2025年11月22日
労務・人事ニュース
2025年7〜9月期の信用保証利用企業、資金繰りD.I.は▲11.8で横ばい推移
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信用保証利用企業動向調査(2025年7-9月期実績、10-12月期見通し)(日本公庫)
この記事の概要
日本政策金融公庫が2025年10月30日に公表した「信用保証利用企業動向調査」(第226回、2025年7~9月期実績・10~12月期見通し)によると、信用保証を利用する中小企業の資金繰りは「横ばい」となり、景況感は足踏み状態にあることが明らかになりました。調査では、資金繰りD.I.が▲11.8と前期(▲11.6)からほぼ変化がなく、借入難易感D.I.も▲6.0と横ばい。企業の経営環境では「人手不足・人件費上昇」が63.2%で最多の課題となりました。
2025年7~9月期における信用保証利用企業の資金繰り状況について、日本政策金融公庫は全国9地域(北海道、宮城、東京、愛知、石川、大阪、広島、香川、福岡)の16,000社を対象にアンケート調査を実施しました。有効回答数は4,090社(回答率25.6%)で、その約84%を従業員20人以下の小規模企業が占めています。調査結果では、全体として企業の資金繰りは横ばいで推移しており、依然として中小企業の経営環境は慎重な状況にあることが示されました。
資金繰りD.I.(「好転」と答えた企業の割合から「悪化」と答えた企業の割合を引いた指数)は▲11.8で、前期の▲11.6からほとんど変化がありませんでした。借入難易感D.I.(「借入が容易」と答えた割合から「困難」と答えた割合を引いた指数)も▲6.0(前期▲6.4)と横ばい。来期(2025年10~12月期)の資金繰り見通しは▲5.3と改善の兆しが見られるものの、慎重な経営姿勢が続いています。
借入を実施した企業の割合はやや増加し、一社あたりの借入金額の構成では「5,000万円超」の比率が上昇しました。借入の目的については「運転資金」が引き続き大半を占め、その内訳では「既往借入の借換資金」が32.6%と2期連続で最も高い割合となりました。これにより、資金需要の多くが新規投資よりも既存債務の返済・再編に向けられていることがうかがえます。
信用保証の利用については、借入を実施した企業のうち保証を利用した割合が57.6%と横ばいで推移しました。全額保証利用が48.2%、一部保証利用が9.4%で、引き続き中小企業の借入における信用保証制度の存在感が大きいことを示しています。金融機関からの保証利用要請D.I.は2.8(前期▲0.0)とやや上昇し、今後の保証利用ニーズがやや強まる見通しとなっています。
業種別の生産・売上動向を見ると、全体の生産・売上D.I.は▲5.7(前期▲4.6)で、マイナス幅がやや拡大しました。業種別では、卸売業(▲8.0)と小売業(▲15.6)でマイナス幅が拡大する一方、サービス業は4.3から15.7へとプラス幅が拡大しています。製造業(▲17.9)や建設業(▲3.2)も引き続き慎重な動きが見られ、全体として企業活動は停滞傾向が続いています。
採算D.I.(「好転」企業割合-「悪化」企業割合)は▲11.3(前期▲11.9)と横ばいでした。来期の見通しは▲0.3と改善が予想されており、一部では収益環境の安定化への期待もみられます。なお、借入総残高に占める保証利用の割合では、「半分以上」と回答した企業が65.1%を占め、中小企業金融の安定を支える重要な仕組みとして信用保証制度が定着していることが分かります。
今回の特別調査では、経営環境における課題と事業承継に関する意識も調べられました。企業が直面している課題では、「人手不足・人件費上昇」が63.2%で最も多く、次いで「売上・受注の停滞、減少」(43.8%)、「エネルギー・原材料価格等の高騰」(43.0%)が挙げられました。これは、景気回復の鈍化やコスト上昇が依然として中小企業経営に影響を及ぼしていることを示しています。
経営者の年齢層については、60歳以上が47.5%を占めており、高齢化が進行しています。事業承継の時期については「今後10年以内」とする企業が32.3%である一方、「時期は未定」と回答した企業は23.5%でした。事業承継の課題では、「後継者の育成」(50.6%)が最多で、「後継者の選定・確保」(29.6%)、「取引先との関係維持」(25.3%)が続きました。また、「事業を第三者へ承継したい、または検討したい」とする企業は全体の31.8%に達しており、M&Aを含む第三者承継への関心が着実に高まっています。
一方、事業承継の相談先としては「税理士・公認会計士」(62.2%)が最も多く、「親族」(37.0%)、「役員・従業員」(19.0%)が続きました。金融機関や保証協会に期待する支援としては、「税制面での情報提供」(30.0%)、「事業承継に関する借入相談」(28.9%)、「融資や保証料の優遇」(23.7%)などが挙げられ、専門的な支援への要望が高まっています。
本調査結果からは、資金繰り環境が安定する一方で、採算や人手不足といった構造的な課題が続いていることが示されました。また、経営者の高齢化と後継者問題の深刻化が浮き彫りになっており、今後の金融・保証支援のあり方や事業承継支援策の拡充が求められています。
この記事の要点
- 資金繰りD.I.は▲11.8で横ばい、借入難易感D.I.も▲6.0で安定
- 今期に借入を実施した企業の割合は増加、5,000万円超の借入が増加
- 保証利用企業の割合は57.6%、来期の保証要請D.I.は2.8へ上昇
- 生産・売上D.I.は▲5.7でマイナス幅拡大、特に小売業で低下
- 採算D.I.は▲11.3で横ばい、来期見通しは▲0.3と改善傾向
- 経営課題は「人手不足・人件費上昇」(63.2%)が最多
- 経営者の47.5%が60歳以上、事業承継課題は「後継者育成」(50.6%)が中心
- 第三者承継を検討している企業は31.8%
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ


