2025年11月26日
労務・人事ニュース
令和7年9月 茨城県の有効求人倍率1.14倍 改善鈍化の兆し
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県内の雇用情勢の概況(令和7年9月分)(茨城労働局)
この記事の概要
令和7年9月、茨城労働局が発表した県内の雇用情勢によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍で前月から0.02ポイント低下し、全国では30位となった。求人が求職を上回る状況は続いているものの、改善の動きは鈍化しており、9か月連続で新規求人数が前年を下回る結果となった。特に医療・福祉業や卸売・小売業、サービス業での求人減少が顕著で、雇用の勢いに一服感が見られる。一方、建設業や専門・技術サービス業では増加傾向が確認されている。この記事では、茨城県の最新雇用動向をもとに、中小企業が有効求人倍率からどのような採用戦略を描くべきかを丁寧に解説する。
令和7年9月の茨城県における有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍となり、前月より0.02ポイント低下した。この水準は全国平均の1.20倍を下回っており、全国順位では30位と中位に位置している。茨城労働局は、「求人が求職を上回って推移しているものの、一段と改善の動きが弱まっている」としており、令和7年4月から6か月連続で同じ基調判断が続いている。これは、県内経済が一定の雇用需要を維持しながらも、物価上昇や経済の先行き不透明感によって企業の採用意欲が抑制されていることを示唆している。
有効求人数(季節調整値)は43,028人で前月比1.5%減と2か月連続の減少となり、一方で有効求職者数は37,639人で前月と同水準を保った。新規求人倍率は2.00倍と前月比で0.14ポイント上昇したが、新規求人数(原数値)は前年同月比で11.3%減の14,565人と、9か月連続の減少が続いている。業種別では、「学術研究、専門・技術サービス業」が前年同月比で24.0%増、「建設業」が2.1%増と堅調である一方、「医療・福祉」が17.3%減、「卸売・小売業」が28.7%減、「サービス業(他に分類されないもの)」が10.5%減と、生活関連産業を中心に減少が目立っている。
正社員有効求人倍率(原数値)は0.99倍で、前年同月から0.08ポイント低下した。これは令和6年9月の1.07倍を下回る結果であり、正社員求人の伸び悩みが顕著となっている。特に中小企業では採用活動の長期化が課題となっており、求人を出しても応募が少ない状況が続いている。こうした背景には、県内の労働人口減少や、都市部への人材流出の影響がある。
新規求職申込件数は前年同月比で1.7%減となり、2か月連続の減少。雇用形態別では、常用(パートタイムを除く)が1.7%減、常用的パートタイムも1.3%減と、幅広い層で求職活動がやや鈍化している。雇用保険受給資格決定件数は前年同月比12.4%増、受給者実人員も16.1%増と、失業関連指標が悪化傾向にあることが確認された。特に事業主都合による離職者が前年同月比18.9%増となっており、企業の経営環境に慎重な姿勢が見られる。
産業別にみると、医療・福祉分野の求人減少は特に顕著で、前年同月比で866人減少(17.3%減)した。介護職や看護職の人手不足は依然深刻であるが、求人を出しても応募が集まりにくく、離職率も高止まりしている。中小規模の福祉事業所では、処遇改善や柔軟な勤務体系を打ち出すことで人材確保を図る動きが見られる。
一方、建設業は前年同月比で2.1%増(28人増)と、公共工事や住宅リフォーム需要の高まりを背景に求人が堅調に推移している。特に技能職や現場監督といった専門人材の確保が課題となっており、経験者採用を重視する傾向が強まっている。中小建設業者は、採用戦略として若年層への技能継承と同時に、定年退職者の再雇用制度を活用することで人材の循環を確保することが求められる。
製造業は前年同月比で6.0%減(126人減)と減少しているが、電子部品製造業や電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業などでは一部増加が見られる。特に情報通信機械器具製造業は前年同月比で118.2%増と大幅に伸びており、デジタル関連産業の需要拡大が雇用を支えている。中小製造業は、採用において「技術力を発信する姿勢」が鍵となり、自社の強みを具体的に示すことで専門人材の関心を引く戦略が必要である。
一方、卸売・小売業は前年同月比で28.7%減(409人減)と大幅に減少しており、物価高騰や消費マインドの低下が影響している。販売職の採用が難航する中、企業は働き方改革や職場環境の改善を通じて長期的な人材定着を図ることが重要である。サービス業(他に分類されないもの)は前年同月比10.5%減(286人減)と落ち込み、コロナ禍後のリバウンド需要が一巡した形だ。
こうした雇用情勢の中で、中小企業の採用担当者は「有効求人倍率」という指標を単なる数字として捉えるのではなく、自社の採用活動の位置づけを把握する羅針盤として活用すべきである。例えば、有効求人倍率が1.14倍ということは、求職者1人に対して1件以上の求人が存在する「売り手市場」であることを意味する。つまり、採用側は他社との差別化を明確にしなければ、応募を得にくい環境にあるということである。
採用担当者は、求人票に記載する内容の見直しから着手するべきだ。給与や勤務条件だけでなく、働く意義やキャリアパスを具体的に提示することで、求職者の心理に訴える採用活動ができる。また、求職者の行動がオンライン化している現状では、求人媒体やハローワークだけに依存せず、自社のウェブサイトやSNSを活用した情報発信も有効である。
さらに、茨城県では地域ごとに雇用の温度差があるため、ハローワーク水戸や日立では1倍台前半を維持する一方、鹿行地域などでは1倍を割るケースもある。採用担当者は、地域特性に応じた採用戦略を立てることが重要であり、通勤圏の拡大やテレワーク導入など、柔軟な労働環境の整備によって人材確保の可能性を広げることができる。
今後も、物価上昇や人件費負担の増加が企業経営に影響を与える中で、採用活動はより戦略的な視点が求められる。有効求人倍率の動きを注視しながら、単なる採用数の確保ではなく、「企業の魅力づくり」と「人材定着」を見据えた総合的な人事戦略を構築することが、中小企業にとって最大の課題であり、チャンスでもある。
この記事の要点
- 令和7年9月の茨城県有効求人倍率は1.14倍 前月比0.02ポイント低下
- 新規求人数は前年同月比11.3%減 9か月連続の減少
- 正社員有効求人倍率は0.99倍で前年同月より0.08ポイント低下
- 建設業・専門サービス業は増加 医療・福祉業は17.3%減
- 失業給付受給者は5か月連続増加 雇用環境に慎重さ
- 中小企業は求人の「質」と「魅力発信」が採用成功の鍵
⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ


