2025年11月28日
労務・人事ニュース
令和7年9月 高知県の有効求人倍率1.09倍 4か月ぶりの改善が示す採用環境の変化
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最終更新: 2025年11月28日 06:36
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高知県の雇用失業情勢(令和7年9月分)(高知労働局)
この記事の概要
令和7年9月に高知労働局が発表した雇用失業情勢によると、高知県の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍となり、前月から0.05ポイント上昇し4か月ぶりの改善となった。正社員有効求人倍率(原数値)は0.88倍で、前年同月比0.02ポイントの上昇を示し、2か月ぶりの増加となった。新規求人数も前年同月比で1.8%増加しており、雇用環境には緩やかな回復の兆しが見られるが、依然として地域や業種によっては人手不足と求職者減少の二重の課題が存在する。この記事では、愛媛労働局発表データをもとに、高知県の雇用動向を丁寧に分析し、中小企業の採用担当者がこの状況下で取るべき戦略を考察する。
令和7年9月、高知県の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍となり、前月に比べ0.05ポイント上昇した。4か月ぶりの改善であり、求人数が求職者数を上回る「人手不足型」の構造が続いている。全国平均は1.20倍で、高知県は全国34位と中位に位置するが、地方圏としては堅調な水準である。求人数は13,687人(前月比3.6%増)に増加し、一方で求職者数は12,614人(前月比1.0%減)に減少している。つまり、企業側の採用意欲は強い一方で、働き手の供給が追いつかない構造的な課題が浮かび上がっている。
新規求人倍率(季節調整値)は1.88倍で前月と同水準。新規求人数は4,762人(前月比▲6.2%減)と3か月ぶりの減少となり、企業が一時的に採用を調整している傾向もうかがえる。しかし前年同月比では80人(1.8%)増と、全体としては回復基調を維持している。新規求職者数は2,428人で前年同月比▲0.6%と小幅な減少。新規求人数と求職者数の乖離が続くことで、採用競争の激しさが一層強まっている。
産業別にみると、増加した業種は建設業(7.1%増)、学術研究・専門・技術サービス業(86.4%増)、サービス業(11.6%増)などである。一方で、卸売業・小売業(▲10.0%)、金融・保険業(▲29.0%)、公務・その他(▲29.2%)などが減少している。これらの数字から分かるのは、民間需要に支えられる分野が採用を継続している一方で、公共部門や金融分野では人員補充を抑制しているという構図だ。特に建設業では、インフラ整備や災害復旧などの需要に伴い求人が増加しており、地域経済を支える分野として引き続き人材確保が急務となっている。
正社員有効求人倍率は0.88倍で、前年同月比0.02ポイント上昇した。これは正社員として安定した雇用を求める動きが強まっていることを示しており、企業側も長期的な人材確保に重きを置き始めていることがうかがえる。しかしながら、1倍を下回っていることから、依然として正社員志向の求職者に対して求人が不足している状況である。中小企業の採用担当者にとっては、正社員志向の人材を惹きつけるために、働き方の柔軟性や職場環境の魅力を発信することがこれまで以上に重要となる。
就職件数は760件で前年同月比3.5%増と2か月連続の増加を示した。就職率も31.3%で前年同月比1.3ポイント上昇しており、求職者が実際に就業へとつながるケースが増えている。これは、企業側が採用活動においてスピード感を重視し、選考期間の短縮や面接回数の削減など、迅速な意思決定を行っていることの表れでもある。
一方で、雇用保険被保険者数は187,619人で前年同月比▲1.3%減少し、70か月連続の減少となった。この長期的な減少傾向は、労働力人口の減少が続いていることを意味する。高知県は全国的にも高齢化が進む地域であり、特に若年層の県外流出が続く中で、地域の雇用基盤の維持が大きな課題となっている。
産業別の動向をさらに詳しく見ると、学術研究や専門サービス業での求人増加は、地方でも知識集約型の業務が拡大していることを示している。デジタル化の進展により、高知県内でも専門職やIT関連の業務をリモートで担う企業が増えており、これが新たな雇用を生み出している。一方で、卸売業や小売業は需要の変化と人件費上昇の影響を受けており、人材確保が難しくなっている。
このような状況を踏まえ、中小企業の採用担当者が意識すべきポイントは「採用の柔軟性」と「地域性の活用」である。求人倍率が高いということは、求職者にとって選択肢が多いということでもあり、企業が一方的に人材を選ぶ時代は終わっている。求職者に選ばれる企業となるためには、まず「どんな働き方ができるのか」を明確に示すことが重要である。特に地方の中小企業では、子育てや介護と仕事を両立できる勤務制度を導入することで、潜在的な労働力層を掘り起こすことができる。
また、地元志向の高い人材に向けては「地域への貢献性」を打ち出すことが効果的である。高知県のように地域社会とのつながりが強い場所では、地域の課題解決に貢献する事業や地元産業の振興に関わる仕事が求職者に魅力的に映る。採用担当者は、求人票や企業紹介で「地域との関わり」や「地元で働く意義」を丁寧に伝えることが求められる。
さらに、採用活動のデジタル化も不可欠である。高知労働局の統計でも、ハローワークインターネットサービスを通じたオンライン求職登録が数値に反映されており、求職活動のオンライン化が進展している。中小企業は従来の紙媒体や紹介だけでなく、インターネットを活用した採用広報を強化する必要がある。動画を用いた企業紹介やSNSでの発信を行うことで、都市部や県外にいる求職者にもリーチできる。
加えて、リスキリング(再教育)や職業訓練の支援を行うことも、中小企業の魅力を高める一因となる。高知県では労働力不足により、即戦力を求める求人が多いが、長期的に見れば育成前提の採用が持続的な成長につながる。採用担当者は、未経験者でも学べる環境を整え、「育てる採用」を意識することが重要である。
全体として、高知県の雇用環境は緩やかな回復基調にありながらも、人口減少や地域偏在という構造的な課題を抱えている。求人が増加しても求職者が減少しているため、採用活動の難易度は高まる一方である。しかし、この状況を「人材不足」ではなく「人材戦略の転換期」と捉え、自社の強みや価値観を再定義する企業こそが、今後の採用競争を勝ち抜く鍵を握るだろう。
この記事の要点
- 令和7年9月の高知県有効求人倍率は1.09倍で4か月ぶりの増加
- 正社員有効求人倍率は0.88倍で前年同月比0.02ポイント上昇
- 新規求人数は4,631人で1.8%増、5か月ぶりの増加
- 建設業・専門技術・サービス業で求人増、卸売・金融で減少
- 雇用保険被保険者数は187,619人で70か月連続減少
- 中小企業は柔軟な働き方と地域貢献を軸に採用戦略を再構築すべき
⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ


