2025年11月21日
労務・人事ニュース
「創薬力向上計画」で研究開発職の求人急増?製薬各社で採用数増の可能性あり
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第3回創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループ資料(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省は「第3回創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループ」において、日本の医薬品産業の競争力を高めるための総合的な政策方針を示した。研究開発の強化、人材育成、国内製造体制の整備、薬価制度の見直しなど、多角的な観点から創薬エコシステムの再構築を目指す内容である。官民が連携し、イノベーション促進や投資循環の維持、持続可能な医療保険制度の確立に向けた議論が進められた。
日本の創薬力を強化するための取り組みが、厚生労働省主導のもとで加速している。第3回「創薬力向上のための官民協議会ワーキンググループ」では、医薬品産業を国の成長基盤とするための政策方針と、官民協議会の今後の在り方について多方面からの意見交換が行われた。議論の中心は「研究開発投資を持続可能にする環境の構築」と「薬価制度改革を通じたイノベーション評価の確立」である。これらは日本の製薬産業が抱えるドラッグ・ラグ(承認遅延)やドラッグ・ロス(撤退)などの課題を克服し、国際競争力を取り戻すための重要な柱となっている。
ワーキンググループでは、まず医薬品産業を「成長産業・基幹産業」として明確に位置づける必要性が確認された。国民の健康を守るだけでなく、経済成長にも寄与する産業として、国家戦略の一環に組み込む方針である。そのためには、市場としての日本の魅力度を高め、海外からの投資を呼び込む仕組みづくりが求められている。官民が協力し、中長期的な工程表とKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に進捗を検証する体制を整えることが提案された。
薬価制度については、創薬エコシステムを持続的に発展させるため、革新的新薬の特許期間中は薬価を維持し、研究開発コストを確実に回収できるようにする方向が示された。これは、開発投資のリスクを軽減し、企業が次のイノベーションに再投資できるようにするための施策である。さらに、費用対効果評価制度や市場拡大再算定制度の見直しを通じて、薬価の予見可能性を高めるとともに、イノベーションの正当な評価を行う方針が議論された。特に、社会的リターンが大きい新薬については、別枠の基金などによる支援を検討する意見も出された。
一方、製薬企業が長期収載品(特許切れ医薬品)に依存するビジネスモデルから脱却することも求められた。後発医薬品(ジェネリック)やバイオシミラーが市場で適正に競争できるよう、品質評価や薬価ルールの整備を進めることが重要とされた。また、バイオシミラーは低分子医薬品と異なり製造コストが高いため、別カテゴリーでの扱いを検討する必要があるとの意見もあった。これにより、医療費の適正化と国内製造基盤の強化を両立させることを目指している。
国民皆保険制度の持続可能性についても議論は深まり、薬価制度だけに依存しない社会保障財源の確保や、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が提案された。特にリアルワールドデータの活用を通じて、革新的医薬品の医療現場への貢献度を科学的に評価し、政策決定に反映させる方向性が示されている。
今後の議論の焦点は、人材育成とスタートアップ支援、資金調達環境の改善に移ると見られる。日本の創薬スタートアップはIPO前後で資金が途切れる傾向があり、創薬プロセス後期を支える資金供給体制の再構築が急務とされている。官と民、そしてアカデミアが一体となり、研究人材の育成と産学連携を強化することが求められる。さらに、アジア諸国との医薬品市場統合を進め、日本が地域のリーダーシップを発揮する構想も提示された。
この一連の政策動向からは、製薬業界全体で新たな人材需要が生まれることが予想される。特に、薬価制度改革や費用対効果評価の実施に対応できる経済・政策系人材、データ解析やAI創薬分野の技術者、そしてアカデミアやベンチャーと連携できる産業科学者の採用が増加する可能性が高い。厚生労働省の議論の流れから見ても、官民協働型の創薬プロジェクトが本格化する中で、企業の採用活動が研究開発型・デジタル技術型へとシフトする時期に差し掛かっているといえる。
この記事の要点
- 日本の医薬品産業を成長基幹産業として位置づける政策方針が示された
- 薬価制度改革によりイノベーションを適切に評価する仕組みを構築
- 革新的新薬の特許期間中は薬価を維持し再投資を促進
- 長期収載品依存からの脱却と後発医薬品産業の構造改革を推進
- バイオシミラー普及と国内製造体制の強化を重視
- 国民皆保険制度の持続可能性確保に向け社会保障財源の多角化を検討
- 創薬支援人材の育成とスタートアップ支援の拡充を目指す
- 医療DXとリアルワールドデータの活用で政策決定を科学的に支援
- 企業の採用動向はデータ解析・AI創薬・政策対応人材の需要が拡大すると予想
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


