2025年11月25日
労務・人事ニュース
令和7年9月宮城県の有効求人倍率1.13倍、求人減少続くも採用意欲堅調
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最終更新: 2025年11月25日 00:34
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- 宮城県の一般職業紹介状況(令和7年9月分)について -(宮城労働局)
この記事の概要
令和7年9月に宮城労働局が発表した雇用情勢によると、宮城県の有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍となり、前月を0.03ポイント下回った。4か月連続で求人が減少し、有効求人数は40,999人と前月比3.4%減となった。一方、新規求人倍率は1.90倍で前月より0.08ポイント上昇しており、一部業種で採用意欲が回復している。この記事では、宮城県の最新の雇用データをもとに、県内の労働市場の現状を詳しく解説し、中小企業の採用担当者が今後どのように採用活動を進めるべきかを考察する。
令和7年9月、宮城労働局が公表した「一般職業紹介状況」によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍で、前月より0.03ポイント低下した。有効求人倍率の低下は3か月ぶりであり、求人の減少が続いている。求職者1人に対して1.13件の求人がある状態で、依然として求職を上回る水準を維持しているものの、雇用の持ち直しには弱さが見られる。全国平均の1.20倍、東北平均の1.16倍と比較すると、宮城県の水準はやや低めである。
有効求人数は40,999人で前月比3.4%減、前年同月比でも8.3%減となった。減少は4か月連続であり、企業の採用活動が慎重化していることがうかがえる。一方、有効求職者数は36,328人で、前月比1.1%減と2か月ぶりの減少となった。求人・求職のいずれも減少しているが、求人の落ち込み幅が大きいことから、全体としては需給バランスが緩和傾向にある。
新規求人倍率は1.90倍で、前月より0.08ポイント上昇した。新規求人数は14,138人で前月比0.5%減、前年同月比8.2%減と、24か月連続で前年を下回っている。これは、物価上昇やエネルギーコストの影響で採用抑制が続いている一方、特定の産業では求人意欲が根強いことを示している。産業別に見ると、「学術研究・専門・技術サービス業」(前年比18.6%増)、「公務・その他」(57.1%増)、「宿泊業・飲食サービス業」(3.9%増)などで増加が見られた。一方、「建設業」(16.4%減)、「製造業」(16.1%減)、「サービス業」(8.7%減)では大幅に減少している。特に建設業や製造業は、人件費上昇と資材価格の高騰が重なり、企業が採用に慎重になっていることが背景にある。
職業別の有効求人倍率を見ると、「建設・採掘従事者」が4.67倍と非常に高い水準を維持しており、引き続き深刻な人手不足が続いている。「保安職業従事者」も4.61倍、「サービス職業従事者」は2.07倍、「生産工程従事者」は1.41倍と比較的高い。一方で、「事務従事者」は0.33倍、「運搬・清掃・包装等従事者」は0.65倍にとどまり、職種間の需給ギャップが顕著である。事務職希望者が多い一方で、現場系・技能系の職種では人手確保が極めて難しい構図が続いている。
正社員の有効求人倍率は0.96倍で、前年同月より0.04ポイント低下した。正社員の新規求人は7,627人で前年より8.6%減となり、企業の正規採用が抑制されている。正社員求人の全体に占める割合は55.2%で、前年の55.5%からわずかに低下した。一方、就職件数は798件で前年より11.1%減少しており、採用のスピードが落ちていることが伺える。
このような状況を踏まえると、宮城県の雇用市場は一見安定しているように見えても、実態としては業種・職種による差が拡大している。特に、建設業や製造業といった地域経済の基盤産業で求人が減少している点は注目すべきである。これに対して、医療・福祉や学術研究、行政関連では求人が安定しており、公共性の高い分野への労働力シフトが進んでいるといえる。
中小企業の採用担当者にとって、有効求人倍率1.13倍という数字は単なる経済指標ではなく、「採用の難易度」を測る実感に近いものである。1倍を上回る状況は求人が求職を上回っていることを意味するが、これは裏を返せば「人材獲得競争」が激しいことを示している。特に地方では、労働人口の減少と若年層の県外流出が重なり、企業間の採用競争が年々厳しくなっている。
採用を成功させるためには、まず求人情報の「内容の質」を見直すことが必要である。単に給与や勤務時間を記載するだけでなく、仕事のやりがいや成長機会、チームの雰囲気など、応募者が共感できる情報を明確に伝えることが重要だ。また、採用活動のスピードも大きな要素となる。宮城県では新規求人倍率が上昇しており、求職者が複数の求人に同時応募するケースが増えている。面接から内定までの期間を短縮し、迅速な意思決定を行うことが、優秀な人材を確保する鍵になる。
さらに、採用チャネルの多様化も求められている。従来のハローワークを中心とした募集だけでなく、インターネット求人サイトやSNSを活用した情報発信が有効である。特に若年層に向けては、動画や写真を活用した企業紹介コンテンツが効果的であり、職場のリアルな雰囲気を伝えることで応募意欲を高めることができる。
また、採用後の定着を見据えた環境づくりも重要である。宮城県では物価高騰の影響が家計を圧迫しており、働き手が安定した収入と職場環境を求める傾向が強い。給与面だけでなく、福利厚生や柔軟な働き方の導入、キャリアアップ支援の体制整備が求められる。中小企業であっても、社員一人ひとりの成長を支援する仕組みを整えることで、離職率を下げる効果が期待できる。
さらに、地域密着型の採用活動も効果的である。地元高校や専門学校との連携を強化し、インターンシップや企業見学の機会を提供することで、若年層に対して「地元で働く魅力」を伝えることができる。また、Uターン・Iターン希望者への支援情報を積極的に発信することも、長期的な人材確保につながる。
このように、宮城県の労働市場は緩やかな減速傾向にあるものの、業種によっては採用の好機を迎えている。中小企業はこのデータを踏まえ、単に「求人を出す」だけでなく、求職者に選ばれる企業づくりを意識した採用戦略を取ることが重要である。
この記事の要点
- 令和7年9月の宮城県有効求人倍率は1.13倍で前月比0.03ポイント低下
- 有効求人数40,999人、有効求職者数36,328人で求人が4か月連続減少
- 新規求人倍率1.90倍で前月比0.08ポイント上昇
- 建設業・製造業で求人減、専門職・公務で増加
- 正社員有効求人倍率0.96倍でやや低下、採用活動は慎重化
- 職種間の需給差が拡大、現場系職種で人手不足続く
- 中小企業は求人内容の質と採用スピード、地域密着の発信力が鍵
⇒ 詳しくは宮城労働局のWEBサイトへ


