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2025年11月28日

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令和7年9月 香川県の有効求人倍率1.44倍 採用環境を読み解く

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香川県の雇用情勢について(令和7年9月分)(香川労働局)

この記事の概要

令和7年9月、香川労働局が発表した雇用情勢によると、香川県の有効求人倍率(季節調整値)は1.44倍で前月と同水準だった。全国平均1.20倍を上回り、全国第6位と高い水準を維持している。正社員有効求人倍率(原数値)は1.23倍で前年同月比0.01ポイント低下したが、引き続き求人が求職を上回る「人手不足型」の傾向が続く。この記事では、香川県の労働市場の動向を踏まえ、中小企業の採用担当者がどのように人材戦略を構築すべきかを具体的に解説する。


令和7年9月の香川県の有効求人倍率(季節調整値)は1.44倍となり、前月と同水準を維持した。これで170か月連続して1倍台を記録しており、長期にわたり求人が求職を上回る状況が続いている。全国平均の1.20倍を上回るこの水準は、県内企業の強い人材需要を示すものであり、とくに地方圏においては高い部類に入る。全国順位は第6位と高位置にあり、香川県が全国的にも労働力確保に積極的な地域であることを示している。

正社員の有効求人倍率(原数値)は1.23倍で、前年同月を0.01ポイント下回った。正社員を対象とした求人が安定して推移していることは、企業が即戦力となる人材や長期雇用を重視していることの表れでもある。ただし、前年同月比で微減したことから、企業が採用活動を慎重に進めていることもうかがえる。

香川労働局の判断では「求人が求職を上回って推移しており、緩やかに持ち直しているものの、今後も物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要がある」とされている。つまり、企業活動の回復基調が見られる一方で、賃金上昇やエネルギーコスト、物流費の高止まりといった外部要因が採用意欲に影響を与える可能性があるということだ。

新規求人(原数値)は7,512人で前年同月比0.8%減となり、2か月連続の減少となった。産業別にみると、増加した業種は卸売業・小売業、医療・福祉、サービス業(他に分類されないもの)などである。一方、減少したのは宿泊業・飲食サービス業、運輸業・郵便業、情報通信業などで、コスト上昇と労働力不足の影響を受けた業種の多くで求人の抑制が見られる。

新規求職(原数値)は3,323人で前年同月比2.9%減。こちらも2か月連続の減少であり、求職活動そのものが鈍化している傾向がうかがえる。求職者の減少は求人倍率を押し上げる要因となる一方で、採用する企業にとっては応募者の母数が減ることを意味し、採用難の要因となっている。

特筆すべきは、香川県の労働市場において「求人の質」と「求職の意欲」にギャップが生じている点である。求人側は即戦力や経験者を求める傾向が強い一方、求職者側は働き方の柔軟性やワークライフバランスを重視しており、労働条件や職場環境がミスマッチを起こすケースが多い。中小企業が採用を成功させるためには、単に求人を出すだけではなく、求職者の価値観を理解した採用戦略を取る必要がある。

たとえば、宿泊・飲食業界では依然として人手不足が深刻である。求人はあるが、応募が集まりにくい。その背景には、労働時間や休日の確保、賃金面の課題がある。こうした業種では、働く人の希望に寄り添った「柔軟な勤務体制」や「スキルアップ支援制度」の導入が、採用効果を高める鍵となる。また、医療・福祉分野では求人が引き続き多いが、離職率が高く定着に課題を抱える企業も少なくない。採用担当者は、給与や勤務時間だけでなく、チームの雰囲気や職場のサポート体制といった「職場の安心感」を明確に伝えることが重要だ。

製造業では、一時期の回復傾向からやや停滞の兆しが見られるものの、依然として技能人材の需要は高い。特に地場の中小企業では、熟練工の退職に伴う技術継承が課題であり、若年層の採用と育成を両立する必要がある。ここで有効求人倍率を活用すべきなのは、単なる「数値の確認」ではなく、職種別・地域別の人材動向を分析することだ。求人倍率が高い職種は競争が激しく、採用コストが上がる傾向にあるため、企業はその情報を踏まえて採用時期を見極めたり、待遇改善を計画的に行ったりする必要がある。

また、香川県の特徴として、企業規模が小さい事業所が多く、地元採用に依存する傾向が強い。地方における採用成功の鍵は「地域密着型の魅力発信」にある。求職者が求めるのは大企業の安定感だけでなく、「地域で生活しながら働く安心感」や「職場との距離の近さ」である。採用担当者は、求人票に給与や仕事内容だけでなく、地元社会との関わり方や企業の存在意義などを丁寧に伝えるべきである。特に香川県のように、都市部と地方部で求人倍率に大きな差がない地域では、こうした企業ブランディングが応募数を左右する要素となる。

さらに、香川労働局の発表では、オンライン上で求職登録を行う求職者が統計に含まれるようになっており、デジタルを活用した採用活動の重要性が増していることも示唆されている。今後はハローワークインターネットサービスやSNSなど、オンラインプラットフォームを活用した採用情報の発信が中小企業の採用活動を支える柱となるだろう。

有効求人倍率1.44倍という数値は、単に「求人が多い」というだけではなく、求職者一人当たりの選択肢が豊富であることを意味する。中小企業にとっては、採用市場の競争が激化する中で「自社をどう見せるか」が極めて重要になる。具体的には、職場の写真や社員の声、地域社会での活動などを可視化することで、求職者が自社に共感を持つきっかけを作ることができる。

また、有効求人倍率が安定して高い状況は、採用だけでなく「離職防止」の観点からも注意が必要だ。人材の流動性が高まる中で、他社への転職も容易になっている。中小企業の採用担当者は、採用活動と並行して、社員が働き続けたいと感じる環境を整備することが求められる。待遇の改善だけでなく、成長実感を持てる教育制度や、社員同士のつながりを大切にする職場づくりが、人材定着の鍵となる。

香川県の雇用市場は全国的に見ても安定しており、経済活動の底堅さを示している。しかしながら、緩やかな物価上昇と企業コストの上昇が今後の採用活動に影響を与えることは避けられない。中小企業は、こうした外部環境の変化を踏まえ、短期的な採用だけでなく、長期的な人材確保戦略を立てることが求められる。

この記事の要点

  • 令和7年9月の香川県の有効求人倍率は1.44倍で全国第6位
  • 正社員有効求人倍率は1.23倍で前年同月比0.01ポイント低下
  • 新規求人7,512人で前年同月比0.8%減、2か月連続の減少
  • 医療・福祉・卸売業で求人増、宿泊・飲食・運輸業で減少
  • 求人が求職を上回る状態が170か月連続で継続
  • 採用には「柔軟な勤務」「地域密着」「オンライン活用」が鍵

⇒ 詳しくは香川労働局のWEBサイトへ

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