2025年11月17日
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令和7年10月24日認定、くま川鉄道湯前線が10年計画で再生へ―熊本県と10市町村が連携
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最終更新: 2025年11月16日 11:01
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くま川鉄道湯前線の鉄道事業再構築実施計画の認定について(国交省)
この記事の概要
熊本県南部を走るくま川鉄道湯前線について、国土交通大臣は令和7年10月24日付で「鉄道事業再構築実施計画」を正式に認定した。令和2年7月の豪雨で大きな被害を受けた同線は、令和8年上半期の全線運行再開を目指しており、地元自治体や企業と連携した再生プロジェクトが本格始動する。上下分離方式を導入し、沿線10市町村と熊本県が費用を分担することで、地域交通の持続可能性とまちづくりの両立を図る計画である。
令和7年10月24日、国土交通省は熊本県の第三セクター鉄道である「くま川鉄道湯前線」について、鉄道事業再構築実施計画を正式に認定した。この認定は、令和5年に改正された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づくもので、全国で20件目の事例となる。今回の認定は、令和2年7月の豪雨災害で大きな被害を受けた同路線の完全復旧と地域活性化を同時に進める重要な一歩と位置づけられている。
今回の実施計画では、「上下分離方式」という新たな運営形態が導入される。これは、地方公共団体などが設立した一般社団法人「くま川鉄道管理機構」が線路や駅舎といった鉄道施設を保有し、鉄道会社である「くま川鉄道株式会社」が運行を担う仕組みである。この方式により、運行会社の経営負担を軽減しつつ、地域一体で路線を支える体制が整えられることになる。鉄道施設の保守や改修、災害時の修繕費用などは熊本県および沿線10市町村が分担することで、安全で安定した運行を長期的に維持することを目指している。
計画期間は令和8年4月1日から令和18年3月31日までの10年間に設定されており、まずは令和8年上半期に予定されている全線再開を起点に、地域と鉄道が共に発展するためのさまざまな取り組みが進められる。復旧後の運行再開にあたっては、単なる交通インフラの再生にとどまらず、「くま川鉄道を軸としたまちづくり」を目指すことが大きな特徴である。
具体的には、地元自治体や沿線の観光施設、商業施設との連携によるイベントの開催、季節や地域の特色を生かした企画列車の運行、地域住民や観光客向けの割引乗車券の発行など、鉄道利用促進に直結する取り組みが計画されている。また、アニメや漫画といったコンテンツ産業とのコラボレーションによる新たな商品開発も検討されており、地域の魅力を広く発信することで若年層を含めた観光誘致を狙う。こうした施策を通じて、鉄道の利用者数を増やすとともに、沿線地域全体の活性化を図ることが期待されている。
さらに、今回の計画は、地域の公共交通を災害に強く持続可能な形で再生するという観点からも大きな意義を持つ。令和2年7月の豪雨で、くま川鉄道湯前線の一部区間では線路や橋梁が流失するなど甚大な被害が発生したが、地域住民の強い要望を背景に再建が進められてきた。今回の再構築実施計画の認定により、国の支援を受けながら、本格的な復旧工事と地域連携施策が加速することになる。
鉄道再生に取り組む主体は、くま川鉄道株式会社、一般社団法人くま川鉄道管理機構、人吉市、錦町、多良木町、湯前町、水上村、相良村、五木村、山江村、球磨村、あさぎり町、そして熊本県の計13団体に及ぶ。これらの自治体や組織が一体となって鉄道を支え合うことで、今後10年間にわたって地域の交通と観光の中核を担う鉄道として再生していく。
また、この再構築は単なるインフラ復旧ではなく、人口減少や高齢化が進む地方における新たな交通モデルの先進事例とも位置づけられている。上下分離方式による地域主導の運営体制は、他地域のローカル鉄道の再生にも応用が期待されており、全国的にも注目を集めている。国土交通省は今回の認定を通じ、地域交通の持続可能な再生に向けた官民連携のあり方を具体的に示した形となった。
くま川鉄道は今後、全線運行再開に向けた安全確認や設備改修を進めるとともに、地域住民や観光客に愛される鉄道づくりを推進していく。地元自治体と企業、住民が協力し、鉄道を通じて地域経済の回復と新たな賑わいを創出することが期待されている。復旧後の湯前線が、地域の誇りとして再び多くの人々に利用される日が近づいている。
この記事の要点
- 令和7年10月24日に国土交通大臣がくま川鉄道湯前線の再構築実施計画を認定
- 上下分離方式を導入し、くま川鉄道管理機構が施設保有、くま川鉄道株式会社が運行を担当
- 熊本県と沿線10市町村が費用を分担し、安全運行と地域支援を実現
- 計画期間は令和8年4月1日から令和18年3月31日までの10年間
- 令和8年上半期に全線運行再開を予定
- イベント列車、割引乗車券、アニメとのコラボなど利用促進策を展開
- 地域交通の新たなモデルとして全国で注目されている
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ


