2025年11月10日
労務・人事ニュース
フリーランス1,000人調査で判明した「報酬が上がらない現実」89.8%が昨年から変化なし
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フリーランスとして働く人の意識・実態調査2025[2025年10月1日掲載](連合)
この記事の概要
日本労働組合総連合会(連合)は、2025年6月27日から7月1日にかけて全国のフリーランス1,000名を対象に「フリーランスとして働く人の意識・実態調査2025」を実施した。調査では、物価上昇にもかかわらず報酬が上がらない現状や、発注者による一方的な取引条件の実態、フリーランス法の理解度が39.0%にとどまることなどが明らかになった。45.7%が「生活が苦しくなった」と回答し、89.8%が報酬が「変わらない」または「引き下げられた」と答えており、法施行後も改善が進んでいない現状が浮き彫りとなった。
日本労働組合総連合会(連合)は、フリーランスとして働く人々の実態を明らかにするため、2025年6月27日から7月1日にかけて全国の20歳以上の男女1,000人を対象に「フリーランスとして働く人の意識・実態調査2025」をインターネットで実施した。この調査は、フリーランスとして働く人々の生活状況や働き方、法制度への理解、労働環境の課題などを多角的に捉えることを目的としている。調査対象者の多くは「文化・芸能・芸術関連」および「その他の職種」に属しており、全体の6割以上を占めた。
調査結果によると、近年の物価上昇によって「生活が苦しくなった」と回答した人は45.7%にのぼり、特に40代では52.7%と半数を超えた。また、「業務に必要なコストが上昇した」と答えた人は27.8%に達し、60代以上では31.5%に上る。一方で、報酬が上がったと回答したのはわずか10.2%にとどまり、89.8%が「変わらない」または「引き下げられた」と答えた。IT関連の職種では報酬が上がった人の割合が16.2%と他業種よりもやや高かったが、全体的に価格転嫁が進んでいない実態が確認された。
2024年11月に施行された「フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」の理解率は39.0%であり、まだ十分に浸透していないことが明らかとなった。特に「法律の内容をよく理解している」と答えた人はわずか9.6%で、「名前は聞いたことがあるが内容は理解していない」が33.8%、「知らない」が27.2%と、法制度の周知不足が課題である。情報源としては「テレビ・ラジオ・新聞報道」が最も多く、全体の39.7%、特に60代以上では54.2%がこの回答を選んだ。
また、発注者との取引に関しては依然として不透明な実態が多く、「取引条件が口約束のみで明示されない」と回答した人が45.5%に上り、そのうち63.3%が「問題が改善されていない」と回答した。「期日までに報酬が支払われない」問題についても35.9%が経験し、そのうち55.2%が改善を感じていない。さらに、「発注者が一方的に報酬額を決定して交渉に応じない」と回答した人は55.8%であり、そのうち62.5%が改善が見られないと答えている。
労災保険の特別加入制度に関しては認知率が27.8%と依然として低く、「利用したいと思う」「すでに加入している」と答えたのは20.3%にとどまった。利用をためらう理由としては「金銭的な余裕がない」「制度がよく分からない」「健康保険証があるから」が多く挙げられており、制度理解と経済的負担の両面で課題が残る。
フリーランスとしての働き方に対する満足度では、「仕事全体」に満足している人が53.4%であったが、「収入」に満足している人は26.0%にとどまった。一方、「プライベートとの両立」には66.8%が満足していると回答しており、自由度の高さに魅力を感じる傾向も見られた。働き始めた理由としては「好きなことを仕事にしたいから」(34.5%)が最多で、「自由に働きたいから」(29.7%)、「自分の専門性を活かすため」(29.7%)が続く。60代以上では専門性の発揮を重視する傾向が強く、若年層では「新しいことに挑戦したい」(20代で21.4%)という意欲が特徴的である。
日本労働組合総連合会は、今回の調査結果を踏まえ、フリーランスが直面する経済的困難や取引の不平等性を是正し、より公正で持続可能な働き方を実現するための政策提言を行っていく意向を示した。特に、フリーランス法の実効性向上と労災保険特別加入制度の周知・促進を重点課題として位置づけ、今後も継続的に働く人々のセーフティネットを強化していくとしている。
この記事の要点
- フリーランス1,000人を対象にした調査で、45.7%が物価高で生活が苦しくなったと回答
- 報酬が「変わらない」「引き下げられた」と回答した人が89.8%
- フリーランス法の理解率は39.0%、依然として浸透不足
- 取引条件が口約束のみのケースが45.5%、その63.3%で改善なし
- 労災保険特別加入制度の認知率は27.8%、利用意向は20.3%
- 仕事に満足している人は53.4%だが、収入に満足する人は26.0%
- 自由な働き方を求める若者と専門性を重視する高齢層に意識の違い
⇒ 詳しくは日本労働組合総連合会のWEBサイトへ


