2025年10月30日
労務・人事ニュース
「5-Methyl etodesnitazene」「4-PrO-DMT」「o-Methylfentanyl」など危険ドラッグ成分3種類を指定薬物に追加 令和7年11月8日施行へ
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最終更新: 2025年10月30日 05:36
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危険ドラッグの成分3物質を新たに指定薬物に指定(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省は令和7年10月29日、危険ドラッグに含まれる3つの化学物質を新たに「指定薬物」として指定する省令を公布した。施行日は令和7年11月8日であり、これらの物質の製造、輸入、販売、所持、使用は医療用途を除いて全面的に禁止される。今回指定された物質は、「5-Methyl etodesnitazene」、「4-PrO-DMT」、「o-Methylfentanyl」の3種類で、いずれも強い中枢神経作用を持つ危険薬物である。
厚生労働省は令和7年10月29日、危険ドラッグへの対策強化を目的として、新たに3種類の化学物質を「指定薬物」に追加する省令を公布した。この省令は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づくもので、公布から約10日後の令和7年11月8日に施行される。今回の指定により、これらの物質を医療や研究以外の目的で製造、輸入、販売、所持、使用することが禁止され、違反した場合には刑事罰の対象となる。
新たに指定された物質は3種類である。ひとつ目は「5-Methyl etodesnitazene」で、強力な合成オピオイド系物質であり、微量でも呼吸抑制や意識障害などを引き起こす危険性が高い。二つ目は「4-PrO-DMT」と呼ばれるトリプタミン系化合物で、幻覚や錯乱を誘発する作用を持ち、いわゆる「デザイナードラッグ」に多く含まれる物質として知られる。三つ目は「o-Methylfentanyl(オルトメチルフェンタニル)」で、フェンタニル類似物質として高い依存性と致死リスクがあり、過去には海外で多数の死亡例が報告されている。これらの物質はいずれも海外で流通が確認されており、日本への流入による健康被害を未然に防ぐため、厚労省は迅速に指定を行った。
今回の省令は、薬事審議会の指定薬物部会において、10月28日に「指定が適当」と判断されたことを受けたものである。通常であればパブリックコメントの募集を経て施行されるが、これらの物質は人体への影響が深刻であるため、手続きを省略して即日公布という異例のスピード対応が取られた。厚労省は健康被害の拡大を防ぐため、今後も同様の緊急指定を積極的に行う方針を示している。
施行後は、これらの物質を含む製品を医療目的以外で取り扱うことが禁止され、違反者には厳しい罰則が科される。具体的には、個人の場合は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、業として行った場合は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が定められている。さらに、製造や輸入だけでなく、単なる所持や使用も処罰対象に含まれる。厚労省は国内外の取引を徹底的に監視し、危険ドラッグが一般市場に流通することを防ぐ構えだ。
今回の対応で注目されるのは、国際的な危険薬物流通への警戒感が背景にある点である。これらの物質の多くは海外で違法製造され、インターネットを通じて密輸・販売されている実態がある。厚労省は今後、水際での摘発を強化するため、税関との連携体制をさらに拡大する方針を明らかにしている。また、無承認無許可医薬品の取締りも強化し、オンライン販売やSNSなどを利用した違法販売の監視を強める。特に近年は個人輸入を装ったケースが増加しており、AIによる自動監視システムの導入も検討されている。
一方で、こうした厳格な規制強化は、行政機関や企業における新たな人材ニーズを生み出す可能性がある。監視や取締りの現場では、薬学・化学・法務に精通した専門職が求められており、厚労省や地方厚生局では監視員や調査官の増員が予定されている。特に、麻薬対策課を中心に監視体制を強化するため、今後1年以内に専門職員を約120名増やす方針が検討されている。また、製薬・輸入関連企業でも、薬事法コンプライアンスや品質保証に携わる人材の採用が増えると見込まれる。企業側では、製品が誤って指定薬物を含まないよう成分管理や検査体制を強化する必要があり、薬品分析やリスク管理に関する専門知識を持つ人材への需要が高まることが予測される。
さらに、EC事業者や物流業界においても、違法薬物の流通を防ぐための監視担当者やリスクマネジメント人材の採用が拡大する見込みである。特に、オンラインプラットフォーム運営企業では、AI検知システムや薬物関連取引の監視チームを設ける動きが進んでおり、法務とデータサイエンスを兼ね備えた人材が今後の採用市場で重宝されるだろう。
今回の3物質の指定は、単なる薬事対応にとどまらず、企業のリスクマネジメントや社会的責任(CSR)の観点からも大きな影響を与える。厚労省は「危険ドラッグの製造や販売に関わるすべての事業者に対し、法律遵守を徹底するよう強く警告する」と発表しており、企業の内部統制体制が問われる局面に差し掛かっている。製薬、化学、EC、物流といった幅広い業界において、コンプライアンス体制の強化とそれを担う人材の確保が急務となるだろう。
この記事の要点
- 厚労省が危険ドラッグに含まれる3物質を新たに指定薬物に指定
- 指定された物質は5-Methyl etodesnitazene、4-PrO-DMT、o-Methylfentanyl
- 令和7年11月8日施行、医療目的以外での製造・販売・使用を全面禁止
- 違反時は個人に3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、事業者は5年以下または500万円以下
- 水際対策・ネット監視を強化し、海外からの流入を防止
- 厚労省は監視体制強化のため120名規模の専門職増員を検討
- 製薬・EC・物流業界でコンプライアンス人材の採用需要が拡大見込み
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


