2025年11月21日
労務・人事ニュース
全国で10万人超が熱中症搬送、過去最多を更新【令和7年消防庁発表】
- 薬剤師調剤薬局での勤務/福岡市東区でのお仕事/資格取得支援あり,交通費支給,社会保険完備
最終更新: 2025年11月20日 03:03
- 薬剤師調剤薬局での勤務/福岡市東区でのお仕事/駅チカ,車通勤OK,寮・社宅あり,資格取得支援あり,交通費支給,社会保険完備
最終更新: 2025年11月20日 03:03
- 薬剤師病院での勤務/北九州市門司区でのお仕事/車通勤OK,寮・社宅あり,交通費支給,社会保険完備
最終更新: 2025年11月20日 03:03
- 薬剤師調剤薬局での勤務/福岡市城南区でのお仕事/車通勤OK,寮・社宅あり,研修あり,交通費支給,社会保険完備
最終更新: 2025年11月20日 03:03
令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況(総務省)
この記事の概要
総務省消防庁が発表した令和7年(2025年)5月から9月までの「熱中症による救急搬送状況」によると、全国で搬送された人員は100,510人に達し、統計開始(平成20年)以来、最多を更新した。特に6月が過去最多、9月が過去2番目の搬送数となり、記録的な高温が長期化したことが要因とされる。高齢者が全体の57%を占め、住居内での発生が最も多く約38%を占めた。
消防庁の報告によると、令和7年(2025年)の夏季(5月~9月)は、日本列島全体で例年を大きく上回る厳しい暑さに見舞われた。気象庁の統計でも、全国的に梅雨明けが観測史上最も早く、夏の平均気温は過去最高を記録。熱中症警戒アラートの発表回数も過去最多となった。この極端な気象状況の影響を受け、全国の熱中症による救急搬送者数は100,510人に達し、これまで最多だった令和6年(97,578人)を上回る結果となった。
5月から9月の5か月間を通じた搬送者の内訳をみると、5月が2,614人、6月が17,229人、7月が39,375人、8月が31,526人、9月が9,766人で、特に7月のピーク時には1日あたり平均1,200人以上が搬送された。全国的に「危険な暑さ」が続いた7月には、熱中症警戒アラートの連日発表や、夜間でも気温が下がらない熱帯夜の影響が強く出たとみられる。
年齢層別では、65歳以上の高齢者が最も多く57,433人(57.1%)で、次いで成人(18~64歳)が34,096人(33.9%)、少年(7~17歳)が8,447人(8.4%)、乳幼児(7歳未満)が531人(0.5%)と続いた。高齢者の占める割合は過去5年間で最も高く、熱中症による救急搬送の主因が高齢者層に集中していることが明らかになった。特に在宅中の発症が多く、屋内環境の温度管理やエアコン使用の習慣が十分でないことが重症化の一因とされている。
傷病程度別では、外来診療で済んだ軽症が63,447人(63.1%)、入院が必要な中等症が34,399人(34.2%)、重症が2,217人(2.2%)で、死亡者は117人(0.1%)だった。前年より死亡者数は減少したが、入院が必要な患者の割合は増加傾向にあり、症状の重篤化が社会的課題となっている。消防庁は「特に高齢者や屋外労働者に対し、体調管理と水分・塩分補給の徹底を呼びかける」としている。
発生場所別では、住居が最も多く38,292人(38.1%)で全体の約4割を占めた。次いで道路が19,773人(19.7%)、公衆の屋外空間(駅ホーム、公園、イベント会場など)が12,175人(12.1%)、仕事場(工場や建設現場など)が10,559人(10.5%)と続いた。住居内での発症が多い背景には、日中在宅する高齢者の増加や、エアコン未使用による体温上昇があるとみられる。また、「仕事場」での発生が前年より増えており、労働災害としての熱中症リスクが再び高まっていることが分かった。
地域別の状況を見ると、東京都が最多の9,315人、次いで大阪府が7,202人、愛知県が6,653人、埼玉県が6,141人、千葉県が4,292人となった。これら上位5都府県で全体の3分の1以上を占めており、都市部の高温環境と人口密度の高さが影響している。特に東京都は、駅構内やアスファルト舗装の多い地域での発生が顕著で、夜間でも気温が下がらない「ヒートアイランド現象」による影響が指摘されている。
また、職場での熱中症発生も深刻化している。仕事中に発症した搬送者は全国で1万559人に達し、全体の約11%を占めた。特に製造業、建設業、運輸業では作業環境の温度上昇や防護具の着用による体温上昇が問題視されている。厚生労働省のデータでも、2024年の熱中症による労働災害死傷者数は1,200人を超えており、企業の安全衛生対策が急務となっている。企業によっては、冷房設備の導入や「クールタイム制度」、熱中症センサー付きのウェアラブルデバイス導入など、労働環境の改善に動き始めている。
さらに、教育機関での発生は3,553人(3.5%)で、前年より微減した。学校では部活動中や体育の授業中の発症が多く、消防庁は「児童・生徒の体調変化に敏感に対応し、WBGT(暑さ指数)の高い時間帯の活動を避けることが必要」と呼びかけている。
死亡者117人の内訳を見ると、高齢者が約8割を占めており、住居内での発症が多い傾向がある。特に単身高齢者のケースが目立ち、消防庁は「地域や家族による見守りの重要性が高まっている」としている。
今回の調査は、気候変動が国内の健康リスクに直結していることを改めて示した。全国で過去最多の搬送者を記録したことからも、熱中症は「真夏の一時的な現象」ではなく、「長期的な社会的課題」として位置づける必要がある。特に企業や自治体では、労働者や高齢者を中心に、暑熱環境への適応対策を通年で講じることが求められる。消防庁は今後、熱中症データをAI分析に活用し、地域別リスクマップの作成を進める方針を示している。
この記事の要点
- 全国の熱中症搬送者は100,510人で統計開始以来最多
- 高齢者が57.1%、成人が33.9%、少年が8.4%
- 入院を要する中等症・重症が36.4%、死亡者は117人
- 発生場所は住居が最多(38.1%)、次いで道路(19.7%)
- 仕事場での発症は10,559人で全体の約11%
- 東京都が9,315人で最多、大阪・愛知・埼玉が続く
- 夏の平均気温が観測史上最高、9月も過去2番目の搬送数
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ


