2025年11月4日
労務・人事ニュース
令和7年9月熊本県の有効求人倍率1.13倍 4か月連続の低下
-   アイリスト/西鉄福岡 駅/社員募集/11月4日更新 
                            
                            
最終更新: 2025年11月4日 02:02
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最終更新: 2025年11月4日 09:34
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最終更新: 2025年11月4日 09:34
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最終更新: 2025年11月4日 09:34
 
一般職業紹介状況 (令和7年9月分)(熊本労働局)
この記事の概要
令和7年9月、熊本労働局が発表した最新の雇用統計によると、熊本県の有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍となり、前月より0.03ポイント低下した。4か月連続で減少しており、求職者数の増加と求人減少の動きが同時に進んでいる。新規求人倍率は1.93倍で、前月から0.22ポイント低下。前年同月比では0.24ポイントの下落となった。県内の雇用情勢は依然として人手不足傾向を維持しているものの、採用意欲には慎重な姿勢が見られる。この記事では、このデータを基に中小企業の採用担当者が取るべき方針を、現場感覚を踏まえて詳しく解説する。
令和7年9月、熊本労働局が発表した「一般職業紹介状況」によると、県内の有効求人倍率は1.13倍となり、前月比0.03ポイント低下した。4か月連続の減少であり、企業の採用意欲がやや鈍化していることを示している。全国平均の1.20倍を下回る水準で、九州7県の中では中位に位置する。求職者1人あたりの求人件数が減少しており、企業間での人材獲得競争が依然として激しい一方で、景気の先行き不透明感が採用活動に影を落としている。
有効求人数(季節調整値)は32,234人で、前月比2.4%減少し4か月連続のマイナスとなった。有効求職者数(同)は28,527人で、前月比0.2%増加しており、求職活動を行う人がわずかに増加している。これにより、有効求人倍率は下落に転じた。正社員の有効求人倍率(原数値)は1.06倍で、前年同月より0.02ポイント低下。正社員志向が強まる中で、企業側が求職者の条件に対応できていない構図が浮き彫りとなっている。
新規求人倍率は1.93倍で、前月比0.22ポイント低下した。新規求人数(原数値)は11,161人で前年同月比11.5%減少しており、5か月連続の減少。業種別にみると、建設業(7.5%減)、製造業(18.2%減)、卸売・小売業(6.5%減)、宿泊業・飲食サービス業(2.8%減)、医療・福祉(3.3%減)など、多くの業種でマイナスが続いた。一方で、運輸業・郵便業のみが3.1%増と、物流需要の堅調さを背景に増加した。
製造業では特に輸送用機械器具製造業が72.4%減と大幅な落ち込みを見せている。半導体関連など一部では生産活動が続くものの、雇用確保を抑える動きが顕著だ。また、宿泊・飲食業も依然として厳しい状況で、観光需要が戻っても人件費上昇とシフト制限の影響から新規採用に踏み切れない企業が多い。
新規求職申込件数は5,361件で前年同月比1.3%減。フルタイム求職は3,219件で前年同月と同水準、パートタイムは2,142件で3.1%減となった。特筆すべきは、在職者が1.4%増加している一方で、離職者が2.1%減少している点だ。これは転職活動を始める層が増加している一方、失職による求職が減っていることを意味している。つまり、より良い条件を求める「転職志向層」の動きが強まっている。
就職件数は1,657件で前年同月比0.2%増とわずかに増加し、3か月連続のプラスとなった。新規求職者に対する就職率は30.9%で、前年同月を0.4ポイント上回った。就職率の上昇は、求人・求職のミスマッチが一部改善していることを示すが、依然として「人が集まらない」「採用しても定着しない」といった課題が残る。
地域別に見ると、熊本市が1.24倍で最も高く、八代が0.88倍と低い。菊池は1.10倍、天草0.97倍、玉名0.97倍、宇城1.05倍、阿蘇1.34倍と地域差が大きい。製造業や農林水産業の集積度、観光需要の回復度合いによって、雇用状況が異なっている。中小企業にとっては、この地域別データを活用し、採用戦略を地域特性に合わせて設計することが重要になる。
有効求人倍率1.13倍という数字は、熊本県の雇用市場が「人手不足と採用抑制のはざま」にあることを示している。企業の採用意欲はあるものの、賃上げやコスト増の影響で慎重姿勢を強めている。特に中小企業では、求人を出しても応募が集まらず、採用までの期間が長期化している現実がある。
この状況を打開するためには、まず「求人内容の再設計」が欠かせない。給与や勤務条件の見直しはもちろんだが、それ以上に重要なのは「職場の魅力」を伝えることだ。たとえば、家庭と両立できる勤務体系や、スキルアップ支援制度、地域貢献活動などを具体的に打ち出すことで、求職者の共感を得やすくなる。熊本県内では地元志向の強い求職者が多く、「地域に根差した企業」としての姿勢を示すことが採用成功につながる。
さらに、採用活動のスピード感も重視すべきだ。有効求人倍率が高止まりする状況では、他社との競合に負けないための迅速な対応が求められる。応募後の面接設定を早め、オンライン面談などを導入して求職者との接点を確保することが有効だ。
デジタル化の推進も重要なテーマである。熊本県ではハローワークを中心とした採用が主流だが、オンライン応募やSNS採用が拡大している。ハローワークインターネットサービスでは、オンライン自主応募制度の活用が進み、求職者が来所せずに応募できる仕組みが整っている。企業側もこの流れに対応し、デジタル求人情報の充実を図ることが採用成功の鍵となる。
また、離職理由別に見ると、事業主都合離職者が3.9%増加している一方、自己都合離職者は3.0%減少している。これは、労働環境の変化や待遇改善が不十分な企業からの離職が増えていることを示唆している。中小企業は、離職防止を目的とした労働環境の改善にも取り組む必要がある。
熊本県の雇用情勢は、短期的には弱含みだが、中長期的には回復傾向を維持する見通しである。半導体関連産業の拡大や交通インフラ整備など、地域経済の基盤が強化されつつある今、人材確保の好機を逃さないためには、採用活動の「質」を高める取り組みが不可欠だ。
この記事の要点
- 令和7年9月の熊本県有効求人倍率は1.13倍で前月比0.03ポイント低下
 - 新規求人倍率は1.93倍で5か月連続減少
 - 製造業18.2%減、建設業7.5%減と主要産業で求人減少
 - 運輸業・郵便業のみ3.1%増と堅調
 - 正社員有効求人倍率は1.06倍で前年同月比0.02ポイント低下
 - 就職率は30.9%で3か月連続上昇
 - 中小企業は求人内容の再設計と採用スピード強化が重要
 
⇒ 詳しくは熊本労働局のWEBサイトへ
 
 
                                        
