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2025年11月26日

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令和7年9月 埼玉県の有効求人倍率1.15倍 前月比0.01ポイント低下

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労働市場ニュース(令和7年9月)(埼玉労働局)

この記事の概要

令和7年9月、埼玉労働局が発表した雇用情勢によると、埼玉県の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍で、前月より0.01ポイント低下した。求人数が求職者を上回る状態は続いているが、減少傾向が見られ、雇用環境はやや足踏みの様相を呈している。新規求人倍率は2.05倍で、前月から0.03ポイント低下。新規求人数は前月比で8.1%減の32,887人となり、物価上昇などの影響で企業の採用意欲が慎重化していることがうかがえる。


令和7年9月の埼玉県における有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍となり、前月の1.16倍からわずかに0.01ポイント低下した。全国平均の1.20倍を下回る水準ではあるものの、求職者1人に対して1件以上の求人がある状態は維持されている。有効求人数は102,382人で前月比0.8%減、有効求職者数は89,347人で前月比0.2%増と、求人が減少し求職者が増加する動きが続いている。これは、県内企業が採用をやや控えつつあること、そして物価上昇や先行き不透明な経済環境の影響を慎重に見極めていることを示している。

新規求人倍率は2.05倍で、前月から0.03ポイント低下。新規求人数は32,887人で前月比8.1%減、新規求職者数は16,073人で同6.4%減となり、求人・求職の両面でやや減速している。前年同月比では新規求人数が3.9%減、新規求職者数が1.3%増と、企業側の採用意欲が弱まる一方、働き手の動きがやや活発化している構図が見える。

雇用の動向を産業別に見ると、主要11産業のうち4産業が増加、7産業が減少した。増加したのは情報通信業(前年同月比51.9%増)、運輸業・郵便業(同15.9%増)、宿泊業・飲食サービス業(同5.7%増)などである。特に情報通信業は、ソフトウェア開発やインターネット関連サービス業の求人が増加し、デジタル化需要の高まりが顕著である。一方、減少したのは卸売業・小売業(同13.4%減)、医療・福祉(同9.1%減)、生活関連サービス業・娯楽業(同7.5%減)などで、消費関連産業の鈍化が見て取れる。

また、フルタイム求人は前年同月比5.9%減の19,484人、パートタイム求人は同1.0%減の13,706人となり、いずれも減少傾向にある。新規求職者の希望雇用形態を見ると、フルタイムが9,788人(同1.2%増)、パートが6,147人(同1.5%増)であり、求職側の就労意欲は依然として高い。

正社員に関する状況を見ると、受理地別の正社員有効求人倍率は0.81倍、就業地別では0.92倍となり、前年同月からそれぞれ0.02ポイントおよび0.01ポイント低下している。新規求人のうち正社員求人の割合は51.8%で、前年同月より0.4ポイント低下。新規求職者のうち正社員希望者の割合は61.3%で、前年より0.1ポイント低い。就職件数のうち正社員就職の割合は35.9%で、こちらも前年より1.1ポイント低下している。これらの数値は、正社員雇用の動きが全体的に鈍化していることを示しており、安定雇用の確保が課題であることが浮き彫りとなっている。

産業別にさらに掘り下げると、製造業では3,314人の新規求人があり、前年同月比で横ばい(±0.0%)だったが、輸送用機械器具製造業や印刷関連業など一部の業種で減少がみられた。一方で、金属製品製造業(同19.3%増)、電気機械器具製造業(同11.1%増)、情報通信機械器具製造業(同58.1%増)など、先端技術に関連する業種では堅調な動きが見られる。建設業は3,314人で横ばいながら、住宅需要やインフラ整備の動向次第で変動が見込まれる。

運輸業・郵便業は1,982人で前年同月比9.2%増。物流需要の回復とドライバー不足が相まって、採用ニーズは引き続き高い。宿泊業・飲食サービス業も2,342人で同5.7%増となり、観光や外食産業の回復が影響している。情報通信業の求人は150人増と大幅増加しており、IT分野の人材確保が引き続き重要課題であることを示している。

一方、医療・福祉分野では7,839人と前年同月比16.3%減。介護職や医療事務などの求人が減少し、慢性的な人材不足に歯止めがかからない状況にある。卸売・小売業は530人減の大幅減少であり、物価上昇や消費抑制が影響している。生活関連サービス業・娯楽業も72人減と減少傾向が続き、特に理美容業や娯楽施設関連の求人が減少している。

地域別では、川越所管内の有効求人倍率が1.16倍で最も高く、秩父1.24倍、熊谷1.06倍、大宮0.98倍、浦和0.97倍、所沢0.96倍と続く。一方で、春日部や朝霞などの都市部では0.7倍前後と低く、地域間の雇用格差が顕著である。物流拠点や工業団地を抱える地域では求人が多い一方、住宅地域中心のエリアでは職種が限られている現状がある。

こうした雇用情勢の中で、中小企業の採用担当者にとって有効求人倍率は極めて重要な判断指標となる。1.15倍という数値は、一見すると求職者1人に1件以上の求人がある「売り手市場」を示しているが、実際には職種や地域による偏りが大きく、全ての業種で人手不足というわけではない。採用活動を進める際には、自社の属する業種やエリアの求人倍率を細かく分析することが重要である。

例えば、製造業や情報通信業のように求人が増えている分野では、他社との競争が激しくなるため、待遇だけでなく働き方やスキルアップ支援、キャリア形成の道筋を明確に示す必要がある。逆に、医療・福祉や小売業のように求人が減少している分野では、採用効率を上げるためにターゲット層を明確化し、地域や年齢層に合わせた採用戦略をとることが有効である。

また、埼玉県ではハローワークインターネットサービスのオンライン化が進み、求職登録や応募のデジタル化が進展している。中小企業は、こうした変化に対応するため、自社の求人票をより魅力的に見せる工夫が必要だ。写真や動画を活用し、職場の雰囲気や社員の声を伝えることで、求職者の関心を引くことができる。

さらに、雇用保険の受給者数が前年同月比16.2%増の27,534人となっている点にも注目すべきである。これは離職者の増加を示しており、労働市場全体がやや流動的になっていることを意味する。中小企業にとっては、経験者採用や再就職者の獲得の好機でもあり、即戦力人材を確保する柔軟な採用戦略が求められる。

今後の埼玉県の雇用情勢は、物価上昇や円安によるコスト増の影響を受けつつも、情報通信業を中心とする成長産業の雇用拡大に支えられると予測される。一方で、労働人口の減少が進む中、中小企業は採用活動の質を高め、応募者一人ひとりとの関係を大切にした「丁寧な採用」が求められる時代に入っている。

この記事の要点

  • 令和7年9月の埼玉県有効求人倍率は1.15倍 前月比0.01ポイント低下
  • 新規求人倍率は2.05倍 新規求人数32,887人で前月比8.1%減
  • 情報通信業が51.9%増 運輸業・郵便業が15.9%増と堅調
  • 医療・福祉が9.1%減 卸売・小売業が13.4%減で停滞
  • 正社員有効求人倍率は0.81倍でわずかに低下
  • 地域別では川越1.16倍 秩父1.24倍 春日部0.74倍と格差拡大
  • 中小企業は求人ブランディングとデジタル採用戦略が鍵

⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ

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