に賃上げ傾向だが物価上昇に追いつかず

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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