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2025年11月11日

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改正育児・介護休業法が2025年4月・10月に施行、企業300人超に新たな公表義務

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改正育児・介護休業法の取り組み(連合)


この記事の概要

日本労働組合総連合会(連合)は、2025年4月1日および10月1日から順次施行される「改正育児・介護休業法」と「改正次世代育成支援対策推進法」に対応するため、労働組合として取り組むべきポイントをまとめた。改正法では、育児や介護を行う労働者の柔軟な働き方を実現し、誰もが安心して仕事と家庭を両立できる社会の実現を目指す。テレワーク制度の導入や残業免除の拡大、育児休業取得状況の公表義務化など、多角的な支援が義務化される。


今回の「改正育児・介護休業法」は、労働者が育児や介護を理由にキャリアを断念せず、持続的に働ける環境を整備することを目的としている。改正内容は多岐にわたり、2025年4月と10月の二段階で施行される。特に育児に関しては、子が3歳になるまでのテレワーク導入が事業主の努力義務として定められ、子が小学校に就学するまでの柔軟な働き方の実現が義務化された。具体的には、始業時刻の変更、テレワーク(月10日以上)、保育施設の設置運営、養育両立支援休暇(年10日以上)、短時間勤務制度のうち、企業は少なくとも2つ以上の制度を導入する必要があり、労働者はその中から1つを選択できるようになる。

また、残業免除の対象もこれまでの「子が3歳未満」から「小学校就学前」にまで拡大された。さらに、子の看護休暇も対象年齢が小学校3年生まで引き上げられ、感染症による学級閉鎖や入学式・卒園式への出席も取得事由として追加された。これにより、育児を取り巻く多様な状況に対応しやすくなっている。妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前には、企業に対して労働者との個別面談の実施が義務づけられ、希望する勤務時間や勤務地、両立支援制度の利用意向などを丁寧に確認する必要がある。

介護分野では、介護の制度に関する個別周知・意向確認が義務化される。介護に直面した従業員に対しては、社内制度の説明と意向確認を面談や書面などで実施することが求められ、さらに40歳を迎える従業員にも事前の情報提供が望ましいとされている。これにより、介護と仕事の両立に備える意識を早期に醸成し、突然の介護離職を防ぐ狙いがある。

今回の改正は、企業規模によっても新たな義務が課せられる。特に従業員300人を超える企業には、男性の育児休業取得状況などの公表義務が新たに追加された。これまでは1,000人超の企業のみが対象であったが、今回の改正により公表対象が大幅に拡大する。また、従業員100人超の企業は、育児休業取得率や時間外労働時間などに関する数値目標の設定が義務づけられた。男性育児休業の取得率を高めるため、企業行動計画のPDCAサイクルを確立し、定期的に改善を図ることも求められている。

さらに、政府が推進する「くるみん認定」制度の基準も強化される。男性育児休業等の取得率については、「くるみん」が30%以上、「プラチナくるみん」が50%以上、「トライくるみん」が10%以上と基準が引き上げられた。これにより、企業は法令遵守だけでなく、積極的な男女共同参画の実現に向けた取り組みが求められる。

連合は、これらの改正を踏まえ、労働組合が中心となって「法を上回る制度の導入」を目指すよう呼びかけている。具体的には、短時間勤務制度に加えてテレワークを選択可能とする制度設計、残業免除を中学校入学前まで延長する交渉、有給での看護休暇の実現、さらにはひとり親家庭や障がい児を育てる労働者への柔軟な配慮などが推奨されている。また、恒常的な長時間労働の是正、代替要員の確保、職場全体での助け合いを促進する文化づくりなども、組合が果たすべき重要な課題として挙げられている。

こうした制度改正は、単なる労働法制の整備にとどまらず、働き方そのものを変革するものである。企業の採用や人材戦略においても、仕事と家庭の両立支援が「企業価値」を左右する要素となりつつあり、労使双方の理解と協力が不可欠である。特に、柔軟な働き方を支援する仕組みを整備することは、若手人材の定着や女性管理職比率の向上にも寄与する。連合は、改正法を契機に、すべての働く人がライフステージに応じて安心して働ける社会の実現を目指す方針を明確にしている。

この記事の要点

  • 改正育児・介護休業法が2025年4月と10月に二段階施行
  • 子が3歳までのテレワーク導入が努力義務化
  • 子が小学校就学前までの柔軟な働き方の導入が義務化
  • 残業免除の対象が小学校就学前までに拡大
  • 子の看護休暇の対象年齢が小学校3年生までに延長
  • 企業300人超に育児休業取得状況の公表義務を新設
  • 男性育児休業取得率「くるみん」基準を30%以上に引上げ
  • 労働組合は法を上回る制度の導入を推進

⇒ 詳しくは日本労働組合総連合会のWEBサイトへ

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