2025年12月5日
労務・人事ニュース
2025年10月の南関東経済、求人110%増も採用停滞が続く実態
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最終更新: 2025年12月4日 21:05
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最終更新: 2025年12月4日 10:17
景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 南関東(現状)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年10月に実施された南関東の景気ウォッチャー調査によると、地域経済は堅調さを保ちながらも、消費や雇用を巡る構造的な課題が浮き彫りとなった。インバウンド需要の回復と富裕層の高付加価値消費が全体を押し上げる一方で、一般消費者の節約志向が強まり、小売や外食業では購買抑制が続いている。雇用面では求人が増加傾向にあるものの、応募者不足やスキルミスマッチが顕著で、有効求人倍率の改善は見られない状況にある。
令和7年10月の南関東経済は、明確な二極化が進んでいる。百貨店ではおせちやクリスマス関連商材などの受注が前年を上回り、富裕層を中心とする高額品の販売が堅調に推移している。一方で、食料品や日用品の価格上昇により中間層や一般層の消費行動は抑制傾向にあり、買上点数の減少が続いている。食品売場では値上げが続く中で、来客数を維持しても売上の伸びが限定的となり、利益率の低下を指摘する声が多い。
スーパーやコンビニエンスストアでは、米や野菜をはじめとする生活必需品の価格上昇が続き、消費者の「価格を見ながら買う」行動が定着している。スーパーの担当者からは「特売商品の割合が高まり、利益率が下がっている」との声があり、販売数量の減少を価格上昇分が辛うじて補っているに過ぎない。また、コンビニ業界では来客数の前年比減少が続き、客単価の上昇分が買上点数の減少で相殺される構図となっている。
観光業では、都市型ホテルの宿泊稼働率が高水準を維持しており、大型イベントや展示会の開催が集客を後押しした。特にインバウンドの回復傾向が明確で、訪日外国人の来客数が7月以降増加を続けている。これにより、宝飾やラグジュアリーブランドの売上が前年を上回る動きを見せている。旅行代理店も前年同期比107%の売上を記録しており、観光関連産業の勢いは強い。ただし、宿泊費や交通費の上昇により、団体旅行の実施件数は抑えられており、価格上昇が消費を圧迫している。
製造業では、半導体関連部品や電気機械器具製造業の受注が堅調に推移しており、AI関連需要の拡大が価格上昇を支えている。一方で、建設関連業では原材料価格の高騰と人手不足により、官公庁案件で入札不調が増加しており、建設業者からは「仕事はあるが人がいない」という声が相次ぐ。金融機関の担当者も「建設業では3年先まで仕事が埋まっているが、人手が確保できず、計画通りに進められない」と指摘している。
不動産業では、インバウンド需要を背景にホテルや商業施設の稼働率が高い状態を維持しているものの、賃貸市場では小規模店舗の空室が増えており、地域格差が広がっている。オフィス需要は安定しているが、テナントによる固定費負担が重くなりつつあり、今後の金利動向が不動産市場の方向性を左右するとの見方が強い。
雇用情勢においては、求人活動の活発化が確認されている。人材派遣会社の担当者によれば、請負案件の受注が好調で、前年比110%弱の勢いで派遣依頼が増えているという。ただし、求人増加に対して求職者数は減少傾向にあり、「求職者が減ってきている」「登録者数の伸びが鈍化している」との報告も見られる。求人数は3か月前と比べて横ばいだが、前月比では減少しており、年末の繁忙期を前に採用活動が難航している。
職業安定所からは「飲食店や介護業などサービス業では人手不足が深刻で、求人を出しても応募がない」との報告がある。民間職業紹介機関でも「求人数と応募者数は多いが、マッチングしないため採用に至らない」という声が目立つ。最低賃金引上げや物価上昇により、企業の採用コストが上昇する一方、賃上げのスピードが追いつかず、労働市場の不均衡が拡大している。特に中小企業では賃上げ対応が難しく、人材流出と採用停滞が同時進行している。
総じて南関東の経済は、観光と高付加価値消費が堅調な一方で、一般消費の抑制と雇用のミスマッチが課題となっている。求人数の増加は雇用回復の兆しを示しているが、求職者減少とスキルギャップが改善を阻んでおり、今後は労働市場の構造的改革と持続的な賃上げが地域経済の安定に不可欠であるといえる。
この記事の要点
- 南関東の求人は前年比110%弱で増加するも採用停滞が続く
- 有効求人倍率は横ばいで改善傾向がみられない
- 派遣依頼は好調だが求職者数が減少しミスマッチが拡大
- 建設業で人手不足が深刻化し入札不調が相次ぐ
- 富裕層消費とインバウンド需要が地域経済を支える
- 物価上昇と賃金停滞が中小企業の雇用環境を圧迫
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


