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2025年11月25日

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2025年度冬季の電力需給、全エリアで予備率3%確保し節電要請見送り

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2025年度冬季の電力需給対策を取りまとめました(経産省)


この記事の概要

経済産業省は2025年10月31日、資源エネルギー庁の下に設置された次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会において、2025年度冬季の電力需給対策を正式に取りまとめた。検証の結果、全国すべての地域で安定供給に必要な予備率3%を確保できる見通しが示され、節電要請は行わない方針が決定された。一方で、老朽化した火力発電所の稼働や燃料調達リスクが残るため、発電事業者への保安管理徹底や緊急時の補修体制強化など、供給面でのリスク対応が重点的に講じられる。


経済産業省は、全国的な電力需給の安定を確保するため、2025年度冬季に向けた電力供給体制の見通しと対策を発表した。今回の検証は、電力広域的運営推進機関が全国10エリアの電力需要と供給力を詳細に分析したもので、10月24日に「電力需給検証報告書」としてまとめられた。これをもとに、10月31日の小委員会で政府としての冬季対策方針が正式に示された。

2025年度冬季の需給見通しでは、全国の電力供給力に対して、10年に一度の厳寒を想定した需要を踏まえても、最低限必要とされる予備率3%を全エリアで確保できることが確認された。10月時点では北海道では12月16.5%、1月4.8%、2月4.8%、3月9.3%、東北・東京は12月14.9%、、1月4.8%、2月4.8%、3月9.3%、九州で12月10.3%、1月8.3%、2月8.5%、13.5%と、地域差はあるものの安定供給に支障はない見込みとされた。ただし、老朽化した火力発電所の比率が高く、発電機の突発的な故障や燃料調達の遅延が発生すれば、需給のバランスが崩れるリスクが指摘されている。

特に東京湾沿岸や太平洋側に集中する火力発電所群は、地震や津波などの自然災害に脆弱な構造を抱えており、地域的に供給が一時的に途絶する懸念がある。そのため、経済産業省は発電事業者に対して、計画外停止の防止、設備の定期補修や保安点検の徹底を要請している。また、今冬の需給状況を日次で監視する体制を整備し、万が一の電力ひっ迫時には、緊急の補修調整や追加供給力の確保を即座に実施する方針も示された。

一方で、2024年度と比較すると、供給力全体は明らかに減少傾向にある。特に火力発電では、広野2号や鹿島共同4号など複数の老朽発電機が廃止・停止となり、供給量は東日本エリアを中心に前年より30万~327万kW減少している。さらに、液化天然ガス(LNG)の在庫量も10月26日時点で197万トンと、過去5年平均を下回る水準にある。このことから、エネルギー供給の継続性には引き続き注意が必要とされている。

経済産業省は、今冬の節電要請を見送る一方で、需要側への支援策も強化する方針を示した。企業や家庭に向けた省エネ支援メニューを拡充し、ディマンド・リスポンス(DR)の普及を推進することで、エネルギーコスト上昇に強い省エネ型の社会構造への転換を目指している。特に産業界に対しては、電力需給ひっ迫時の対応体制の構築を求めるとともに、各地域の自治体と連携して緊急時の情報伝達体制を整備するよう促している。

また、構造的な課題解決として、連系線の増強や蓄電池・揚水発電の活用を進め、安定的な電力供給基盤を中長期的に整備していく方針も示された。さらに、再生可能エネルギーの最大限の導入と並行して、安全性を前提に地元の理解を得ながら原子力発電所の再稼働を進める方針を改めて確認した。現在、国内で稼働中の原子炉は14基で、柏崎刈羽6号機など4基が再稼働準備を進めており、2026年度以降に段階的な稼働再開が見込まれている。

このような背景から、経済産業省は今冬を「予断を許さないが計画的な備えが整った冬」と位置づけている。今後も電力需給バランスを注視しながら、緊急時には電力需給ひっ迫警報や注意報を迅速に発令し、必要に応じて計画停電などの対応を行うとしている。国民や企業に対しては、過度な節電を強いることは避けつつも、引き続き日常的な省エネ行動を心がけるよう呼びかけている。

この記事の要点

  • 2025年度冬季の電力需給は全エリアで予備率3%以上を確保
  • 節電要請は実施されず、安定供給が可能な見通し
  • 火力発電所の老朽化と燃料供給リスクが懸念事項
  • LNG在庫は197万トンで過去5年平均を下回る水準
  • 発電事業者への保安管理徹底と緊急対応体制を強化
  • 再生可能エネルギーと原子力の併用で中長期の供給力確保を目指す

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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