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2025年11月25日

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令和7年9月岩手県の有効求人倍率1.09倍、3か月連続の低下傾向

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岩手県内の一般職業紹介状況(令和7年9月分)について(岩手労働局)

この記事の概要

令和7年9月、岩手労働局が発表した雇用統計によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍となり、前月より0.01ポイント低下した。3か月連続で前月を下回り、雇用環境の持ち直しにやや弱さが見られる。一方で、新規求人倍率は1.74倍と3か月ぶりに上昇しており、一定の採用意欲は維持されている。この記事では、令和7年9月の岩手県の雇用データを基に、県内の労働市場の現状を詳しく分析し、中小企業の採用担当者が今後どのように採用戦略を立てるべきかを考察する。


令和7年9月、厚生労働省岩手労働局が発表した「一般職業紹介状況」によると、岩手県の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍で、前月の1.10倍から0.01ポイント下回った。3か月連続で前月を下回る結果となり、求職者1人に対して1.09件の求人がある状況が続いている。求人が求職を上回る水準を維持しているものの、雇用情勢には弱さが見られる。全国平均は1.20倍、東北平均は1.16倍であり、岩手県の水準はこれらを下回る。

有効求人数は23,492人で、前月から352人(1.5%)減少し、前年同月比でも1,699人(6.7%)減少した。一方、有効求職者数は21,611人で、前月から142人(0.7%)減少したが、前年同月比では539人(2.6%)増加している。つまり、求人は減り、求職者は増える傾向にある。これは、景気回復の鈍化や物価上昇による企業活動の慎重化が影響していると考えられる。

ただし、新規求人倍率は1.74倍となり、前月の1.67倍から0.07ポイント上昇している。新規求人数は8,623人で前月比2.9%増加しており、3か月ぶりの増加となった。前年同月比では3.8%減少しているものの、一部の産業で採用意欲が回復していることがうかがえる。

産業別に見ると、建設業では963人(前年同月比3.2%減)、製造業では992人(6.4%増)と、製造業での求人が堅調に推移している。特に、電子部品・デバイス関連製造業では前年比85.4%増と大幅に増加しており、岩手県内における製造関連産業の底堅さが際立つ結果となった。一方で、宿泊業・飲食サービス業は479人で44.9%減少しており、全国的な人手不足に加えて、採算面の厳しさから求人を抑える傾向が続いている。また、医療・福祉分野では1,658人(前年比9.3%増)と引き続き高水準を維持しており、地域の高齢化に伴う需要が安定している。

企業規模別では、29人以下の小規模企業での新規求人が前年比0.9%増と微増、100〜299人規模では13.4%増加している一方で、500人以上の大企業では50%を超える減少が見られた。これは、地域経済の中核を担う中小企業が引き続き雇用を支えていることを示している。

地域別の有効求人倍率を見ると、盛岡が1.10倍、花巻が1.38倍、北上が1.45倍と内陸部では比較的高水準を維持している。一方で、沿岸部は0.91倍と1倍を下回る地域が多く、地域格差が依然として存在する。特に宮古(0.95倍)、久慈(0.81倍)などでは求職者が多く、地元企業が人材確保に苦労している。沿岸地域では、震災復興関連の需要が一段落し、雇用環境が安定期から停滞期へ移行しつつあるといえる。

正社員の有効求人倍率は0.92倍で、前年同月比で0.03ポイントの低下となった。正社員の新規求人は全体の52.1%を占めており、前年より2.1ポイント上昇しているが、就職件数に占める正社員割合は42.4%にとどまっている。つまり、正社員を希望する求職者は増えているが、企業側が慎重に採用を進めている現状が浮き彫りとなっている。

岩手労働局は「県内の雇用情勢は求人が求職を上回って推移しているものの、弱さが見られる」としており、企業の採用活動はやや減速傾向にある。ただし、これは一律に悪化を意味するものではなく、採用活動の質を高めるための転換期ともいえる。

中小企業の採用担当者にとって、有効求人倍率1.09倍という数字は単なる統計値ではなく、採用市場の実態を示す指標である。求人が多いとはいえ、採用難が続く職種も存在し、特に製造業や建設業、介護分野では人材確保が依然として難しい。こうした状況下で中小企業が取るべき戦略は、「採用力の見直し」と「情報発信の改善」である。求人票には仕事内容、待遇、休日制度などの基本情報に加え、職場の雰囲気や育成体制、キャリア形成の可能性などを丁寧に記載することで応募者の関心を高めることができる。

さらに、岩手県では若年層の県外流出が続いているため、「地元で働く価値」を訴求することが重要である。例えば、地域社会とのつながりや、安定した生活基盤の確保、家族との時間を大切にできる働き方など、地域ならではの強みを明確に打ち出すことが求められる。また、Iターン・Uターン希望者に向けて、住宅支援制度や地域密着の福利厚生を積極的に発信することも効果的だ。

採用活動の現場では、オンライン採用の活用も欠かせない。岩手県内ではハローワークインターネットサービスを通じて求職登録や応募を行うケースが増えており、デジタルツールを活用した採用の効率化が進んでいる。求人情報を写真や動画でわかりやすく伝えるなど、視覚的訴求を強化することで、より多くの求職者にアプローチできる。

このように、岩手県の雇用市場は一見落ち着いているように見えても、実態としては産業間・地域間でのバランスの差が大きく、企業の戦略次第で採用成果が大きく変わる局面にある。中小企業は地域性を踏まえた柔軟な採用活動を展開し、自社の魅力を地道に発信していくことが、今後の人材確保の鍵になるだろう。

この記事の要点

  • 令和7年9月の岩手県有効求人倍率は1.09倍で3か月連続低下
  • 新規求人倍率は1.74倍に上昇し採用意欲は部分的に回復
  • 有効求人数23,492人、有効求職者数21,611人
  • 製造業で求人増、宿泊・飲食業で大幅減少
  • 内陸部は高水準、沿岸部は0.9倍以下で地域格差拡大
  • 正社員有効求人倍率0.92倍でやや低下
  • 中小企業は求人内容の具体化と地元志向の採用広報が重要

⇒ 詳しくは岩手労働局のWEBサイトへ

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