2025年11月7日
労務・人事ニュース
建設紛争7件に増加、下請代金トラブル3件が最多―令和7年度第2四半期報告
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中央建設工事紛争審査会紛争処理状況(令和7年(2025年)度第2四半期)(国交省)
この記事の概要
国土交通省の中央建設工事紛争審査会は、令和7年度第2四半期(2025年7〜9月期)の紛争処理状況を公表しました。新規申請件数は7件で、前年同期比2件増となりました。前期からの繰越件数は28件、今期の終了件数は8件で、次期への繰越件数は27件となりました。申請のうち最も多かった紛争は下請代金に関する争いで、全体の3件を占めました。
令和7年10月15日、国土交通省は中央建設工事紛争審査会による令和7年度第2四半期(2025年7月から9月)の紛争処理状況を公表しました。この報告は建設業法第25条の25および施行規則第15条に基づき、四半期ごとに国土交通大臣へ提出されるもので、同時に一般にも広く公開されています。建設工事紛争審査会は、建設工事に関する請負契約のトラブルを、裁判によらず簡易かつ迅速に解決するために設置された機関であり、国土交通省の下に中央審査会が、また全国の各都道府県には地方審査会がそれぞれ設けられています。
今回の報告によると、令和7年度第2四半期における新規の紛争申請件数は7件で、前年同期(5件)から2件増加しました。前期からの繰越件数は28件であり、今期に終了した件数は8件でした。その結果、次期に繰り越される件数は27件となり、全体としては前期よりもわずかに処理が進んだ形となりました。
申請の内訳をみると、当事者の関係別では個人発注者から請負人に対する紛争が2件、下請負人から元請負人への申請が2件、元請負人から下請負人への申請が2件、そして法人発注者から請負人への申請が1件となっています。紛争の発生件数が最も多かったのは、下請代金に関する争いで3件でした。これに続いて、工事瑕疵に関するものが1件、工事代金や契約解除に関するものがそれぞれ1件ずつ発生しています。この傾向は、下請関係の取引における支払いトラブルが依然として根強い課題であることを示しています。
また、手続別の状況を見ると、今期のあっせん申請は2件、調停が5件、仲裁が0件でした。終了した件数では、あっせんが成立しなかった一方で、調停においては7件中5件が合意に至り、2件が打ち切りやその他の形で終結しています。仲裁に関しては1件の判断が行われましたが、そのうち和解的仲裁判断はありませんでした。こうした結果、今期の終了件数は合計8件に達しました。
一方で、次期への繰越件数は27件となり、内訳はあっせん4件、調停15件、仲裁8件です。これにより、調停による解決が依然として紛争処理の中心的手段であることがうかがえます。なお、中央審査会では、可能な限り当事者間の自主的な和解を促進する姿勢を基本としており、裁判に比べて時間や費用の負担を軽減できる点が評価されています。
国土交通省では、建設業界の公正な取引環境を確保し、トラブルの未然防止や早期解決を図るため、こうした紛争処理状況の公表を継続的に行っています。特に中小の建設事業者にとって、紛争審査会の利用は法的手続きよりも簡便であり、近年ではオンラインによる相談や手続き支援の拡充も進められています。
令和7年度第2四半期の報告では、申請件数が前年より増加していることから、建設業界における契約・支払いを巡る課題が引き続き存在していることが浮き彫りとなりました。特に下請関係の紛争が全体の約4割を占めており、建設業界における多重下請構造や支払い条件の透明性向上が求められています。国土交通省は、こうした紛争発生の抑制に向けて、元請・下請間の契約ルール遵守を徹底するとともに、紛争審査制度の利便性を高める方針を示しています。
建設業界は労働力不足や資材価格の高騰など構造的な課題を抱える中で、請負契約の適正化と円滑な紛争解決の仕組みがますます重要になっています。今回の報告は、現場の声を反映した制度運用の透明化に寄与するものであり、今後の業界健全化に向けた基礎資料としても注目されています。
この記事の要点
- 令和7年度第2四半期の新規申請件数は7件で前年同期比2件増
- 終了件数は8件、次期繰越件数は27件
- 下請代金を巡る紛争が3件で最も多い
- 当事者類型では個人発注者対請負人が2件、下請関連が計4件
- 調停による解決が中心で7件中5件が合意成立
- 仲裁判断は1件で和解的仲裁はなし
- 国土交通省は紛争処理の迅速化と透明化を重視
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ


